ラスベガス中心部を舞台に行われたナイトレース。未知の市街地サーキット、しかも全22戦中屈指の低温コンディションだったことで、チームの総合力、ドライバーの対処能力が問われる週末だった。
そんななか、多くのチームがフリー走行や予選での速さを、決勝レースで再現することができなかった。典型的だったのがウイリアムズで、今季最高位の5、6番グリッドからスタートしながら、タイヤのグレイニングによるペースダウンに苦しみ、アレクサンダー・アルボン12位、ローガン・サージェント16位に終わった。
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南北アメリカ3連戦すべてでポイントを獲得したアルファタウリも、この週末はまったくいいところがなかった。予選は角田裕毅20番手、ダニエル・リカルド15番手と低迷。それでもフリー走行でのロングランペースがかなり強力だったこともあり、決勝レースでの挽回が期待された。
しかしウイリアムズ同様、タイヤのグレイニングで苦戦を強いられた。角田はスタートの混乱をうまく切り抜け一気に10番手までジャンプアップしたものの、ペースが急激に落ち、最後はトラブルでレースを終えた。
角田に比べるとダウンフォースをつけ気味のセッティングにしたリカルドは、ハードに履き替えてからはグレイニングはやや収まった。しかしポイント争いをするほどの速さは発揮できず、14位が精一杯だった。
選手権7位を争うウイリアムズ、逆に5ポイント差でアルファタウリを追うアルファロメオがいずれもノーポイントの痛み分けに終わったことが、せめてもの慰めだった。
対照的に上位入賞を果たしたドライバーは、未知のサーキットでの戦いでもさすがの底力を発揮した。なかでも評価したいのが、シャルル・ルクレール(フェラーリ)とエステバン・オコン(エステバン・オコン)だった。
オコンは予選でQ1落ちを喫し、16番グリッドからのスタート。しかし1周目に一気に8番手に上がると、ケビン・マグヌッセン(ハース)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)らとのバトルを繰り広げつつ、タイヤをうまく持たせることにも成功。果敢な1回ストップ作戦で、アルピーヌにとって久々の上位入賞となる4位を射止めた。
ルクレールも、1回ストップ戦略を遂行。予選で速くても、決勝レースではタイヤのデグラデーションでペースダウンすることの多いフェラーリだが、今回は低温コンディションに助けられ、最後までレッドブルに食らいついた。
何より最終周の目の覚める逆転劇は、ルクレールのドライバー力に他ならなかった。ほぼ30周を走り続けたハードタイヤでの、時速340km超からのハードブレーキングを成功させ、セルジオ・ペレス(レッドブル)をインから抜き去っていった。今季初優勝こそかなわなかったものの、ルクレールのキャリアベストレースのひとつに挙げられるべき走りだった。
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