ガソリンエンジンとの音の差はかなり縮小している
カラカラカラ……。
強大なトルクの「グイグイ感」はほかじゃ味わえない! 歴史に残る「ディーゼルエンジン」の名機3選
ディーゼルエンジンは「カラカラ音」がするという表現は、ユーザーの間で一般的ではないだろうか。
ディーゼルエンジンの代表格といえば、大型トラックやバスだ。高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでは、車内で休憩するトラックドライバーがエンジンをつけたままにするケースも多く、車外には「カラカラ音」が大きく聞こえてくる。
一方、乗用車のディーゼルエンジンについても「カラカラ音」はあるが、大型トラックと比べると音量はかなり小さい印象がある。
また、以前と比べると乗用車のディーゼルエンジンは音量だけではなく音質も変わり、ガソリンエンジンとの”音の差”はかなり縮小していると感じる。
時計の針を少し戻すと、筆者が初めてディーゼルエンジンを搭載した乗用車に乗車したのは1970年代初頭。いわゆる縦目のメルセデス・ベンツ(W115)の220Dだった。横浜市内を走行すると、当時の国内ガソリン車と比べるとまったく違う感じの音で、特にエンジン回転数を上げた際にかなりの音量だったと記憶している。
また、同じく70年代では、慶応義塾大学日吉校舎近くの運転免許教習所で乘った日産「セドリックDX」のディーゼルエンジン音が懐かしい。
※写真はスタンダードモデル
助手席の教官は「アクセルを踏み込んで、エンジンの音がうるさくなってきたと思ったらシフトアップするように」という教え方をしていた。同車にはタコメーターはなく、コラムシフトだった。
その後、80年代からアメリカでの生活が長くなると、当時はメルセデス・ベンツ300SDがブームとなっており、全米各地で試乗する機会があった。
80年代から2000年代にかけては、欧州取材の際に欧州メーカー各社の乗用ディーゼルを試乗してきた。
また、2010年代になってから現在に至るまで、日本国内では日系のディーゼル車を複数、日常生活のなかで使っている。
こうした実体験のなかで改めて感じるのは、ディーゼルエンジンの音と振動の進化だ。
周知のとおり、ディーゼルエンジンはエンジン気筒内の圧力をガソリンエンジンに比べて高く保った状態で高圧のディーゼル燃料を気筒内に噴射することで気筒内燃焼を起こす仕組みだ。そのため、ガソリンエンジンと比べて振動が大きく、これがカラカラ音として空気中に伝わりやすい構造にある。
近年のディーゼルエンジンは、ディーゼル燃料をより高圧で維持し、さらに電子制御された的確な噴射工程によって気筒内燃焼の効率を上げることで、振動が軽減され、その結果として音も小さくなってきた。またエンジン内部にバランサーなどを組み込むことで機械的に振動を抑制する手法も取られている。
そのほか、エンジン外部に出た音については、防音材を適材適所に配備することで車内に伝わる音の軽減を進めてきた。
だが、そうしたディーゼルエンジンの技術開発が今、大きな転換期を迎えている。
欧州では2035年にガソリン車とディーゼル車、さらにはハイブリッド車も含めた内燃機関搭載車の新車販売が原則禁止される方向となっており、ディーゼル乗用車のメッカである欧州からディーゼル車の姿が徐々に消えようとしている。
長きに渡りディーゼルエンジンと過ごしてきた身としては、「カラカラ音」がなんとも愛おしく感じる。
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みんなのコメント
そのBMWの後にいすゞエルフが来たが、エルフの方が静かに感じた。
これがまた、アイドリングストップでエンジン止めたり再始動したりするもんだから、その騒音のオンオフは周囲にも目立つんだよね。