もくじ
どんなクルマ?
ー 本物のジャガーだと言えるのか?
ー 2基のモーターで400psと70.7kg-mを達成
ポルシェ911ターボが負けた日 英国人の目から見た日産GT-Rの実力 前編
どんな感じ?
ー コンセプトカー譲りの上質な車内
ー 低重心+トルクベクタリング
ー 印象に残る、精度と正確性の高さ
「買い」か?
ー 未来のジャガーとして、必要な全てを備えている
スペック
ー ジャガーI-PACEファーストエディションのスペック
どんなクルマ?
本物のジャガーだと言えるのか?
イギリスの自動車メーカーによる革新的な電動パフォーマンスSUV、I-PACEは、2016年のロサンゼルス・モーターショーで、コンセプトカーとしてお披露目された。しかし、それから15ヶ月が経ち、ファーストエディションをテストドライブできる今の段階となっても、ふたつの重要な疑問に対する答えは得られていなかった。
ひとつ目は、本物のジャガーと言える質感なのか。
ふたつ目は、ジャガーに相応しい乗り味なのか。
技術開発と設計に巨額を投じてたどり着いた量産モデルによって、遂に、この2項目への答えが導かれることとなる。
I-PACEは、ジャガーとしての冒険的な近未来戦略モデルであることは言うまでもなく、高水準の先端技術によって、多くのターゲット層を刺激し、訴求するというゴールがある。今から70年前、世界大戦後に生まれたスポーツカーXK120や、そのスピリットを受け継いで1968年に登場したXJ6などと、同様な意味を持つと言える。
そして、この疑問に対する回答の糸口が、ジュネーブ・モーターショーに合わせて設定された、今回の試乗会。混雑するジュネーブ空港の誘導路の一角を仕切って用意された、コーナーコーンに計測機能などが埋め込まれた「スマートコーン」が並ぶ、単独走行のテストコースが舞台だ。クルマを見極めるのに必要なハンドリングコースとしての条件をなんとか満たしたレイアウトで、I-PACEの運動性能をわずかながら、味わうことができた。
2基のモーターで400psと70.7kg-mを達成
従来の概念を覆すようなモデルの、手の内を見せたとも言える今回のテストは、価値のあるものだった。
コースの広さとしては、テストドライブと呼ぶには不十分な内容ではあったが、実際にクルマを走らせることができる初めての機会。洗練されたインディペンデント・サスペンションや超低重心が生む、限界付近でのレスポンスを試す貴重な機会でもあり、おそらく一般道を1600kmも走ったとしても、試すことができない領域にまで踏み込むことができたと思う。
意図的にボンネットの長さを短くし、キャビンフォワードとしたプロポーションは、近年の好調なジャガーに共通するスタイリング。このクルマの場合は、理にも叶っている。クルマの前端部分に、ラバーマウントを介して固定される350kgほどの重さの金属の塊、エンジンを搭載する必要が無いのだ。
エンジンに代わって搭載される、重さ80kgの小ぶりな2基のモーターは、フロントとリアに1基づつ配置されている。その分の余った空間を、キャビンに当てない理由が見当たらない。
ジャガー製のモデルとしては初めて、美しい内燃機関の存在と、発する燃焼音、それにまつわる伝統を手放すこととなる。それらは、オーナーの目と耳への訴求力を高めるため、長い年月をかけて丁寧に仕上げられて来たアイデンティティーとも言えるだろう。
代わって静かな電動モーターが2基、スケートボード状のシャーシの両端にマウントされるI-PACEは、総合で400psと70.7kg-mを達成。0-100km/h加速は4.5秒とされている。
さっそく、その答えを探ってみたい。
どんな感じ?
コンセプトカー譲りの上質な車内
試乗コースでは、しばらくの間、他のドライバーの運転を観察していた。
派手なステアリング操作による、限界領域でのタイヤのスキール音が常に鳴り響いている。しかし、このロングホイールベースで超低重心のクルマの挙動、ボディロールやタイヤのスライド量などは、至って真っ当に思える。トルクベクタリング・システムが搭載されており、リアドライブであるかのように最大90%まで駆動力をリアタイヤに伝達することができ、目で見る限りは、俊敏に進路を変えることができるようだ。
続いて自分の順番。
運転席に座り、車内の素材の質感に目を配る。
ダブルステッチ仕上げで、上品にカラーコーディネートされている。
光沢の具合も質感が高く、スイッチ類や、ダッシュボードに突き出た一対のダイアル、最も重要なセンターコンソールのロータリーノブも、極めて上質な操作感を得ている。わたしの記憶にあるコンセプトカーのインテリアよりも、ディテールや色使いでは穏やかになっているが、基本的な構造の部分では共通点が数多く見受けられる。
傾斜したセンターコンソールの上部には、上下に大きなふたつのモニターが鎮座し、各機能を統合して操作が可能。ナビゲーションとオーディオが上、エアコンやベンチレーションが下側に別れている。
モニターの裏側には大きな空間が空いており、便利な小物入れなどとして利用でき、手のひらサイズのリッドが中央に備わっている。今回のテスト車両には、3種類のデザインが用意されたシートの内、パフォーマンスシートと呼ばれるものが組み合わされていたが、オリジナルのコンセプトカーを連想させるものだった。
組み立ての甘さなどを指摘するひともいるようだが、これはあくまでもプロトタイプ。仕上げの質はさらに向上するはずだ。
低重心+トルクベクタリング
そろそろ走りだそう。
スタート時は無音で、クリープもしない。
しかし、非常に幅広く設定されたドライビングオプションから、好みの設定に調節することは可能。
従来の内燃機関を持つクルマとは全く異なる感覚で滑り出し、最初のコーナーに向けて、鮮明に力強く加速する。操作に対するクルマの正確な動きは、極めて高いレベルにあることは間違いない。
テストコースのレイアウトはタイトで、コーナリングと加速、回生ブレーキの操作を絶え間なく繰り返す。アクセルを緩めると、0.2Gの減速が発生し、さらにブレーキに軽く足を乗せると0.2Gの減速が加わる。おそらく、ブレーキパッドでの減速は、日常的な走行をしている限りは利用機会が限定されそうだ。
ステアリング操作では、このようなタイトなコースだとボディの大きさを感じざるを得ないが、ドライビングポジション自体は完璧。適度に高い位置へ取り付けられたステアリングホイール、座面と背もたれのサイドサポートも十分で、計器類の可読性も理想的。ステアリングのレスポンスも、ロックトゥロックまで正確さが変わらない。
タイヤからのスキール音は絶えないが、クルマは俊敏に向きを変える。トルクベクタリングに対して、I-PACEの開発リーダーで技術部門のマネージャーを務めるデーブ・ショーが「破綻させない」と話していたが、その言葉に偽りはなさそう。
ステアリングの重さは、駐車時だけでなく、攻め込んだ走りをしている時も適正。さらにわたしが驚いたのは、ボディロールの少なさだった。これはシャシー低くに搭載されたバッテリーに加えて、重量物が車両中心部に集中することによるものだ。
印象に残る、精度と正確性の高さ
サスペンションは、通常のスチール製のコイルスプリングとアンチロールバーが装備される。重心が低いから、それほどコントールに神経質さは求められないだろう。エアサスペンションの場合は、90mm以上の幅で車高の調整が可能で、高速に反応するシステムがボディロールを適切に制御する。
グリップ力は、摩擦力の高い空港の舗装なので不満はない。コーナー途中でスロットルを放してもラインにピタリと吸い付き、特に回生制御を最大にしていると、その振る舞いはシャープなようだ。
I-PACEには標準モデルとして、S、SE、HSEの3段階のグレードが設定され、政府からの補助金適用前の価格は6万3495ポンド(952万円)から7万4445ポンド(1117万円)とアナウンスされている。ただ、われわれの目の前にあるファーストエディションは、特別塗装のボディに加えて、装備なども専用となり、価格は8万1495ポンド(1222万円)のモデル。今後1年間生産される予定となっている。
このクルマにはさらに、デーブ・ショーがハンドリング性能を追求したとする、オプションの22インチホイールが装備されていた。
オーストリアのグラーツにあるマグナ・シュタイヤー社が請け負うが、生産は始まったばかり。今年の夏までに、I-PACEがショールームに並ぶことは難しいだろう。
わずか5分のギュッと凝縮されたテストドライブだったが、わたしが受けた印象をまとめると、精度と正確性の高さだった。
「買い」か?
未来のジャガーとして、必要な全てを備えている
I-PACEは本物のジャガーなのか、という以前からの疑問に対しての回答。
このクルマは、間違いなくジャガーだった。
従来のジャガーとは異なるが、未来のクルマの姿として、高い確実性を感じることができた。洗練性の高さは極めて印象的なレベルで、室内の装飾やシートの快適性、空間の雰囲気、クルマのレスポンスなど、本物のジャガーとしてドライブすることに、なんら疑問を抱かなかった。
今回のテストのように、激しい走りを繰り返すオーナーは実際には少ないはず。毎日を忙しく過ごすビジネスマンの通勤手段として、快適性が重要視される都市間の長距離移動手段として、このクルマの価値が問われることになる。
デザインの優雅さ、充分な空間、満足できる走行性能。
今のところ全てを兼ね備えていると、わたしは感じた。
ジャガーI-PACEファーストエディションのスペック
■価格 8万1495ポンド(1222万円)
■全長×全幅×全高 ―
■最高速度 ―
■0-100km/h加速 4.5秒
■航続距離 465km(WLTPサイクル)
■CO2排出量 0g/km
■乾燥重量 2200kg
■パワートレイン 2モーター・同期制御
■使用燃料 電気(90kWh・リチウムイオンバッテリー)
■最高出力 400ps(複合)
■最大トルク 70.7kg-m(複合)
■ギアボックス シングルスピード
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