輸入車 [2023.01.06 UP]
ルノー/シトロエン/プジョー 個性派揃うフランス車の特徴と魅力
ルノー コンパクトSUV「キャプチャー」にブラックスタイルの限定車
VISUAL MODEL : RENAULT CAPTUR
フランス車特集/魅力あるモデルが続々上陸!フランス車躍進の理由
写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2023年2月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2022年12月調べ。
ドイツ車ばかり売れるとされる日本の輸入車マーケットに待ったをかけるのがフランス車の存在。なぜ、フランス車が選ばれるのか。躍進の理由を紐解いていく。
[ラインアップ拡大で幅広いファン層を獲得したルノー]雰囲気だけにあらず!中身が詰まった実力派が揃う
文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
かつてカングーとルノースポールという尖ったモデルのファンに支えられてきたルノー。だが最近では、人気のSUVモデルを投入し、より幅広いユーザーからの支持を集めている。
定評あるデザイン性に加えて機能性も重視
日本でルノーへの視線が変化し始めたのは、13年に導入を開始したコンパクトハッチの4代目ルーテシアからだろう。その流れを生んだのは、新たなルノーデザイントップとなったローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏によるデザイン改革だ。その結果、ルノー車の美意識は大きな変化を受け、フランス車好きだけでなく、感度の高い人の心も惹きつけた。
しかし、欧州では大衆車としての役目を担うルノーだけに、質感や装備では、日本に求められる輸入車として物足りなさがあったのも事実。それを払拭したのも、やはりルーテシアであった。20年より導入を開始した現行型の5代目は、デザイン性の高さを重視しつつ、ルノーらしい機能性も追求。さらに新たな武器として、アライアンスで共有する新世代プラットフォーム、メルセデス・ベンツより供給される最新の1.3Lターボエンジン、時代が求める先進安全機能を搭載することで、商品力を大幅に向上させたのである。
そんな新世代ルノーの注目株は、やはりSUVだ。コンパクトなキャプチャーは、新世代モデルを代表する1台で、ルーテシアよりもひとまわりサイズアップすることで、より実用性も高まっている。さらに乗り味も、キビキビした走りを得意とするルーテシアに対して、より上質で快適な乗り味に仕上げられており、オールマイティな存在といえる。エントリーとなるガソリン車でも不足はまったくなく、オススメできる1台だ。
新たな流れもSUVから始まっている。それがルノー初クーペSUV「アルカナ」だ。スタイリッシュなミッドサイズSUVで、パワートレインには、ルノー独自開発のストロングハイブリッドを組み合わせた。意外かもしれないが、これが輸入車初のストロングハイブリッドであり、現在は、ルーテシアとキャプチャーにも同じハイブリッドを搭載している。またほかの輸入クーペSUVと比較して、お値頃であることも魅力のひとつで、より価格を抑えたマイルドハイブリッド車も追加された。
今後のルノーの話題にも触れておきたい。最大の目玉は、来年導入予定のMPV、新カングーだ。5人乗りのトールワゴンだが、現行型よりも機能と積載能力の向上が予告されている。またアルピーヌの復活が示すように、じつはフランス車のなかで、最もスポーツモデルも得意とする。アルピーヌの技が、いかにルノー車に反映され、運転の楽しいクルマが生み出されるのかにも注目だ。
PROFILE 自動車ジャーナリスト 大音安弘
好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ転身。現在は自動車ジャーナリストとして各メディアに執筆を行う。徹底的に取材するがモットー。
[ルノー キャプチャー]待望のハイブリッドを追加して魅力アップ
2代目となるモダンな小型シティクロスオーバー。初代より質感を高めたことで、ダウンサイザーからも支持を得る。輸入車としては現実的な300万円台の価格と充実した装備が持ち味。ルーテシアのSUV版ともいえるが、よりマイルドな乗り味とキャビンの広さが武器となる。1.3Lガソリンターボと1.6Lのフルハイブリッドを用意。
ルノー キャプチャー E-TECH ハイブリッド(マルチモードAT) ●全長×全幅×全高:4230×1795×1590mm ●ホイールベース:2640mm ●車両重量:1420kg ●エンジン:直4DOHC ●排気量:1597cc ●エンジン最高出力:94ps/5600rpm ●エンジン最大トルク:15.1kgm/3600rpm ●メインモーター最高出力:49ps/1677-6000rpm ●メインモーター最大トルク:20.9kgm/200-1677rpm ●サブモーター最高出力:20ps/2865-10000rpm ●サブモーター最大トルク:5.1kgm/200-2865rpm ●新車価格:319万円~389万円(キャプチャー 全グレード)
黒を基調とした上品なインテリア。ラゲッジ容量は、後席スライド機構により440Lから536Lの調整が可能。さらに後席を倒せば、1235Lまで拡大できるなど、小型クロスオーバーとしての機能性は高い。
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[ルノー アルカナ]F1由来のテクノロジーを採用した独自のハイブリッドシステム
ルノー初のミッドサイズクーペSUV。スポーティなスタイルと上質さを追求すべく、日本では最上位の「R.S.ライン」のみを導入する。パワーユニットは、ルノー初となる独自開発のハイブリッド「E-TECHフルハイブリッド」に加え、新たに1.3Lマイルドハイブリッドを追加。カッコよさと環境性能の両立が大きな魅力。
ルノー アルカナ R.S. ライン E-TECH フルハイブリッド(マルチモードAT) ●全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm ●ホイールベース:2720mm ●車両重量:1470kg ●エンジン:直4DOHC ●排気量:1597cc ● エンジン最高出力:94ps/5600rpm ● エンジン最大トルク:15.1kgm/3600rpm ●新車価格:399万円~429万円(アルカナ 全グレード)
赤のアクセントがスポーティさを際立たせたコックピットには、レザーを使ったコンビシートが標準に。ラゲッジ容量は480Lとなる。
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復活した伝説のブランド 「ALPINE」
ルノー車ベースのスポーツカーを手掛けるメーカーとして、1955年に設立。後にルノー傘下となり、1995年まで独自モデルを製造。その後、表舞台から姿を消したが、2016年にブランド復活を宣言。翌年にミッドシップの軽量スポーツカー「A110」が投入された。
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[こだわりを独自の魅力に昇華したシトロエン]虜になるフランス流の美観とソフトタッチな走り味
独自の世界観を作り出しながら、時代のニーズを読み解くことで新しいファン層を獲得しつつあるシトロエン。一方で変わらないのが、個性の強いデザイン。一度好きになってしまったら代わりがいないブランドだ。
写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
復活させたやさしい乗り味が支持を集める
シトロエンは、ひと目惚れしてしまうクルマだと思う。その姿に惚れ込んだ人にはほかの選択肢はない。そんな存在だ。ただ灰汁の強さもあり、日本では多くの人に支持されることはなかった。
その流れを大きく変えた功労者が、17年より導入した3世代目となるコンパクトハッチ「C3」だ。シトロエンらしい個性的な世界観を守りつつ、親しみやすく愛らしいカジュアルな内外装デザインで注目を集めた。もちろん、時代のニーズである先進機能も強化され、当時の値段は、200万円台前半ということもあり、お洒落なクルマを求めている人たちの心を鷲掴みにした。それを裏付けるように、17年のシトロエンの年間登録台数は、50%増を記録している。
さらにシトロエンの存在を世に知らしめたのが、アウトドアブームを追い風にヒットした個性派MPVの「ベルランゴ」だ。5人乗りのトールワゴンだが、国産ミニバンとは異なる手法で多彩な収納を確保。その遊び心がファミリー層から支持を得て、新たなファンの獲得につなげた。
しかし、シトロエンは何も見た目だけで勝負をしたわけではない。隠し味として、往年のシトロエンでファンから愛されたやさしい乗り味の復活にも取り組んだ。移動の快適さを高めることで、居心地のよいクルマを目指したのだ。重要なのは、高価な装備は使わずに、アイデアで勝負したこと。サスペンションやシート構造に工夫を凝らすことで、すべてのラインアップ共通の価値として実現された。もちろん、高速移動も多い欧州生まれのクルマだけに、走行安定性など運動性能も高いレベルにあり、その走りも期待を裏切らない。
シトロエンの好調は新世代モデルの成功にあるが、その勝因は時代に合わせた進化をしつつ、自身の持ち味を捨てなかったことだろう。それを示すのが、フラッグシップサルーン「C5 X」の存在だ。新世代デザインのアプローチを取り入れつつ上級化。かつて「魔法の絨毯」と称されたかつて乗り味にも、より近づけることで、往年のファンを引き寄せる高級車へと仕上げてきた。
シトロエンの開発では、ライバルを見ず歴代のシトロエン車に新たなヒントを見出すという。その強いこだわりが独自の魅力を生み出す。それこそが、ひと目惚れの秘密なのだ。
[シトロエン C5 X]クロスオーバーとして登場した新世代のフラッグシップ
ステーションワゴンのクロスオーバーだが、デザインや乗り味に往年のシトロエンらしさを取り入れることで、独自の高級車に仕上げた。走りと乗り心地は、快適性を重視したグランドツアラーで、キャビンも広々。電動テールゲート付きのラゲッジは、545Lから最大1640Lを確保。1.6Lガソリンターボ車とPHEVを用意する。
シトロエン C5 X SHINE PACK(8速AT) ●全長×全幅×全高:4805×1865×1490mm ●ホイールベース:2785mm ●車両重量:1520kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1598cc ●最高出力:180ps/5500rpm ●最大トルク:25.5kgm/1650rpm ●新車価格:484万円~636万円(C5 X 全グレード)
シックなコックピットには、12インチのタッチスクリーンとワイド表示のヘッドアップディスプレイなど先進機能を満載。肉厚な構造を持つシートと独自のサスペンションが極上の乗り味を提供する。
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[シトロエン C4]多彩なパワートレインを備えるポップでスポーティなモデル
3代目となる現行型は、コンパクトクロスオーバー仕立てに。スポーティかつポップなデザインは、刺激的な走りを連想させるが、シトロエンらしい快適さを重視した乗り味を持つ。全長4.4m弱の全長で取りまわしにも優れる。パワーユニットが、ガソリン、ディーゼル、電気モーターから選べるのも、イマドキだ。
シトロエン Ë-C4 SHINE ●全長×全幅×全高:4375×1800×1530mm ●ホイールベース:2665mm ●車両重量:1630kg ●総電力量:50.0kWh ●モーター最高出力:136ps/5500rpm ●モーター最大トルク:26.5kgm/300-3674rpm ●新車価格:327万3000円~515万円(C4 全グレード)
内装も外観に劣らず、モダンかつ個性的だが、使い勝手はよい。助手席側には、タブレットの収納とスタンドが用意される。
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フランス流の伊達さが際立つ「DS AUTOMOBILES」
フランスの高級車を送り出すべく、09年にシトロエンのサブブランドとして設立。15年より自動車メーカーとして独立。豪華でアヴァンギャルドな内外装を持ち味とし、独自の世界観を持つクルマを提供する。SUV中心のラインアップだが、最上位にセダンも用意する。
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[電動化にいち早く取り組むプジョー]独自のスタイルを貫く欧州的定番ブランドの底力
小粋なスタイルと期待を裏切らない切れ味のいい走りを魅力とするプジョー。日本でも定番のフレンチブランドは、現状に甘んじることなく進化を続ける。たとえば電動化モデルのラインアップは、フランス車トップレベルの充実度だ。
写真●ユニット・コンパス、プジョー ※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
日本で最も売れているフレンチブランド
日本で最も売れているフランス車をご存じだろうか、それがプジョーだ。それは数字にも表れており、過去10年でフレンチブランドトップを独走し続けるだけでなく、19年以降は、唯一1万台ペースで販売を継続している。
元々、プジョーはほかのフレンチブランドと比べると、日本での認知度は高い。バブル期にはプジョー「205」が人気となり、その後継となる「206」は00年前後に、爆発的なヒットを記録し、日本のプジョー販売は、最初の黄金期を迎えた。しかし、その後はヒット作に恵まれず、再びマイナーブランドの道を突き進んでしまった。そのイメージを大きく打ち破ったのが、14年11月に導入された2代目「308」である。同車は、ドイツの実用車「フォルクスワーゲン ゴルフ」との直接的なライバルにある存在だ。新プラットフォームEMP2の採用を軸とした徹底した質感の向上と性能の磨き上げを行うことで、猛者ゴルフに戦いを挑んだ。
その結果は、13年の「ゴルフVII」に続く、欧州カーオブザイヤーの受賞という形でも現れた。当時、両車の比較も行ったが、性能面では良い勝負となり、スタイル面では、「308」に分があった。まさにプジョーの底力を見せつけられた瞬間であった。
そんなプジョーの強みは、同じフランスに、シトロエンとDSという仲間を持つことだ。それぞれは独立した組織だが、互いが得意とするフィールドを明確化することで、ルノーや海外勢との戦いに挑むことを改めて決意したのだろう。そのため、308以降の車種は、上質さが大きなキーワードとなり、フランス車らしさよりも欧州車としての価値が追求されてきたように思う。それは、走りにも反映されており、ドイツ車と競えるスポーティさが与えられている。それがドイツ車に飽きた日本の輸入車ファンの心を捉えることができたのもたしかだろう。
もうひとつの躍進のカギが、ラインアップの強化だ。コンパクトな208に始まり、大中小のSUVやスペシャルティな508も用意。ほかのフランス車にはないPHEVの4WDも揃えるなど、フレンチブランドとしてはトップの充実度を誇る。だから、最適な1台を見つけやすい。
デザインと機能の先進性を武器に躍進を続けるプジョーだが、今やフレンチテイストは薄まりつつある。個人的には、次世代に向けて、その持ち味をどのように扱い、表現していくかにも興味津々だ。
[プジョー 308]美しいスタイルが魅力のハッチバック
先代となるゴルフVIIは、13年5月に発表。新世代モジュール技術「MQB」を取り入れた設計やゴルフ初のADAS搭載が話題に。標準車は1.2L及び1.4Lの直4ガソリンターボエンジンとDCTタイプの7速DSGを組み合わせる。17年5月には、マイナーチェンジを投入し、デジタル機能を強化。19年8月には、2.0L直4クリーンディーゼルターボ「TDI」を追加した。
プジョー 308アリュール BlueHDi(8速AT) ●全長×全幅×全高:4420×1850×1475mm ●ホイールベース:2680mm ●車両重量:1420kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1498cc ●最高出力:130ps/3750rpm ●最大トルク:30.6kgm/1750rpm ●新車価格:320万6000円~515万1000円(プジョー 308 全グレード)
小径ステアリングとデジタルメーターが融合したiコックピットも最新世代に進化。ダッシュボードの配置を低くし、前方視界を向上。スイッチ類はタッチスクリーン付近に集約され、操作性を高めた。
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[プジョー 2008]パワートレインに100%EVをラインアップする小型SUV
コンパクトカー208のクロスオーバーという立ち位置だが、デザインは兄貴分の3008に近い。208と比較し、ボディサイズがひとまわり大きくなるので、後席スペースとラゲッジ容量にもゆとりがある。コックピットデザインは、やや雑味があるが使い勝手は良好。動力はガソリン、ディーゼル、EVの好きなものが選べる。
プジョー e2008 GT ●全長×全幅×全高:4305×1770×1550mm ●ホイールベース:2610mm ●車両重量:1630kg ●総電力量:50.0kWh ●モーター最高出力:136ps/5000rpm ●モーター最大トルク:26.5kgm/300-3674rpm ●新車価格:355万6000円~551万4000円(2008 全グレード)
ディスプレイを立体的に配置した3D iコックピットデザインが印象的なドライバーズエリア。ラゲッジ容量は434Lから最大1467Lを確保。
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プジョー初となるPHEVと4WDを設定した「3008」
プジョーの主力SUV、3008には、プジョー初のPHEVの4WDを設定。前輪をエンジン、後輪を電気モーターで駆動するシステムを備え、電気のみで64kmの航続距離を確保。走行モードで駆動輪を変化させるが、4WD固定もできる。最新フランス車では、数少ない4WD。
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ルノーが描いたフランスの街の近未来/昔ながらの街並みを守るために商用車が電動化する近未来
カーボーンニュートラル実現のためには、乗用車だけでなく、ビジネスで使われる商用車も変革していく必要がある。ルノーはそのことをおしゃれな動画を作ることでアピールした。
文●ユニット・コンパス 写真●ルノー
ルノーが新型商用車のために作ったある動画
フランスの街の景色が変わろうとしている。といっても、再開発で見慣れた建物が姿を消すといった話ではない。建物と寄り添うように存在するデリバリーバンといった身近な商用モデルの話だ。
ヨーロッパ、特にフランスは、街の景観を大切に考えていて、むやみやたらに開発されることがないように気を遣っている。だからこそ、数年ぶりに訪れても温かく受け入れてくれるような、独特の懐かしい感覚が味わえるのだ。一方で、建物の中身である商店のビジネスや働く人々のファッションは、当然ながら時代によって変化する。今回取り上げたこれらの写真は、ルノーが新型電気商用車のPVとして撮影したフィルムからのもの。建物は変わらずに、そこで生活する人々のファッションと働く商用車が変化していく様が表現されている。
では、電気商用車が普及することで街にどのような変化が生まれるのだろうか。ルノーが描くこれからのパリの街並みには、路上駐車の区画に充電設備が備わり、荷物の積み下ろしなどを行っている間に充電を行うイメージだ。
街中をメインに使う商用車であれば、5分ほどの急速充電であっても、それを繰り返すことで十分な航続距離を生み出すだろう。そうすれば、高コストな巨大バッテリーを搭載する必要もない。まさにフランスメーカーらしい合理的な発想だ。
自動車は街の景色のひとつでもある。動画では、その時代を象徴する商用車を登場させることで、ファッションとともに時代感を表現している。
ドイツ・ハノーファーで開催された商用車ショーにて初公開されたトラフィック・バン E TECHエレクトリック(写真中央)。小型から大型までBEV商用車が揃った。
シトロエンのコンセプトモデル「OLI(all-ë)」/電気時代のシトロエンもやっぱりユニークな存在
電気自動車はカーボンニュートラルの実現に大きく貢献する。だが一方で、エンドユーザーの立場になると高価で使いにくいという課題がある。そこでシトロエンは、ユニークな発想によるコンセプトモデル「OLI」を発表した。
文●ユニット・コンパス 写真●シトロエン
航続距離の問題を軽量化によって解決
新しい時代には新しい発想が求められる。さらにそのアイデアは、柔軟で大胆で、自由な精神にあふれたものが好ましい。それを得意とするのがそう、シトロエンだ。
電気自動車は走行時に温室効果ガスを排出しないゼロエミッションビークルだが、現時点の技術ではガソリン車と同じものを作ろうとすると、バッテリーが重く大きく高価になる。結果としてユーザーニーズから外れたニッチな商品になりやすい。だからこそ現在は付加価値により高価格が受け入れられやすいプレミアムカーの電気自動車が多いのだ。
だがシトロエンはそれをアイデアと技術で解決したいと考えた。航続距離400kmを確保しながら、同時にできるかぎり手頃な価格と高耐久、長寿命を実現したい。もちろん、リサイクル素材も使いたい。
そこで生まれたのがコンセプトモデル「OLI(all-ë)」。彼らの計算によれば、車両重量を1000kgに抑え、最高速度を110km/hに制限することが実現のポイントだった。
普通に考えたら、まるでエコレーサーのようなルックスになりそうだが、そこはさすがフランスのシトロエン。「OLI」のデザインはロジカルなのにユニークで魅力的だ。
魅力は航続距離だけではない。アップグレードや修理による長寿命化は、長期にわたり複数のユーザーがオーナーになることも考えている。
そう、スクラップ&ビルドは、本来エコとは真逆の考え方なのだ。
モビリティとしての利用だけでなく、V2G(Vehicle to Grid)やV2L(Vehicle to Load)機能を採用することで、社会の役に立つモビリティになるよう考えている。
長期にわたる利用を想定して、背もたれやシートはウォッシャブルな素材で開発されている。素材そのものもリサイクル素材で、環境への負荷を低減。クルマとしての性能もアップグレード可能。
最高速度を110km/hに規制することで航続距離を確保すると同時に、手頃で運転を気軽に楽しめるモビリティを実現しようというのが「OLI」のコンセプトにある。
ライフスタイルに合わせた中古車選び【キーワードで選ぶ個性豊かなフランス車たち】
フランス車は、輸入車のなかでも特に個性が強いモデルが多い。今回は、キーワードから自分にぴったりの1台を探してみよう!
文●ユニット・コンパス
※中古車参考価格はグーネット2022年12月調べ。
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
走りを堪能するなら本格スポーツに乗ろう
フランス車って、スポーツモデルが少ないのでは? そう思う人もいるだろう。しかしモータースポーツに積極的なブランドが多く、F1、WRC、WECなどで活躍している。戦いの場で培われた技術は市販車にもフィードバックされ、数多くの魅力的なモデルをリリースする。「スポーツドライビング」のテーマで紹介するのは、ルノー メガーヌR.S.。
メガーヌR.S.が初めて登場したのは2005年で、2L直4ターボを搭載したホットハッチである。今回紹介するのは、2011年2月にモデルチェンジを受けた2代目。3ドアのボディはよりスタイリッシュになり、車高も低められた。パワートレインは、先代に引き続き2L直4ターボが搭載されたが、最高出力は250馬力にまでアップ。これはライバルのVWゴルフGTIよりも高く、同クラスのFFスポーツのなかでは最強格の1台である。足まわりは、ブレンボ社製ブレーキ、専用サスなどでハードな走りにも対応。2012年には19インチタイヤなどを与えた「トロフィー」を設定。その後も改良で進化を続け、FF最速モデルの名を手にしている。
そんなメガーヌR.S.は、現在リーズナブルに購入可能。発売時の新車価格は385万円だったが、現在の中古車平均価格は190万円と、ほぼ半額に。初期型なら100万円台の物件も目立ち、低予算で入手可能となっている。たびたび限定車として発売された「トロフィー」をねらってみるのも手だ。ただし、ライバルのゴルフGTIほど物件は多くない。
[#スポーツドライビング]ルノー メガーヌ R.S.(先代)
中古車参考価格帯:150万円~300万円(※11年~18年 R.S.系全グレード)
シンプルでドライビングに集中できるコックピット。サーキットでのスポーツドライビングに対応できるバケットシートも装着。トランスミッションは6速MTと、かなり硬派なモデルである。
当初は250馬力だったエンジンは、2012年の改良で265馬力にアップ。最終的には273馬力となっている。
トロフィーには19インチのポテンザRE050Aタイヤが装着される。そのほか、シリアルプレート、専用ステッカーが採用され、特別感を高めている。
ルノー ルーテシアR.S.|さらに小型のルーテシアR.S.
メガーヌR.S.の弟分がルーテシアR.S.。全長およそ4.1mのボディに、200馬力の1.6L直4ターボを搭載し、元気のよい走りが特徴。トランスミッションはデュアルクラッチ式2ペダルMT(6速EDC)なので、AT免許でも楽しめる。こちらも見かけ以上に硬派で、価格も手頃なのが魅力だ。
中古車参考価格帯:100万円~260万円(※13年~20年 R.S.全グレード)
ブラックに赤いアクセントが施されたインテリアは、スポーツモデルのお手本のような仕立て。
[#デザイン]プジョー RCZ|お買い得に購入可能な唯一無二のスタイリッシュクーペ
デザインにこだわるなら、RCZは絶対に外せない選択肢。シャシーは308をベースにしているが、ボディはミッドシップのような2ドアクーペ。見どころは、ダブルバブルルーフと呼ばれる特徴的なルーフ。後部座席も備え、いざというときの実用性も確保する。中古車平均価格は160万円とリーズナブルなのも注目したいポイントだ。
中古車参考価格帯:80万円~280万円(※10年~16年 RCZ 全グレード)
こだわりのポイントは、ダブルバブルルーフ。最近ではトヨタ スープラに採用されたことでも話題となった。
[#マニュアル車]プジョー 308 GTi(先代)|3ペダルで乗れる貴重な5ドアハッチバック
年々3ペダルのMT車が減るなかで、プジョー308GTi(先代)は貴重な存在。その成り立ちはゴルフGTIに近く、308のホットモデルである。パワートレインは、270馬力の1.6L直4ターボを搭載。思う存分マニュアル車の走りが楽しめる。魅力あるモデルだが、中古車物件はそれほど多くないのが難点。見つければ早めに購入したい。
中古車参考価格帯:250万円~280万円(※16年~21年 GTi系のみ)
レッドアクセントのインテリアは、ホットハッチらしいデザイン。実用性が高いのもポイントだ。
ハイドロサスで極上の乗り心地
一般的に、フランス車は乗り心地がよいイメージがある。石畳の路面をいかに快適に走るかが、フランス車のサスペンション技術を育んだ。シトロエンは、ハイドロニューマチックという油圧を利用したサスペンションを開発し、上級モデルに搭載。今回紹介するシトロエン C5には電子制御のハイドラクティブが採用され極上の乗り心地を提供してくれるのだ。
ボディサイズは、全長およそ4.8m(C5ツアラー)と大きく、ゆとりのある室内空間もポイント。パワートレインは、2L直4と3LV6の2つが用意され、後期には1.6L6速ATがあり、これが物件的には多い。
2008年から2016年まで、およそ8年間販売されたC5(セダン/ツアラー)だが、流通する中古車物件はあまり多くない。ボディタイプ別ではツアラーのほうが多いが、どちらも相場はそれほど変わらない。安いものだと50万円、高くても200万円で、トータルの中古車平均価格は90万円とかなり下がっている。パワートレイン別にみると、3.0LV6モデルのほうがやや多い。ただし、コンディション重視で物件を探すと、パワートレインの選択の幅が狭くなるので、そこは留意したい。
シトロエンは、最近PHCと呼ばれる新しいサスペンションを開発したが、旧来のハイドロニューマチックにこだわるならC5がラストチャンス。ファンは見逃せない1台だ。
[#乗り心地]シトロエン C5
中古車参考価格帯:50万円~200万円(※08年~16年 セダン/ツアラー全グレード)
ダッシュボードデザインは、シトロエンらしく個性的にまとめられる。センターフィックスステアリング、航空機の計器盤に着想を得た3連メーターも特徴となっている。
包容感のあるシートは、ロングドライブでも快適。頭上空間が広く、大人でもゆったり座れる。
荷物をたくさん積むならツアラーを選ぼう。リアシートをたためば、かさばる荷物も収納可能。
[ハイドロサスってなに?]シトロエンが開発したサスシステム
半世紀以上の歴史を持つハイドロニューマチックは、スプリングの代わりに空気の弾性力を利用したシステム。通常のエアサスと異なるのは、油圧シリンダーによる油圧調整で車高を調整する点である。これにより魔法の絨毯に例えられる極上の乗り心地をドライバーに提供する。
[#定番チョイス]ルノー カングー|幅広い用途に使える人気のフランス車
フランス車の人気モデルといえば、多くの人がルノー カングーを挙げるだろう。2002年の導入以来、多くのファンに支えられてきたが、今回紹介するのは2009年に登場した2代目。およそ4.2mの全長、全幅1.8mを超えたことでサイズアップし、大容量な荷室を実現。中古車は数が豊富かつリーズナブルで、平均価格は175万円となる。
中古車参考価格帯:60万円~240万円(※09年~22年 カングー 全グレード)
観音開きのドアは、狭いスペースでの使い勝手が良好。フラットなフロアは、多くの用途で活躍してくれる。
[#オープンカー]DS 3 カブリオ|開放感あふれる電動トップで毎日が楽しくなる
DS 3をベースに、電動開閉式ソフトトップを備えたモデルがこちら。スイッチひとつで、上部のみが開く「セミオープン」とリアウインドウもたたまれる「フルオープン」を好みによって選べる。1.6Lターボ+6速MTで走りが楽しめるのもポイント。中古車物件はそれほど多くはないが、100万円台半ばの予算から探せる場合が多い。
中古車参考価格帯:90万円~250万円(※13年~19年 カブリオのみ)
ピラーがブラック塗装となるため、車高の低さを視覚的にアピール。トップの開閉は好みの位置に調整可能。
[#7名乗車]プジョー 5008|手頃なサイズのボディにゆとりの室内空間を実現
日本に導入されるフランス車では希少な3列シートSUVが5008。多彩なシートアレンジが可能で、3列目は取り外すこともできる。それゆえ大きめのワゴンとして使うことも可能だ。隠れた人気車であるため、中古車相場は高値をキープ。平均価格は380万円程度となっている。ただし最近は200万円台前半の物件も目立っている。
中古車参考価格帯:230万円~480万円(※17年~22年 5008 全グレード)
ゆったりとしたシートは、長距離ドライブにぴったり。いざというときにも安心な7名乗車は重宝するだろう。
[#クロスオーバー]DS 4 クロスバック|走りも実用性も高次元のスタイリッシュなクロスオーバー
フランス車にも魅力的なSUVが増えている。その代表格がDS 4 クロスバック。全長4.3mのコンパクトSUVながら、豪華な内外装が見どころ。パワートレインは、1.6Lガソリンターボ、2Lディーゼルターボを搭載。駆動方式はFFで、カジュアルに乗れるのが大きな魅力だ。低走行な物件も100万円台前半でねらえるが、数が少なめ。
中古車参考価格帯:100万円~140万円(※16年~22年 DS 4 クロスバック 全グレード)
2つのパワートレインが選べるのが特徴。写真は165馬力の1.6Lガソリンターボ。これに6速ATを組み合わせる。
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ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
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みんなのコメント
ZX以降はプジョーと変わらん。