世界のタイヤシェアTOP3に入ることも目標のひとつ
自動車部品サプライヤーとして世界第2位、タイヤメーカーとしても世界第4位のドイツ・コンチネンタル社。そのタイヤ部門プレジデント、ニコライ・ゼッツァー氏が来日し、同社のグローバル戦略「ビジョン2025」におけるアジア太平洋地域での取り組みについて、都内で記者説明会を開いた。
アジア向けに開発したタイヤは本当にアジアに合うのか? コンチネンタル マックスコンタクトMC6試乗
ゴム製品のメーカーとして1871年に創業し、間もなく150周年を迎えるコンチネンタルは、現在23万5千人もの従業員を抱え、そのうちタイヤ部門が約4分の1の人員と売上を占めている。かつ自動車関連の売上は60%にのぼり、「これほどタイヤ以外の部門でも強みを持っているタイヤメーカーはほかにない」という。
そんなコンチネンタルのタイヤ部門が「ビジョン2025」で掲げる目標は、「現在はブリヂストンが1位、ミシュランが2位、グッドイヤーが3位というタイヤメーカーの中で、2025年までにトップ3の1社になること」。そのためには、欧州での販売を伸ばしつつ、それ以外の市場での生産・販売体制を強化することで、2010年時点では売上の74%を占めていた欧州への依存体質を脱却する必要がある。
とくにアジア太平洋地域が思うように伸びていないため、2025年までに10億ユーロ以上をアジア太平洋地域に投資し10カ所の工場を新設。「バランスの取れた拠点配置と売上を目指す。日本での知名度はまだまだ不足しているので、時間をかけて向上させていきたい」としている。
そのための具体的な取り組みとして、アジア専属のチームを作って日本のニーズを把握し、その知見をもとにコンチネンタルの本拠地であるドイツ・ハノーバーでアジア太平洋地域向け製品を開発。「ウルトラコンタクトUC6」と「コンフォートコンタクトCC6」を昨年2月に、「マックスコンタクトMC6」を今年2月に発売した。
コンチネンタルでは2015年より、死者ゼロ・怪我人ゼロ・事故ゼロを3段階で達成する「ビジョンゼロ」という目標を掲げている。その一環として、昨年のフランクフルトモーターショーで初公開した、導電性ゴムコンパウンドを用いてトレッドの深さや温度を検知する「コンチセンス」や、ホイールに組み込んだマイクロコンプレッサーでタイヤのリム幅を路面状況に合わせて調整する「コンチアダプト」を、自動運転センサーの部門とも協力しながら実用化に向けて開発を進めている。
ゼッツァー氏は最後に、「制動からタイヤまですべてのシステムを持っているのは当社だけ。想像してほしい、事故のない世界を」と述べ、「ビジョン2025」と「ビジョンゼロ」の達成に向けた強い意志を示していた。
近年コンチネンタルは日本においても、CASE(コネクテッド・自動化・シェアリング・電動化)技術の分野で急速に存在感を高めつつ、OE(新車装着用)タイヤの採用車種も着実に増やしている。
だがリプレイス(交換用)タイヤは、製品ラインアップこそスーパーカー・高級車向けから軽自動車・商用車向けまで多彩だが販路が限られているため、近くのカー用品店やガソリンスタンド、整備工場などでいつでも気軽に装着できる……というわけにはいかないのが実情だ。
タイヤ部門の日本法人、コンチネンタルタイヤ・ジャパンが発足してからちょうど4年。両ビジョン達成のために、同社が日本での販路を拡大して、誰もがコンチネンタルのタイヤを手に入れやすい環境を築き上げてくれることを心から期待したい。
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