三菱のパジェロといえば、本格派オフロード4WD車としてトヨタのランドクルーザーとともに日本を代表する名門モデルのひとつ。
しかし、残念ながら国内向けモデルの生産終了が発表され、2019年8月をもって日本では長い歴史にピリオドを打つ。
三菱きってのリアルスポーツ!! GTOが復活しなかった理由 【偉大な生産終了車】
そんななか“もうひとつのパジェロ”として車名に伝統の名を冠すパジェロスポーツの新型が、2019年7月25日にタイで世界初公開!
今回の改良モデルは果たして何が変わったのか? 日本では売られていないパジェロスポーツの位置づけとともに、ニューモデルを紐解く!
文:ベストカーWeb編集部
写真:MITSUBISHI
日本未発売のパジェロスポーツとは?
従来型のパジェロスポーツ。フロントマスクはアウトランダーに近い意匠。2015年にタイで発売され、オーストラリア・中東・アフリカなど世界各国で販売されている
パジェロスポーツは、日本でもかつて発売された「チャレンジャー」に端を発するSUV。
1996年に発売された初代は、2代目パジェロ(1991年発売)をベースとしたモデルで日本でも販売されたものの、2007年に発売された2代目モデル以降は海外専売モデルとなっていた。
そして、2015年に現在も販売されている3代目モデルが発売。車名に関してはパジェロスポーツを基本に、一部地域ではモンテロスポーツの名でも売られている。
イメージとしてはランクルに対するランクルプラドといった雰囲気で、全長4.8m、全幅も1.8m程度と本家パジェロと比べると小型で扱いやすい車格も魅力的。
モデルとしても2006年に発売されたパジェロより現行型パジェロスポーツは新しい。それだけに、ダイナミックシールドを採用した外観は、アウトランダーに近い雰囲気を持つ、近年の三菱車らしいデザインとなっている。
よりパジェロらしく!! 新型パジェロスポーツのポイントは?
新型パジェロスポーツのフロント外観。全長×全幅×全高は4825×1815×1805mm(タイ仕様)となっている
今回マイナーチェンジで刷新されたパジェロスポーツの特長は、迫力を増したそのエクステリアデザイン。
太くなった横桟のメッキグリル、そして新型デリカD:5と同様の縦型のマルチLEDヘッドライトとLEDポジションランプを新たに採用した外観は、従来型と比べて直線的で、どことなく本家パジェロに近い雰囲気も感じられるルックスに。
内装面は、8インチのカラー液晶モニターを採用するなど小変更に留まるが、このほか新たにハンズフリー機能付の電動テールゲートを採用。安全面でも従来の緊急自動ブレーキに加えて、レーンチェンジアシスト(LCA)と後退時車両検知警報システム (RCTA)を加えるなどブラッシュアップを図っている。
パワートレインは、最高出力181ps、最大トルク43.8kgmを発揮する2.4LのMIVECディーゼルターボエンジンに8速ATを組み合わせ、4WD車には本家パジェロ譲りの「スーパーセレクト 4WD-II」を搭載するなど、お家芸である悪路走破性は抜群だ。
注目の価格は、それぞれ日本円換算で「GT 2WD」が約455万円(129万9000バーツ)、「GTプレミアム 4WD」で約560万円(159万9000バーツ)となっている。
日本発売は? 今後パジェロはどうなる?
新型パジェロスポーツのリアスタイル。最小回転半径は5.6mで同5.7mのパジェロと比べて良好な数値だ
日本では未発売ながら、このパジェロスポーツ、実は2017年上半期にはグローバルで約3万8000台(三菱自動車調べ)を販売し、三菱車のなかでグローバル販売ベスト5に入る稼ぎ頭。
ちなみに、これは本家パジェロを上回る台数でもある。
パジェロは、今後も海外向けモデルの生産を継続。今も本格派オフロード4WDとしての実力は一線級ではあるものの、2006年の登場からかなり経過しているし、次期型の登場もまだ先といわれる。
そうなると、やはりパジェロブランドのなかでパジェロスポーツが担う役割は、今まで以上に大きくなってくるはずだ。
現時点で残念ながら日本導入の計画はないというが、パジェロなき後、三菱としても象徴的なモデルが必要であることは間違いない。
日本では2019年3月にライバルのランクルが月間で4012台を販売。そのほとんどがランクルではなく弟分のランクルプラドの台数で、なおかつこの数字はマツダ CX-8とほぼ同数。車としての性格を考えれば思った以上に売れている。
こうした動きを見れば、「より扱いやすいサイズのパジェロスポーツを日本に!」という選択肢は、あながち絵空事ではなく、戦略的にもあり得る選択のひとつかもしれない。
35年以上の歴史を誇るパジェロブランドの今後の展開にも注目だ。
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