フェラーリ由来のツインターボV6エンジン
text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
標準仕様のステルヴィオが発表された当初、それほど強いインパクトはなかった。2016年にアンベールされたアルファ・ロメオ初のSUVに搭載されていたのは、家族に優しいディーゼルエンジン。クルマ好きのハートを掴むには至らなかった。
ところが追って姿を見せた、ステルヴィオ ・クアドリフォリオに搭載されていたのは、フェラーリ製ユニットから派生したV6エンジン。最高出力は510psにも届き、幸せの四つ葉のクローバー、ジュリア・クアドリフォリオとプラットフォームは共有していた。
アルファ・ロメオは、SUV人気の流れに乗ろうと努力していた。しかも、古くからの自動車ファンの志向も、ちゃんと意識していたのだ。
AUTOCARでロードテストとして詳細な評価を行ったのは、2019年の初め。満点は得られなかったものの、ディーラーで買えるSUVとして、ベストと呼べる1台だと評価している。
そんなドライバーズカー志向の強いステルヴィオ ・クアドリフォリオが、マイナーチェンジを受けた。2020年の残りを悔いなく過ごすべく、装備類も改められている。
先日ご紹介したジュリア・クアドリフォリオと同様、ステルヴィオも8.8インチ・タッチモニターによるインフォテインメント・システムを獲得。運転支援システムも大幅にアップデートを受け、インテリア素材の質感も高められている。
プラットフォームはジュリアと共有
見た目では、テールライト・カバーがスモーク処理に。カーボンファイバー製のフィニッシャーが付く、アクラポビッチ製のマフラーは、オプションだ。試乗車には装備されておらず、少々残念だった。エンジンやシャシー周りでは、目立った変更はないという。
ステルヴィオがベースとするのは、アルファ・ロメオが新開発したジョルジオ・プラットフォーム。サスペンションはフロントがダブル・ウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。アダプティブ・ダンパーも標準装備される。
クアドリフォリオが積む2.9L V6エンジンのスペックは変わらず、510psと61.1kg-m。Q4と呼ばれる四輪駆動だが、通常の走行時は後輪のみを駆動する。スリップを検知すると、最大でフロントへ50%のトルクが分配される仕組み。
ステルヴィオ ・クアドリフォリオで満点を得られなかった理由の1つが、英国では7万ポンド(945万円)を超える、価格に不釣り合いなインテリア。内装パネルのテクスチャや、組み立て品質は期待以下。あからさまなプラスティックの使用量が多すぎた。
ただし使い勝手は良好で、運転環境や人間工学的にも不備はなかった。ほかのスポーティなSUVと比べれば、やや背もたれが倒れ気味の運転姿勢も悪くない。
もう1つ点数が伸びなかった理由は、SUVとしての乗りやすさ。もちろん、ステルヴィオを本物のドライビングマシンに仕立てるべく、エンジニアが良い仕事をしていることは間違いない。
目的通りステルヴィオ・クアドリフォリオは、エキサイティングでドライバーとの一体感が強い、パフォーマンスSUVに仕上がっている。SUVとして、興奮するようなドライビング体験が得られる。
質感を向上させたインテリア
そのかわり、引き締められた足まわりは、日常的な運転環境ではハードコア過ぎた。高価格帯のファミリー向けSUVとして見ると、乗りやすさが犠牲になっていた。
マイナーチェンジ後のクアドリフォリオでは、それらが改善されているが、完全とはいえないようだ。インテリアはラグジュアリーさを増している。でも、大幅に変わったというには、大げさなレベル。
車内で最も大きな変化が与えられたのは、センターコンソール。シフトノブやロータリー・コントローラーを取り囲むように、プラスティック・パネルが広がっていた部分は、美しいカーボン製カバーに置き換わった。見た目もスッキリ整えられている。
タッチモニターの反応速度やグラフィックでは、まだライバルより劣る。ポルシェ・マカンとの差はまだ明確にある。ギャップは縮まっているけれど。
素晴らしいステルヴィオ ・クアドリフォリオのドライビング体験は、従来どおり。ドライバーの気分次第で、大きな興奮を味わえる。
引き締まった姿勢制御を活かし、頭が持っていかれるほど鋭い回頭性も、後輪駆動ベースの圧倒的な直線加速も変わらない。英国の法定速度から大きく外れない速度域で、SUVボディを羽織ったスポーツカーのように楽しめる。
反面、我慢が強いられることも不変。ジュリア・クアドリフォリオと比較すると乗り心地は硬く、落ち着きが感じられない。ダンパーを柔らかい設定にしていても。
妥協なく強い特徴を持たせた高性能SUV
路面の状態に関係なく、アスファルトが毛羽立ち、足まわりが弾んでいるようにすら感じる。高速道路でも、快適とは呼べないほど。
ドライバーズSUVとして、アルファ・ロメオ・ステルヴィオ ・クアドリフォリオへの注目は高まっているはず。しかし、日常的な利用もまかなえるSUVとして考えると、敷居は高いままでもある。
現代の高級SUVなら、快適性と洗練性は一定以上が期待されている。雨の日や買い物の運転で、路面から必要以上の情報を知覚したいとは思わない人がほとんどだろう。
長所と短所を併せ持っている。でも、妥協なく強い特徴を与えた高性能SUVを、アルファ・ロメオが生み出したことは確かだ。筆者が、ステルヴィオ・クアドリフォリオを嫌いになることは難しい。
7万3195ポンド(988万円)の英国価格を払える人は限られる。しかし、従来以上に多くのドライバーを惹きつける可能性はある。
アルファ・ロメオ・ステルヴィオ ・クアドリフォリオ(英国仕様)のスペック
価格:7万3195ポンド(988万円)
全長:4702mm
全幅:1956mm
全高:1684mm
最高速度:283km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:8.7km/L
CO2排出量:261g/km
乾燥重量:1830kg
パワートレイン:V型6気筒2891ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/6500rpm
最大トルク:61.1kg-m/2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
このSUVブームの最中、これだけコケてるモデルも珍しい。
アルカンターラのシートだったりアルミノブだったり、所々でお金がかかってそうなのに、目に見えるところ、よく触るところがプラスチック感満載でとても600〜700万円の車には感じられないのが本当に残念。あれでだいぶお客を逃しているんじゃないかな。