トヨタ2000GTと、その試作車をベースにした速度記録車、そしてそのレプリカを再現した模型作品については、前編の記事(下の「関連記事」を参照のこと)にてお伝えした。ここでは、さらにその工作の詳細について、作者・Ken-1氏の解説をお読みいただこう。
【画像46枚】外観ディテールから室内のアレンジまで、作例制作過程の詳細を見る!
熱く燃えた78時間に想いを馳せて!ハセガワ製プラモ「トヨタ2000GT」を速度記録車に改造する・前編【モデルカーズ】
「GT――今、その言葉からはレースの世界をイメージすることも多いですが、その由来は、『グランド・ツーリング』の頭文字。長距離を快適に走るため、高性能で余裕あるエンジンや操安性を高めたシャシーを具えるクルマというのが、そもそもの意味だったとか。その『グランド・ツーリング』を車名に冠したトヨタ2000GTは、市販に先駆けて、スピードトライアル国際記録に挑戦したことでも知られています。記録中台風が接近するという悪条件の中、それを乗り越えて見事新記録を樹立。まさにGTを名乗るのにふさわしい栄冠となりました。
さて、今回の作例ですが、オリジナルの実車はすでに現存せず、現在トヨタ博物館に展示されているのは、アメリカSCCAレースに参戦したクルマをベースにしたレプリカで、試作1号車がベースのオリジナル車両とは少しボディラインが異っています。今回ははっきりとした資料も公にされていないオリジナルではなく、現存するレプリカ車両を、分かる範囲で再現してみました。
レプリカのボディフォルムは市販車ベースなので、その再現であるハセガワのキットのままで問題ないのですが(注:厳密には、当時の実車に近づけるべくレプリカ車輌もフロントフェンダーに鈑金作業を施されているのだが、完全に再現しきれていないようで、あまり市販車と変わらないように見える)、フォグランプの追加とリアフェンダー、テールレンズとその周辺の処理が違っています。
記録計測中のピット作業アクセス性を上げるため、ボンネットに開けられた3つの穴と、そこから覗くエンジンが記録車両の魅力ともいえる部分ですが、こちらの中身はプラ材を組み合わせて見える所のみ制作。また、大きく違うのはダッシュボードをはじめとする室内装備ですが、こちらは限られた資料の中での判断と想像を交え仕上げています。
イエローのボディ色調合には微妙な匙加減が!
ボディカラーのイエローは見る資料によって印象が変わる曲者で、トライ&エラーを繰り返し、なんとか納得できるカラーになったのではないかと思っています。ミディアムイエローとピュアホワイトを3:1に、ブリティッシュグリーンを極少量。青みが強調されつつ、光が強く当たると赤みが出るという、実車のイメージに近いカラーになったかと。グリーン部はガイアのブリティッシュグリーンを使用し、半光沢で仕上げています。
各種ロゴ類はデカールをオリジナルで用意。しかし、側面の「TOYOTA 2000GT」の文字は本来グリーンなのですが、事情により黒になってしまいました。ホイールデザインは市販車と同じようですが、記録車両はリムが少し深い気もします。しかし今回はそのままとし、スピナー部分を他のキットから流用。完成したその姿は、市販車の気品と優雅さを感じさせる姿とは違い、スパルタンな印象の仕上がりとなりました。
制作にあたっては、モデラ―仲間の坂中さん、棚瀬さんから、数々の資料とアドバイスを戴きました。デカール制作でお世話になったWさん、Oさん、本当にありがとうございました」
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