オーブンドライブと相性がいいMC20
マセラティの最新スーパーカー、MC20は、とりわけルーフを開いたオーブンドライブと相性がいい。MC20 チェロを運転して、改めてそう思った。
【画像】個性と調和するスパイダー マセラティMC20 チェロ 競合オープンモデル 同社最新EVも 全152枚
カーボンファイバー製の強固なタブシャシーを備え、一体のルーフが存在しなくても、補強なしにボディ剛性は保たれている。ミドシップ・スーパーカーでありながら、ゆったりした走りの個性を漂わせている。ハイスピードへの欲求も、適度に抑えられる。
加えてMC20は、極めて上品で流麗なスタイリングも魅力。ライバルの多くがアグレッシブさを強め、わかりやすく尖ったカタチを求めるなかで、称賛したくなるほど美しさが追求されている。
MC20 チェロへ乗る時は、相応に整った服装が良いだろう。筆者の場合、余りにも普段着のままで、駐車場で降りた時には少々いい訳を口にしたくなった。ちなみに、イタリア語でチェロは空を意味する。
電気を流すと透過性が変わる、エレクトロクロミズム技術を用いたグラスルーフ付きのコンパクトなフォールディング・ハードトップを備え、車重はクーペより65kg重いに過ぎない。価格はクーペより10%高いだけだ。
一部のライバルと比較すれば、3.0L V6ツインターボ・エンジンが発揮する最高出力は低いものの、動力性能は不足なく高い。スペック上ではクーペのMC20と遜色なく、既にバックオーダーは1年に及ぶそうだ。
訴求力ある運転環境 間近に響くV6サウンド
ドアは斜め上方へ開くバタフライ式。サイドシルはやや高めだが、フォールディング・ハードトップを折りたたんでおけば開口部が広くなり、低い位置に据えられたシートへの乗り降りはクーペより難しくない。
ダッシュボードの中央にタッチモニターが据えられ、運転席まわりの操作系はシンプル。研ぎ澄まされた、訴求力ある運転環境といえる。ステアリングホイールに備わる、アルファ・ロメオから借りてきたと思われるスイッチ類が、若干安っぽいけれど。
試乗車のインテリアには、カーボンファイバーとアルカンターラが多用されるオプションが装備され、特別な雰囲気で仕立てられていた。1万ポンド(約161万円)近く、予算を増やす必要があるが。
シートはサポート性が高いものの、座り心地が良く、しっくり来る運転姿勢を取りやすい。足もとや肘まわりには充分な空間が設けられ、身長が高めのドライバーでも狭くは感じにくい。ルーフを閉めても、頭上空間が窮屈になるというわけでもない。
エンジンルームの後ろには、ある程度の荷室が用意され、1泊2日の荷物程度なら運べる。フロント側にも小ぶりながら収納があり、ハンドバッグなどに丁度いい。
マセラティ・ネットウーノ・ユニットは、ドライバーの直後で存在感を主張する。ルーフを開けば、クーペのMC20よりサウンドが間近に響いてくる。
5000rpmを超えると聴覚的な刺激が高まる
低速域で走っている時は、さほど聴き応えがあるとはいえない。ターボチャージャーの回転音やバルブギアのタペット音、こもったガソリンの燃焼音などが主体になる。
加えて、8速デュアルクラッチATをオートマティック・モードのままにしておくと、積極的にシフトアップされるため回転数が低く保たれる。イタリアンなドラマチックさが、強いとはいえない。
マセラティのスーパーカーとして、常用域でも鑑賞したくなるサウンドを放つべきだと思う。しかし5000rpmを超えると、退屈なノイズの集合体が心地良い音色へ変化していく。聴覚的な刺激が高まり満たされる。
MC20 チェロのドライビング体験は、甘美なまでの滑らかさと、操縦系の軽やかさが特長。630psを発揮するスーパーカーとしては異例といえるが、そのぶん英国の傷んだ一般道との相性に優れる。
スポーティなドライブモードを選んでも、乗り心地に我慢をする必要はない。段差を超えてもソリッド感は失われず、常にボディは落ち着いている。
現実的なスピードで、フォールディング・ハードトップを開いたドライブは爽快。走り去る景色との一体感は、クーペでは叶えることが不可能だ。葉の色や風の匂い、鳥の鳴き声などと一緒に走れる。ドライビング体験が、より豊かさを増す。
洗練され快適で、美しく、日常との親和性が高い
もう少し、反応は鋭く重くてもいいだろう。ステアリングホイールとブレーキペダルには過剰気味のアシスト感が伴い、操作した実感が乏しい。8速ATは、コルサ(レース)・モードを選択しても変速が鋭敏とまでは感じられない。
ライバルとなるフェラーリ296 GTBやマクラーレン・アルトゥーラなどのように、クルマとの一体感をより強いものとするには、さらに確かな手応えが欲しいところ。ドライバーへ優しすぎるように思う。
それでも、手のひらや足の裏へ伝わるフィードバックは豊かで、反応は線形的。高めの速度域でも、直感的に操縦できる。
MC20 チェロの動力性能に不満はない。実際の身のこなしや運転のしやすさにも優れている。シャシーとより濃く明瞭なコミュニケーションを取ることができれば、なお一層素晴らしいというだけにすぎない。
極めて洗練され、快適で、美しく、日常との親和性が高いミドシップ・スーパーカーのマセラティMC20 チェロ。オープントップというスタイルが、そのキャラクターへ見事に調和している。
マセラティMC20 チェロ(英国仕様)のスペック
英国価格:30万5795ポンド(約4923万円/試乗車)
全長:4669mm
全幅:1965mm
全高:1224mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.0秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:265g/km
乾燥重量:1540kg
パワートレイン:V型6気筒3000ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/7500rpm
最大トルク:74.2kg-m/3000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック
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