ポコノ・レースウェイで開催された2024年NASCARカップシリーズ第21戦『ザ・グレート・アメリカン・ゲートウェイ400』は、大観衆で満員のスタンドを前に王者ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が粘りのドライブを披露。同トラックで史上最多勝利数を誇るデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)を1.312秒差で抑え切り、今季2勝目を飾ってチャンピオンシップ5位に浮上している。
シカゴ市街地での象徴的な1戦を終え、レギュラーシーズンも残すは6戦。カップシリーズの一行はペンシルバニア州に位置する2.5マイルの変則トライオーバルを訪問。走行開始前の金曜にはノア・グラグソン(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)の複数年契約もアナウンスされ、来季よりフロントロウ・モータースポーツへの移籍加入が決まった。
初代大会覇者SVGがまさかの脱落第1号、ボウマンが雨絡みのシカゴで80戦ぶり勝利/NASCAR第20戦
そんななか、走り出しから競争力を発揮したのは好調トヨタ陣営で、フリープラクティスではタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)が、続く予選ではタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が最速を記録。フロントロウにアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を挟み、2列目にはマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)とハムリンのJGR艦隊が並ぶ構図となる。
すると快晴の日曜決勝では、新天地を決めたばかりのグラグソンがターン1でハードなクラッシュを喫するなか、コーナーとストレートが“3つしかない”トライオーバルでベテラン勢が主導権を握る展開に。今季限りでフルタイム引退を表明しているトゥルーエクスJr.がステージ1を、そして同地通算7勝を誇るハムリンがステージ2を制覇していく。
迎えたファイナルステージでは、アンダーコーションでの作業時にカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)やチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)、さらにギブスのカムリXSEらがピット速度制限違反を犯すと、そのリスタートではプレーオフ進出を目指すカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)がコリー・ラジョイ(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に撃墜されマルチタングルに発展するなど、波乱続発の状況となる。
■ブレイニーがハムリンの猛攻をしのいで先頭を死守
そんななか、僚友ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らとつねに上位でレースを進めてきたブレイニーが、残り44周のリスタートで隊列を率いることに。その背後からは前戦シカゴの覇者アレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)とハムリンが、執拗にプレッシャーを掛けていく。
ここでギブスの54号車カムリXSEのエンジンブローを起因とする2回のコーションが発動し、そのたびにリスタートでの勝負を強いられたブレイニーだったが、残り7周で2番手に浮上したハムリンの猛攻もしのいで先頭のポジションを死守。160周を走破して先月のアイオワに続く今季2勝目、キャリア通算12勝目を手にした。
「ここ数カ月、素晴らしいペースとスピードにたどり着いたと感じているよ。正直、いくつかのレースは(勝機を)逃してしまったが、それも勝てたはずだ」と今季5人目の複数勝利者となったチャンピオン。
「ここでまた勝てて本当に最高だ。ポコノで7年前に勝利し、初のカップ優勝を果たしたが、今はこうして戻ってこられて最高に良い気分だよ」
そのポコノで雨絡みとなった金曜に併催のNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第14戦『CRCブレークリーン175』は、21歳のコーリー・ハイム(トリコン・ガレージ/トヨタ・タンドラTRDプロ)が両ステージを制覇して今季最多の5勝目を獲得。
同じく併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第19戦『エクスプロアー・ザ・ポコノ・マウンテンズ225』では、ディフェンディングチャンピオンのコール・カスター(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が待望のシーズン初優勝を果たし、フォード陣営に今季初のシリーズ勝利をもたらしている。
レギュラーシーズンも大詰めを迎えているカップシリーズの次戦は、おなじみのインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)へと戻り、ここではインフィールドのロードコース戦ではなく、ひさびさの2.5マイルオーバル決戦『ブリックヤード400』を控える。
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