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ランドクルーザーでオーストラリア旅はいかが?

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ランドクルーザーでオーストラリア旅はいかが?

ランドクルーザーでオーストラリアの砂漠を駆け抜け、エアーズロックを見にいこう!


岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第216回

青学中等部の美人同級生は毎日、黒いアメリカ車で送迎されていた


僕が砂漠好きだということは、すでにご承知の通り。世界中のあちこちの砂漠を走っている。そんな僕としては、「妄想の旅」シリーズにも、当然、砂漠の旅を加えたい。

ということで、今回はオーストラリアの砂漠を走り、「地球のヘソ」と言われるエアーズロックに行くことにする。旅を共にする相棒はランドクルーザー プラド。砂漠の旅には、文句なしの相棒だ。

ちなみに、エアーズロックは、オーストラリアの先住民であるアボリジニの聖地であり、彼らは「ウルル」と呼ぶ。公式文書でも「デュアルネーミング」として、「/」(スラッシュ)によって併記されている。

「ランドクルーザーとエアーズロック」の話は以前にも書いた。かつて、40型で旅をした時の話だ。40型はクルマもタフだが、乗る人間にもタフさを要求した。

同行した代理店のスタッフと交代で運転するはずだったのだが、激しいキックバックで手首を痛め早々にリタイア。結局、全行程の多くを僕が運転する羽目になった。


でも、最新のランドクルーザーは違う。タフさは超一級のまま、乗る人にはグンと優しくなっている。なので、手首を痛める心配もないし、疲れもグンと少なくなるだろう。

ランドクルーザー プラド(以下はランクルと呼ぶ)はディーゼルモデルを選ぶ。2,8ℓの直4で204ps / 500Nmを引き出す。低回転で大きなトルクを引き出す、、砂漠やタフなセクションを走るのには、ここが魅力だ。

トランスミッションは6速ATだが、トップモデルのTZ-Gには、ドライブモードセレクト(コンフォート、エコ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+)がつく。

また、路面状況に応じた走行モードを選ベるマルチテレインセレクト(MUD & SAND、LOOSE ROCK、MOGUL、ROCK & DIRT、ROCK)も、砂漠の旅には強力なサポート役を果たしてくれる。

出発はシドニー。オーストラリアで僕がいちばん好きな街だが、まずは「シドニーを楽しむこと」から旅をスタートしたい。

シドニーは街歩きも楽しい。でも、自然の力が創造した雄大で美しいシドニー湾を楽しむことも、予定に入れておきたい。それも十分な時間をとって、、。

いちばん楽なのは、クルーズ船に乗ること。だが、カヤック(レンタルできる)を自分で漕ぎ、身体全体、五感全体でシドニー湾を味わい楽しむのも、オススメだ。

シドニー湾といえば、世界遺産のオペラハウスを思い浮かべる人は多いだろう。オペラハウスは美しい。でも、もうひとつ、ハーバーブリッジの美しさも格別だ。

1200m近い長大なシングルアーチ橋の美しさには惹き込まれる。加えて、この橋、徒歩で渡ることもできる。望めば、ちょっとした手続きで、頂上まで登ることもできる。僕は徒歩で渡っただけだが、シドニー湾を跨いでの散歩は快感だった。


さて、そろそろ出発しよう。

シドニーを出て、そのまま内陸に入るのもいい。だが、「オーストラリアをあれこれ体験したい」というのなら、タスマン海に沿ったルートを走り、キャンベラ、メルボルンに寄るプランもいい。

メルボルンからアデレードに向かうルートはいくつかあるが、基本的にはA8を辿り、オーストラリア内陸の雄大なスケールの自然を楽しみたい。

砂漠とは言っても、オーストラリアのそれは赤茶けたサラサラの砂丘が連なる類のものではない。地域によって表情は異なるものの、草木もあるし、動物も生息している。

動物では、カンガルー、コアラ、ワラビー、エミューなどが知られているが、クルマの旅で、いちばん危険なのはカンガルー。

僕はカンガルーに2度ぶつかっている。1度は軽いダメージで済み、カンガルーも走って姿を消したが、もう1度は酷い目に遭った。

詳細は省くが、120~130km/hで、突如目の前に飛び出してきたカンガルーと激突。カンガルーは宙に飛び、フロントガラスを突き破ってキャビンに。運転していた僕の相棒の肩に大きな傷を負わせた。ラリーでのことだ。

カンガルーをはじめとした動物との事故はとくに夜間が多いという。動物はライト目指して飛び込んでくるような習性があるらしい。

夜、路上に寝ていた牛にぶつかりそうになったこともある。オーストラリアの牧場は巨大。その中を一般の人たちが使う道路が通っていることも多い。だから牛にも遭遇する。

オーストラリアの人たちは、「夜の移動は危険だから止めたほうがいい」と重ねて言う。だから、旅行計画には余裕をもって、明るい時間帯に目的地に着くようにしたい。


ちなみに、牛は放牧が多く、牛が逃げないよう柵を巡らせている。柵と道路が交差するところには深い溝が掘られ、大きな隙間を開けた太い木材で作られた橋がかかっている。

大きな隙間の意味だが、牛が通ろうとすると、隙間に足を落として逃げられないようになっているということだ。

この橋のところにはゲートもあるが、ゲートはクルマを降りて手動で開閉する。「開けたら必ず閉める」のがルールになっていることは覚えておきたい。

観光地ではない砂漠地帯のホテルには、いわば「さびれたモーテル」風なものが多いが、僕は好きだ。「砂漠の旅をしている!」といった実感が強く味わえるからだ。

幹線を外れても、敢えてチャレンジングなルートを選ばない限り、ランクルなら余裕でこなせる。橋のない川があったりもするが、道路と道路を繋ぐところは、注意深く走れば難なく通過できる。

怖いのは砂漠の雨。急に空が暗くなり、生暖かい風が、、、これは雨の前兆だから、少しでも高い場所に素早く移動すること。

砂漠の雨は滅多に降らないが、一旦降ると、豪雨になったり、豪雨が濁流を産んだりするからだ。ランクルは強いが、砂漠の豪雨には勝てない。

アデレードは大きな町だから、ここではしっかりしたホテルに泊まって、美味しい食事を食べて、身体を休めよう。砂漠の旅は、高揚感もあって疲れていないように感じるかもしれないが、かなり疲れるものなのだ。

アデレードからアリススプリングスまでは約1000kmほどの道のりだが、A87で一直線。道路標識さえしっかり見ていれば、迷うことはない。途中で、気楽なモーテルでも見つけて一泊すればいい。


このルートでの要注意は、単調な道が続くことでの退屈さ(集中力を欠く)との戦い。そしてロードトレインとのすれ違いだ。

3両、4両、ときには6両ものトレーラーを牽引する、文字通りのロードトレインとのすれ違いは 緊張する。

鉄道が発達していない地域の物流を担うロードトレインだが、巨大な排障器をつけ、太い排気パイプを空に向かって突き出し、突進してくるトレインの様は、迫力を超えて怖い!

僕はスピードを緩めて、できるだけ端によってすれ違う。バイクで走った時は、道路端に停めてやり過ごした。まともにすれ違ったら風圧で転倒しかねないからだ。

アリススプリングスからエアーズロックまでは約450km。このエリアの景色のスケール感は「雄大!」といった表現が相応しい。加えて自然の「すごみ!」をも実感させられる。

エアーズロック リゾートには6~7軒のホテルがあったかと思うが、しっかり予約したい。

そして、陽が昇る時、陽が沈む時、、もっとも美しくも神秘的、、そう、神々しいまでの姿を見せるエアーズロックを、脳裏に刻みつけてほしい。先住民の聖地であることが、心の底から実感できるはずだ。

エアーズロックの近くにある、大小さなざまな岩山の群れ、マウント オルガ(36もの岩山が連なっている)も見ておきたい。これまた、他では見られない貴重な記憶になる。

マウント オルガの周りを一周できる道があるが、これも楽しい。時々、ランクルの実力を試せるようなアクションポイントもあるのでチャレンジしてみたい。

幹線道路から外れた道や荒地を走ったり、ランクルの実力を楽しんだり、、そんなタフなドライブをも旅の目的の一つとするなら、スペアタイヤは2本用意することを薦める。これは僕の過去の経験から言っていることだ。

オーストラリアンデザート、エアーズロック、マウントオルガ、ロードトレイン、カンガルー、ひょっとしてコアラ、、そしてランクルの走り、、、楽しい旅になることは保証する。


● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト


1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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