2019年のスーパーGT最終戦となる第8戦は11月3日、栃木県にあるツインリンクもてぎで250km、53周の決勝レースが行われ、ファイナルラップまでLEON PYRAMID AMGがレースを支配する展開だったが、チェッカー目前のホームストレートでスローダウン。15秒近い差をひっくり返したGAINER TANAX GT-Rが第2戦富士に続くシーズン2勝目を飾った。一騎打ちとなっていたシリーズチャンピオン争いは4位でチェッカーを受けたARTA NSX GT3が制し、シリーズチャンピオンに輝いている。
決勝日となる3日(日)は雨予報も出ていたツインリンクもてぎだが、サーキット上空はうっすらと雲がかかる程度で降雨はなし。13時30分からの決勝レースも終始ドライコンディションで争われた。
栃木県警察先導によるパレードラップ、セーフティカー先導のフォーメーションラップを経て、レースはスタート。オープニングの1コーナーにはアレックス・パロウがドライブするMcLaren 720Sを先頭に、リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、LEON AMGと続いていく。
しかし、3番手のLEON AMGは後続のGAINER TANAX GT-Rに交わされたほか、1周目のビクトリーコーナーではARTA NSX GT3にも交わされてしまい、クラス5番手まで後退してしまった。
また、オープニングラップではアクシデントもあり、ARNAGE AMG GT3とシンティアム・アップル・ロータスが1~2コーナーのグラベルでスタック。それぞれマーシャルに救出されてレースには復帰したものの、周回遅れとなる厳しい立ち上がりとなった。
首位を走るMcLaren 720Sは後続にコンマ3秒ほどのギャップをつけていたがGT500クラスとの混走になり始めた5周目、ダウンヒルストレートでリアライズGT-Rに迫られると、90度コーナーへの飛び込みでインを刺され、サイド・バイ・サイドのままターンイン。
このコーナー立ち上がりでランオフへと追いやられる形となったMcLaren 720Sはオーバーテイクされてしまい、トップが入れ替わる。さらに、この2台の戦いを一歩引いて見ていた3番手、GAINER TANAX GT-RもセカンドアンダーザブリッジからビクトリーコーナーへのセクションでMcLaren 720Sを攻略。これでニッサンGT-R GT3勢のワン・ツー体制が構築された。
その後もMcLaren 720Sはペースが上がらず、ARTA NSX GT3、LEON AMGに交わされて5番手へ。11周目にはグッドスマイル 初音ミク AMGにも攻略を許し、6番手まで後退している。
その後方ではシリーズチャンピオンを争うK-tunes RC Fがオーバーテイクショーを披露。予選17番手スタートから、12周目を迎えたころには9番手までポジションアップ。その周の90度コーナーではおなじレクサス使いのSYNTIUM LMcorsa RC F GT3を攻略し、8番手に浮上した。
9台の追い抜きをみせてきたK-tunes RC Fの新田守男は、16周目にピットイン。セカンドスティントを阪口晴南に託す。GT300クラスは、このころからピットインしてくる車両が増え始め、17周目終わりにはチャンピオンに王手をかけるARTA NSX GT3がピットイン、高木真一から福住仁嶺にスイッチすると、暫定15番手でコースへ復帰していった。
この周には菅波冬悟がスタートドライバーを務めたLEON AMGもピット作業を済ませている。
クラストップを走っていたリアライズGT-Rは20周目終わりでピットイン。スタートを担当した平峰一貴からサッシャ・フェネストラズにドライバー交代し、先にピットを終えたLEON AMGの後方、同じくルーティンピットを終えているGAINER TANAX GT-Rの前方となる暫定4番手でコースへ戻った。
事実上のトップにつける蒲生尚弥のLEON AMGは24周目にルーティンピット未消化のSYNTIUM RC Fを交わして見た目上でもトップへ。翌周には、そのSYNTIUM RC Fがピットインしたため、2番手にリアライズGT-R、3番手にGAINER TANAX GT-R、4番手にARTA NSX GT3がつける隊列へと変化した。
トップ3の顔ぶれが変わらず、こう着状態になったかと思われた31周目、V字コーナー先のストレート区間で2番手リアライズGT-Rが突如スローダウン。ヘアピンを立ち上がった先で一度マシンを止めてしまう。幸い、直後に再始動しレーシングスピードを取り戻したが、3台に交わされ5番手へ後退してしまった。
これでLEON AMG以下は、GAINER TANAX GT-R、ARTA NSX GT3、初音ミク AMGという顔ぶれ。その後ろにリアライズGT-Rが続いたが、32周目にK-tunes RC Fにオーバーテイクを許し、6番手へポジションを落としている。
トップ3を形成する3台は、それぞれ10秒以上の間隔が開いていた一方、4番手初音ミク AMGの後方には阪口操るK-tunes RC Fが接近。38周目には0.923秒差となり、テール・トゥ・ノーズのバトルに発展する。
すると、その周のダウンヒルストレート、初音ミク AMGのスリップストリームを使ったK-tunes RC Fが90度コーナーへの飛び込みでインからオーバーテイク。表彰台目前、そしてチャンピオンを争うARTA NSX GT3の後方4番手へ浮上した。
■チェッカー目前のホームストレートで劇的幕切れ。GAINER TANAX GT-Rが2019年2勝目
この時点で13台抜きの大躍進を見せているK-tunes RC Fは攻め手を緩めず。41周目には4番手ARTA NSX GT3の2.308秒後方、その翌周には1.055秒後方まで接近していく。
K-tunes RC Fの阪口は43周目のホームストレートでスリップを使いながら、ARTA NSX GT3の福住を攻略。17番手スタートだったK-tunes RC Fが、ついに表彰台圏内の3番手までたどり着いた。
しかし、チャンピオン争いでは14.5ポイントのアドバンテージを持つARTA NSX GT3が5番手以上の自力タイトル圏内にいるため、このままでは逆転には届かない。
その後、GT300上位に順位変動はなく、15秒近いリードを築いていたLEON AMGを先頭にファイナルラップへ突入する。
すると、LEON AMGは最終ビクトリーコーナーを立ち上がり、ホームストレートへ帰ってきたところでガス欠と思われる症状で突如スローダウン。ゆるゆるとしたペースでチェッカーを目指したが、レーシングスピードで脇を過ぎていった2番手のGAINER TANAX GT-Rが逆転でトップチェッカーを受ける劇的な幕切れとなった。
スローダウンしたLEON AMGはGAINER TANAX GT-Rと4.677秒差の2位でチェッカーを受けると、ピット出口先のランオフでストップ。セカンドスティントを担当していた蒲生はマシンを降りた後、ドアを叩きつけるように閉めて悔しさを爆発させる場面も見られた。
3位には14台抜きをみせたK-tunes RC F GT3が入ったが、4位にポイントリーダーとして今大会に臨んだARTA NSX GT3が入ったため、チャンピオン争いでの逆転はならず。高木&福住組が2019年シーズンのGT300クラスチャンピオンに輝いた。
高木のシリーズチャンピオン獲得は新田と組んでARTAアペックスMR-Sをドライブしていた2002年以来のこと。福住はスーパーGTデビューイヤーでの王座獲得となった。
5位は初音ミク AMG、6位はリアライズGT-R。ポールシッターのMcLaren 720Sは7位でチェッカーを受けた。
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