1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回はBMWの美しきクーペ「3.0CSi」だ。
走行距離、約9万km!
少年I:今回、探偵団がチェックするのはBMWの名車、3.0CSiです。探偵がどうしても見たいと懇願されたので極上の1台を探してきました。
少年O:名車中の名車ですね。1971年に発表されて、1975年まで作られました。エレガントなクーペボディに、パワーのある3.0リッター直列6気筒ガソリン・エンジンの組合せ。その後の「6シリーズ」や「8シリーズ」などにつながるBMWのイメージを基礎になったともいっていいかもしれません。ちなみに、車名にある「C」はクーペ、「S」はスポーツバージョン、「i」は燃料噴射(インジェクション)を意味しています。
探偵:1989年生まれの私から見ても“綺麗だなぁ”と、思います。ネットで画像を検索するたび、いつか乗ってみたいと期待していただけに、今日は嬉しいです!
少年I:私が子どものときは、BMWはさまざまな車型を展開して、メルセデス・ベンツと覇を競っていた印象です。かつては、速くてきれいなクーペを数多く手がけていたんですよね。個人的にはキドニーグリルのサイズが小さい初代8シリーズが好みです。当時のBMWは、キドニーグリルの廃止を考えていた時期だったという話を聞いたことがあります。それゆえ、初代8シリーズのキドニーグリルはかなり小さくなったとか。
少年O:オーナーの丸山スミオさん(54歳)は、1975年型のこのクルマを3年半前に入手なさったそうです。BMWジャパンが出来るまで、日本でBMWの総代理店を務めていたバルコムトレーディングが販売した車両で、以来、約9万kmしか走っていないとのこと。
探偵:約50年間で、それしか走っていないんですか! いい買い物をなさいましたね。なかなかない巡り合わせです。
少年I:個人所有車だったそうです。丸山さんは、いつかはこのクルマに乗りたい、と、ずっと思っていたそうです。念願のクルマ。ただ「3.0CSLが欲しいです、手が出ませんが」ともおっしゃっていました。
少年O:3.0CSLはレースでも活躍したスポーツモデルですね。1972年にETC(ユーロピアンツーリグカー選手権)への出場するために作られたホモロゲーション(出場資格認定)モデルで、アルミニウムを多用した軽量ボディに、200ps以上を出す3.0リッター超の排気量。年を追うごとに排気量が少しずつ増えていました。車名の「L」はライヒト、ドイツ語で「軽量」のことですね。
探偵:コホン。話が長かったですが、クラシックBMWが好きな人はみんな、CSLが憧れのクルマっておっしゃいますね。
少年O:私はBMWミュージアムが保管している車両で、イタリアを走ったことがあります。“シャーンッ”と、レッドゾーンまで軽々と吹け上がるエンジンに驚きました。もっと驚いたのは、走りだして最初のロッタトリオ(英語だとラウンドアバウト)に入ったとき、操舵力があまりに重かったこと。軽い気持ちでステアリング・ホイールを操作しようとしたら、ぜんぜんまわらず、アンダーステアが出て焦りました。
探偵:少年Oさん、ぜんぜん少年らしくないことしていますね。うらやましい。切り遅れのアンダーステアって、パワー・ステアリングがあたりまえの我々にとっての“アルアル”ですね。
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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.32──日産・レパード(2代目)1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回は日産の高級パーソナルクーペ、2代目「レパード」だ。俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.31──トヨタ・クラウン(8代目)1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回は1980年代のトヨタを象徴するバブリーな1台、8代目の「クラウン」のセダンモデルだ。俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.29──トヨタ・ソアラ(2代目)1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回はバブル経済期に大ヒットしたトヨタのハイソカー「ソアラ」(2代目)だ。“シルキーシックス”は絶品!少年O:とにかくBMWで感心するのは、エンジンがすごいこと。パワーだけでなく、高回転域までわっていくときのフィールのよさはハンパないです。
少年I:丸山さんも「手に入れてまず感心したのは、“シルキーシックス”の気持ちよさでした」とおっしゃっています。
探偵:“シルキーシックス”とは?
少年O:絹の手触りのようになめらかに高回転までスムーズにまわる6気筒って意味で、BMWのエンジンのことを言います。最近は、どのメーカーもいいエンジンを作るようになって、あまり聞かなくなりましたが。それでも、いまのBMWの直列6気筒エンジンも、ガソリンでもディーゼルでもすばらしいフィールです。
少年I:丸山さんにとっても、BMW Club Japanのツーリングにご子息とこのクルマで参加し、八ヶ岳を走ったことが、まっさきに思い出としてよみがえるとおっしゃっています。美しい紅葉の景色もさることながら、“シルキーシックス”の気持ちよさを存分に味わったとか。「ちょっと寒くなったころが、エンジンが調子良いんですよね」とのことです。
探偵:そういうものなんですね。たしかに、BMWと言えば真っ先に“良いエンジン”を連想します。実際に所有したことはないのですが、BMWのエンジンにはスポーティでパワフルな印象を持っています。
少年O:とくに昔のクルマのエンジンは、冷却技術の関係もあるんでしょうが、ある程度寒冷な状況のほうが放熱もできて、調子が良いですよね。
少年I:たしかに、私もむかしのトライアンフのスポーツカーに乗ったとき、夏だったんで、オーバーヒートに悩まされました。1960年代とか1970年代の欧州は今より平均気温が低かったら、そこで作られたエンジンは、日本の亜熱帯のような気候には合わないんですよね。
少年O:そういえば当時のイギリス車は、ラジエターが小さかったですね。
少年I:丸山さんの3.0CSiは好調なようです。エアコンの調子がよくない、ということですが、失礼を顧みず言わせていただければ、マイナートラブルですね。
日常で乗れる!探偵:ご厚意で乗せていただいたんですが、ひとことでいうと、まったく古くさくないんです。エンジンは気持ちよくまわってトルクもたっぷりあるし、ステアリング・ホイールもギアも、“カチッ”としているのに驚きました。
少年O:歴代オーナーが丁寧にメインテナンスをしてきたというのも理由のひとつでしょうね。
探偵:ブレーキも思っていた以上によく効くのに驚きました。現代の道路事情でも問題ありません。
少年O:クルマの場合、“古さ”ってブレーキから感じますからね。たとえば、BMWの「Z1」(1989年)なんて、すばらしい2.5リッター6気筒で、ハンドリングもいいし、当時もよかったけれど、いま乗ってもよく出来ているなぁと感心させられます。ただし、ブレーキフィールがいまひとつ、なんですよね。しようがないことなんですが。
探偵:少年らしくない(笑)そのとおりなんでしょうね。でも、3.0CSiのブレーキ、少年Iが乗っているシボレー「コルベット」(1987年)よりよく効きました。
少年I:自分で限界をわかって乗っていれば大丈夫です!
探偵:スタイリングも、細いリアクオーターピラーを持つグラスハウスの繊細な造型と、ボートテールのようなカーブをもつリアとがうまくバランスとられていて、後方からみると、うっとりしますね。
少年I:もしこんなふうに古いBMWに乗りたいと思っていらっしゃるかたへのアドバイスとして、オーナーの丸山さんは「おなじクルマに乗っている人と知り合いになることです」と、おっしゃっています。
探偵:なるほど。私もフォード「フォーカスRS500」に乗っている人と知り合いになりたいのですが、まったくあらわれません(涙)。
少年O:とはいえ3.0CSiは、私たちに手の届かない価格になってしまったのが残念です。
少年I:円高がいつかやってくると願いつつ、せっせと貯金したいと思います。
俳優・永山絢斗(ながやまけんと)1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。出演情報/
出演情報/
・映画『LOVE LIFE』2022年9月9日(金)全国ロードショー
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メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
アルファロメオ・スパイダー(初代)
日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
ホンダ・NSX(初代)
シトロエンCX
メルセデス・ベンツSクラス(W126)
ローバー・ミニ
フェラーリ360モデナ
フォードRS200
フォード・エスコート(マーク1)
マツダRX-8
トヨタ・セルシオ(初代)
日産・フェアレディZ(2代目)
フォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)
メルセデス・ベンツ560SEC
フォルクスワーゲン・コラード
アストンマーティンDB5
いすゞ・ピアッツァ(初代)
ポルシェ911(タイプ964)
三菱ランサーエボリューションIX
ホンダ シティ・ターボII
シボレー・タホ(初代)
三菱GTO
シボレー ・コルベット(4代目)
日産フェアレディZ(4代目)
デロリアン
マツダ・ロードスター(2代目)
フォード・フォーカスRS Mk3
トヨタ・ソアラ(2代目)
トヨタ・マークII(5代目)
トヨタ・クラウン(8代目)
日産・レパード(2代目)
まとめ・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix ヘア&メイク・新宮利彦
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