FIAは、2026年からの新しいテクニカルレギュレーションを発表したが、その内容については多くのチームから懸念が示されている。この懸念を払拭するため、発表されたレギュレーションの内容を変更する可能性も残している。
2026年から、F1には新しいパワーユニットに関するレギュレーションが導入される予定だ。そしてそれに伴い、シャシーに関するレギュレーションも変更することとなり、その内容が先日発表されたばかりだ。
■2026年次世代ルール、真の懸念はF1が求める”にわかファン”離れの危険性。「〇〇モード」やらテクニカル用語多すぎ??
ただその内容について、懸念を表明しているチームも多い。その一部は、マシンのパフォーマンスとダウンフォースの低下に関するモノだ。
初期のシミュレーションでは、2026年のF1マシンはダウンフォース量の低下に伴い、コーナリングスピードがF2マシンよりも遅くなるはずだと言われている。
マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラはこの新レギュレーション下で生み出されるマシンについて、「マシンはコーナーでは十分には速くなく、ストレートでは速すぎる」と語った。
またチームは、一部のレギュレーションによって開発が制限されることに不満を抱いており、それが自分たちの改善能力を低下させるリスクとなっていると指摘している。
今回発表されたレギュレーション案は、6月28日に開催されるFIAの世界モータースポーツ評議会に提出され、承認される見込みだが、FIAとしては必要な改善点があればチームと協力して修正に取り組む用意があることを明確にしている。
チームやドライバーからの懸念について、FIAのシングルシーター担当ディレクターであるニコラス・トンバジスは、次のように語った。
「世界モータースポーツ評議会での議論と、できれば承認されることが第一歩だ」
そうトンバジスは言う。
「まだ最終的なレギュレーションは出来上がっていない。チームと話し合うべき点がかなりある。マシンのダウンフォースや直線スピードに関する懸念もいくつか認識しており、これらはまだ改善が必要な点だと考えている」
「チームは2025年まで、開発を始めることはできない。そのため、今月末にレギュレーションが公表されてから開発を始めるまでの間に、チームやFOM、その他全ての関係者と十分に協議した上で、相当な量の追加作業が行なわれると予想している」
「うまくいけば、それが何らかの改良につながり、今年の後半に行なわれる世界モータースポーツ評議会に提出され、承認されることになるだろう」
現在のレギュレーションに基づけば、新マシンが非常に遅いというチーム側の懸念は正当なモノであると、トンバジスは認める。その一方で最終的に2026年マシンが登場する時には、状況は大きく変わるだろうと語った。
「人々は今、紙に書かれたレギュレーションのスナップショットを撮り、それに基づいてコメントしている。その懸念は正しいと思う」
そうトンバジスは語った。
「皆さんが提起しているこれらの問題について、私は心配していない。パフォーマンスが向上することについては、十分な期待を抱いている。そして、だからこそまずはハードルをかなり低く設定し、チームと協力してそれを積み上げていくことができるのだ。このマシンでダウンフォースを増やすのは、実はとても簡単なことなのだ」
「コメントの内容は理解しているが、この新しいマシンがF2より速くならないとか、そういう心配はないと思う。最終的なレギュレーションの段階では、100%解決されると思う」
エンジンと電力の出力比が1:1になるということが、マシンのパフォーマンスに妥協を強いる要因のひとつとなっている。そのため、エンジンの出力を上げることで、その足枷を解消できるという見方もある。
現時点での2026年レギュレーションでは、燃料流量が今よりも制限されることにより、エンジンの出力が抑えられることになるわけだが、この燃料流量の制限を変更すれば、予定よりも出力を上げることができる。
このアイデアについては以前は否定的だったものの、PUメーカーの賛同さえあれば、その方向に進むのも不可能ではないと、トンバジスは示唆した。
「パワーユニットのガバナンスに関しては、少し立場が異なる。PUの規制に関しては既にガバナンス協定を結んでいるため、調整にはPUメーカーとの合意が必要であり、我々が一方的に行なうことはできない」
「しかし一般的に言えば、非常に良好な協力精神がある。調整が必要な場合、PUメーカーが協力してくれると確信している」
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