この記事をまとめると
■ホンダの協調人工知能搭載の小型モビリティがサイコマ
夢物語じゃなくてすでに実働してるだと!? 完全自動運転のかわいいロボタクシー「ZOOX」がもはや手塚治虫の世界だった
■ワポチは同技術を採用した人の荷物運びを手助けする小型ロボットだ
■一般に向けた実証実験が開始されたので体験した
歩車共存エリアなどを活用した実験は期間を決めずにスタート
2022年11月から茨城県常総市で行われてきたホンダの「CIマイクロモビリティ」の技術実証実験が、次のフェーズへと移行。同じく常総市にある「アグリサイエンスバレー常総」で、一般に向けた技術実証実験が開始となりました。この技術実証実験の開始に先立ち、本田技術研究所が報道関係者向けにそのデモンストレーションおよび説明会を行いました。
振る舞いや言葉を通じてコミュニケ―ションを図り、ユーザー・周囲の人と協調しながらユーザーを支えるホンダ独自の協調人工知能が「Honda CI(Cooperative Intelligence)」です。
今回の実証実験では、この「Honda CI」を搭載した搭乗型のマイクロモビリティ「CiKoma(サイコマ)」とマイクロモビリティロボット「WaPOCHI(ワポチ)」の2機種を使用します。実証実験の会場である「アグリサイエンスバレー常総」の来場者に体験をしてもらい、体験を通じて得られたフィードバックを収集していくというものです。
4人まで乗車ができる搭乗型電動マイクロモビリティ「サイコマ」は、歩行者や自転車などが混合する「歩車共存エリア」を自動走行し、一般道との交差点では一般車両との譲り合いによる自動通過を実現しています。現時点では車両に安全監視員が同乗していますが、2024年中に遠隔監視システムへ移行させ、関係省庁との認可交渉を経て、2025年中の無人自動走行の実現を目指していくようです。
車両は、他社のゴルフカートをベースにしたもので、車体各所にカメラを搭載しています。周囲の状況を確認し、さらに歩行者やほかの車両の進行方向などの状況も把握し、譲り合いながら走行を行います。
荷物を持ち歩く煩わしさをなくしてくれる「ワポチ」
もう一台のマイクロモビリティである「ワポチ」は、ユーザーとともに移動するマイクロモビリティです。荷物を載せることができ、荷物を持ち歩くという負担を軽減し、より快適な歩行をサポートするものです。
ユーザーの風貌を認識し、人混みのなかでもユーザーを追従したり、さらに先導もできるというのが特徴です。登録するユーザーの服や髪の色、背格好など(現在は身長150cm以上の方に限定)を画像認識でユーザーを記憶しています。
上部4方向にカメラを設置し周囲360度を把握。本体下部にはライダーも前後に配置しています。追従および先導中に他の歩行者の陰に隠れてしまっても、その特徴からユーザーを探し出して追従・先導を復帰できるようになっています。
現在は「ストップジェスチャー」という停止をさせる機能を持っていますが、今後はユーザーの行きたい方向へのジェスチャーに対応する機能も追加していくとしています。
先導によってユーザーの歩行する前方スペースを確保してくれることでより歩きやすい状況を作ってくれることにもなります。この「ワポチ」も「サイコマ」同様、周囲の環境との協調行動を取っており、ギクシャクしてユーザーの歩行を邪魔するようなこともなく、非常にスムースに回避行動をとりながら移動していきます。
この「Honda CI」は、「地図レス協調運転技術」と「意図理解・コミュニケーション技術」がポイントとなります。あらかじめ経路を設定するのではなく、高精度地図も使わず、カメラなどで周辺環境を確認しながらユーザーとコミュニケーションを図りながら自ら判断して走行をしていくというものです。
この技術を投入することで、既存の街に大きな整備をせずに街づくりを進める「レトロフィット型スマートシティ」を作り上げ、地域を活性化していくことを目指し、ホンダの考える「いつでも、どこでも、どこへでも」を実現していくことになります。
「アグリサイエンスバレー常総」内の「道の駅常総」と観光農園「グランベリー大地」への来場者を対象に行うこの実証実験は、スタート時はこの「サイコマ」での実験を進めていきますが、、2024年夏には「ジャパンモビリティショー2023」で注目を浴びたふたり乗りの四輪電動モビリティ「Honda CI-MEV(シーアイ・エムイーブイ)」にサイコマの技術を搭載したものをこの実証実験に追加投入予定ですし、ワポチの実験区域の拡大など、今後も展開が広がっていくようなので、ぜひ一度体験をしてみることをおすすめします。
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