この記事をまとめると
■中谷明彦さんがLegend’s Roadster Raceで断トツの優勝!
メーカーに直撃! マツダが全車にオルガン式アクセルペダルを採用するワケ
■レーシングコースでは人気のパーティレースや3時間耐久レースも開催
■ステージやトークショー、ショップブースやグルメなども魅力満載
レジェンドたちの熱いレースに注目!
2024年10月19日から20日の週末にかけて、静岡県の富士スピードウェイで行われた「MAZDA FAN FESTA 2024 at FUJI SPEEDWAY」。20日の日曜日はあいにくの雨模様となったが、それでも2日間で約2万3000名(1日目:1万3500名/2日目:9500名)という多くの来場者で賑わった。初日に取材した速報はすでにお伝えしているが、そこでは紹介できなかったコンテンツを中心に続報をお届けしたい。
まずはサーキットでの開催ということで、レーシングコースでのおもなメニューのなかから、20日に行われた「Legend’s Roadster Race」で本WEBのご意見番ともいえる中谷明彦さんが、レジェンド部門と総合のダブル優勝というニュースからご報告しよう。
このレースには、モータースポーツ界の先駆者であるレーシングドライバーたちが、その歴史と経験を語り継ぎ、モータースポーツのさらなる発展を願って組織したLegend Racing Drivers Club(寺田陽次郎会長)の会員が出場する。
日本レース界でただひとりグランドスラム達成の長谷見昌弘(以下は敬称略)や、日本人としてインディ500に初めて出場したヒロ松下(松下弘幸)など、60歳から最高齢は91歳(今回出場の多賀弘明)のレジェンドたちが、ガチの本気バトルを繰り広げるファン必見のエキシビションレースとして知られている。
2018年から毎年秋に開催されるのが恒例となり、従来はVITA(ヴィータ)など別のマシンを使用していたが、今回はマツダのファン感謝イベントに組み込まれたこともあり、ロードスター・パーティレースIIIやマツダファン・エンデュランス(マツ耐)などに参戦しているロードスターNR-Aのオーナーに車両提供の協力を依頼。そのため、今回のレースはオーナーとレジェンドがチームを組んでのリレーマッチという形式になった。予選はレジェンドが担当し、決勝もレジェンドがスタートして7周。そしてピットで乗り換えてオーナーが6周を走り切った結果が最終の総合順位となる。
記念すべきロードスターでの初開催には、17組のチームがエントリー。この日の富士は朝方から雨の気配が漂うも、8時ジャストから15分間の予選はドライ路面で行われた。ポールポジションを獲得したのは11号車の中谷明彦。レジェンドとはいえ、つい先日の「メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」にも我らがWEB CARTOPチームのエースとして出場したばかり。
大本命の予想通り、2番手に3秒以上の大差を付ける2分15秒622でポールポジションを獲得した。以下、15号車の柳田春人、5号車の佐々木秀六と続いた。
中谷明彦さんが圧倒的な強さを見せた
9時25分からの決勝はなんと変則ル・マン式スタートを採用。あいにくなことに雨が降り出してしまい、路面はドライからウエットに途中で変わる難しいコンディションになった。ホームストレートの反対側から走ってきたオーナーがレジェンドにキーを渡してエンジン始動。そして戦闘が開始された。ポールの11号車を含めて、何台かがリモコンの電波のいたずらで出遅れる事態に。それでも中谷は慌てず騒がず、2周目にはトップに躍り出た。
なにせ中谷だけが2分17秒台で、それを追うレジェンドたちが2分23秒台なので、差は開く一方。7周目には30秒の大差を付けて最初のチェッカーフラッグを受けた。ただし、2位争いは熱いバトルが展開された。1号車の長坂尚樹が2周目以降、6周目まではその座を守ったが、ファイナルラップを前に4号車の長谷見と15号車の柳田が急接近。結局、柳田が2位、長谷見が3位となって表彰台のゲットに成功した。
チェッカーを受けたレジェンドたちは8周目に全車がピットイン。その場でオーナーとドライバー交代を行い、準備ができたチームからピットロードエンドに整列した。つまり、中谷が築いた30秒の貯金もここで一度リセットされ、交代に手間取るとスタート順すらも変わることになる。さすがに11号車は余裕たっぷりで先頭をキープしたが、2番目には1号車、3番目には15号車が並んで、出口信号が青に変わるのを待つことになった。
それでも11号車のオーナー、上田純司は2年連続パーティレース東日本チャンピオンの実力を発揮した。序盤こそ1号車の竹内佑騎が少し差を詰めたが、途中からその差はコントロールされたものに変わっていった。のちに聞くと、上田は曇り止めのためにエアコンONで走行していたとのこと。そして6番手から激走を見せてくれたのが、前日のパーティレースでも3位入賞という16号車の三宅陽大。雨が激しくなり、トップ2台が2分30秒から31秒台で走行しているのに対して、2分28秒台を連発。ファイナルラップは2分27秒693という驚異の後半最速ラップで追い上げたが、わずかに届かず3位となった。
中谷は「たしか5年前に初出場したときに勝って以来です。つい先日、雨のメディア対抗を走っていたのも有利ですよね。オーナーがチャンピオンということで、相方にもマシンにも恵まれました。開催に尽力いただいた皆様に感謝します」とコメント。
上田は「スタートで走ったのも初めてで、S耐にも出場させてもらっているので、決勝の前は緊張しました。でもじつは雨は得意な方なので、最後は楽しく走ることができました。ありがとうございます」と振り返った。
マツダの「身内バトル」も開催!?
この2日間の富士では、ほかにも3つの競技系イベントが行われた。まずは19日の土曜日、ナンバー付きマシンで争われるロードスター・パーティレースIIIの全国を転戦するジャパンツアーシリーズの第6戦が開催。前述の上田や三宅も出場しているが、総合優勝を飾ったのは南澤拓実。2021年にこのレースで年間王者になった実力者が今年度は久しぶりに復帰していて、5月の筑波ラウンドと9月の鈴鹿ラウンドに続いての3勝目を達成している。
そして残るふたつは、いわゆる耐久イベント。初日はマツダグループチャレンジカップ(マツチャレ)で、2日目はマツダファン・エンデュランス(マツ耐)の特別戦が開催された。どちらもルールなどは共通で、20分の予選でグリッドを決めたあと、3時間の決勝を無給油で走り切って勝負を決める戦いだ。ピットイン4回が義務なので、ドライバーは5名までOKという団体戦でもある。ただし、マツチャレは今回が初の試みで、マツダグループの各社の対抗戦といういわば“身内のバトル”。そしてマツ耐の特別戦はマツダ車オーナーに広く門戸を開いた異種格闘技。いつもは2時間30分なので、30分余計に走るために各チームが知恵を絞る頭脳戦でもある。
記念すべき最初のマツチャレは、9号車「北関東MRTロードスター1号」の鈴木一弘/大貫克洋/加藤伸明/照沼士穏/山本秀慈組が71周を先頭で走破して総合優勝。毛籠勝弘社長もステアリングを握った1号車「人馬一体ロードスター」は、そのトップと同じ71周を走りながらも、ピットイン義務違反で2周減算のペナルティを受けて6位に甘んじている。
また、2日目のマツ耐・特別戦は56号車「JRCパワースロードスター1号」の森口 晃/森口拓哉組が、68周を走破して見事に総合優勝を飾った。ちなみに前日のマツチャレのウイナーより3周少ないのは、こちらの2日目のほうが、セーフティカーが導入された周回が多かったためとなっている。
この競技系イベント以外では初日に1回、2日目に2回の「787B・歴代レーシングカーデモラン」が行われた。1991年のル・マン24時間レースで優勝したマツダ787Bは、通算29回の参戦記録を持つ“ミスタールマン”の寺田陽次郎がドライブ。そのほか、スーパー耐久シリーズのST-Qクラスに参戦中の55号車MAZDA3 Bioコンセプトや、12号車ロードスターCNFコンセプトも多くのファンの前で激走を披露。さらに、ロータリーエンジン搭載のサバンナなども往年の爆音をサーキットに轟かせていた。
そして両日とも、コース上の最後を締め括ったのは、お約束の“パレードラン”。見てのとおり、日本でも最大のスケールを誇る富士スピードウェイのコースを埋め尽くすほどの台数が参加。雨模様だった2日目も最後はご覧のように天候が回復し、パレードの参加者たちにとっては最高の思い出になったに違いない。
最後はマツダの藤本恵利ブランド体験推進本部長の来場者への感謝のアナウンスで、この2日間の壮大なイベントが幕を閉じた。パドックやステージでも多くのメニューが開催されたので、それは今回撮影を担当してくださった増田瑠美さんの写真で、お楽しみいただければ幸いだ。
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