現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 14.5点差は“大量リード”にあらず。「開幕戦の鈴鹿とは全然違う状況」【SF王座への勝算:坪井翔陣営】

ここから本文です

14.5点差は“大量リード”にあらず。「開幕戦の鈴鹿とは全然違う状況」【SF王座への勝算:坪井翔陣営】

掲載
14.5点差は“大量リード”にあらず。「開幕戦の鈴鹿とは全然違う状況」【SF王座への勝算:坪井翔陣営】

 2024年も鈴鹿サーキットでの2連戦でシリーズチャンピオンが決まる全日本スーパーフォーミュラ選手権。第7戦富士を終えて、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が86.5ポイントでランキング首位に浮上し、それを14.5ポイント差で牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、16.5ポイント差で野尻智紀(TEAM MUGEN)が追いかける状況となっている。

 ポイント差だけをみると坪井が一歩リードのように見えるが、果たして牧野や野尻の逆転があるのか? 各号車の担当エンジニアに、“鈴鹿決戦”に向けた見通しを取材した。

「開幕戦で沈んだ原因は、分かっています」。逃し続けてきた予選ポイントもカギに【SF王座への勝算:牧野任祐陣営】

■「富士では大量得点できたが、逆に失う可能性も」

 10月の富士2連戦でもっとも勢いをつけたと言えるのが坪井だろう。第6戦では予選7番手と不本意な結果に終わるも、決勝で見事な逆転劇を披露し今季2勝目をマーク。すると、予選一発の課題を一晩で改善し、第7戦ではポールポジションを獲得、決勝でもライバルを寄せ付けない走りで2連勝を飾り、14.5ポイントものリードを築いてランキング首位に躍り出た。

「(2連勝は)本当に大きいですね」と語るのは、坪井の36号車を担当する小枝正樹エンジニア。富士スピードウェイを舞台にして行われた7月の第4戦も制していただけに、得意の富士で理想的な大量得点を達成した。

「夏の富士をあれだけの感じで終えられたので、その勢いのままいければいいなと思っていました。でも、この時期にSFのレースはあまりやったことがなかったですし、コンディションに対してどうなるのかな? というところできましたけど、結果的にうまく合わせられたのかなと思います」

 しかし、14.5ポイントリードという点に関しては慎重な意見を持つ小枝エンジニア。「そこまで(大きいと)言うほどのポイント差でもないと思っています。次もまた2レース制なので、簡単にひっくり返る可能性はありますし、ましてや開幕戦で僕たちはコケているので……。その時の原因もある程度分かっていますが、懸念はあります」と、開幕戦でノーポイントに終わった鈴鹿サーキットでの2連戦でチャンピオンが決まるという点で、不安がまったくないわけではないようだ。

「こうしてシーズンが進んで、いろいろやってきたモノをうまいこと合わせられれば(鈴鹿は)何とかなるかなと思っています……というか、思いたいなという願望ですね」と小枝エンジニアは苦笑いをみせた。

 鈴鹿に対する不安要素を完全に払拭できていない様子ではあるが、第2戦以降で進化している部分もあるという。

「坪井選手と最初のうちはコミュケーションが……という話もあったと思いますけど、徐々にやってきたなかで進んできたセットアップもあります」と小枝エンジニア。坪井と直接的に組んで仕事をするのは今年が初めてということで、最初は噛み合わない部分もあったようだが、それもレースを重ねるごとに改善されていっている様子だ。

「お互いに人見知りなところがあるので(苦笑)、最初はお互いが遠慮して言えなかったところがあったかもしれません。でも、坪井選手から『こういうふうにしたい』といろいろ聞いて、より彼に合うセットアップの方向性を探りながらやってきました。そういう意味ではコミュケーションをしっかりとって進められているものを(鈴鹿で)取り入れてどうなるかというところですね」

 そこに関しては坪井も同じように進歩を感じているようで「今年トムスに加入していろいろと試行錯誤してきたなかで『こういう方向性で良いんだね』というのは形づいていると思うので、開幕戦の鈴鹿とは全然違う状況が今あると思っています」とコメントしていた。

 ただ、ランキングでリードしているとは言え「やっぱり勝たないとチャンピオンは獲れないと思うので、勝つために何が必要かというのを(インターバルの間に)しっかり話し合っていきたいなと思います」と坪井。鈴鹿での2連戦に向けて攻めの姿勢は崩していなかった。

 同じように小枝エンジニアも楽観視はまったくしていない。「富士では1大会で2レースあるというスケジュールで、一気に大量得点することができましたが、鈴鹿も同じフォーマットなので……そこで合わせ込めなければ逆に失ってしまう可能性もあります。そういう意味では(14.5ポイント差は)大量の得点差ではないと思っています」と冷静に分析し、「鈴鹿でもちゃんと上位にいられるだけのパフォーマンスは必要です。開幕戦のことを考えると懸念は少しあるけど、今シーズンの流れで何とかカバーできればなと思います」と抱負を語った。

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

太田格之進の代役でクラフト・バンブーから参戦するオリベイラが予選最速。王者獲得に向け「明日が楽しみ」
太田格之進の代役でクラフト・バンブーから参戦するオリベイラが予選最速。王者獲得に向け「明日が楽しみ」
AUTOSPORT web
日本勢4名それぞれの戦いと想い。第71回マカオGP FRワールドカップ/予選レース後コメント集
日本勢4名それぞれの戦いと想い。第71回マカオGP FRワールドカップ/予選レース後コメント集
AUTOSPORT web
トヨタ大逆転か、ヒョンデ初の3冠か。勝田貴元が握る、タイトル防衛のカギ【ラリージャパンの見どころ】
トヨタ大逆転か、ヒョンデ初の3冠か。勝田貴元が握る、タイトル防衛のカギ【ラリージャパンの見どころ】
AUTOSPORT web
マルティン「予選後はナーバスだったが落ち着いて挑めた」難しいタイヤ選択とスプリント3位で初チャンプに王手/第20戦ソリダリティGP
マルティン「予選後はナーバスだったが落ち着いて挑めた」難しいタイヤ選択とスプリント3位で初チャンプに王手/第20戦ソリダリティGP
AUTOSPORT web
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
AUTOSPORT web
「やるべきことをできた。明日はなるようになる」スプリント優勝のバニャイア、3連続王者なるか/第20戦ソリダリティGP
「やるべきことをできた。明日はなるようになる」スプリント優勝のバニャイア、3連続王者なるか/第20戦ソリダリティGP
AUTOSPORT web
ホンダ:予選Q2目前のミルは競争力に手ごたえ。ザルコも「トップ10のチャンスはある」/第20戦ソリダリティGP スプリント
ホンダ:予選Q2目前のミルは競争力に手ごたえ。ザルコも「トップ10のチャンスはある」/第20戦ソリダリティGP スプリント
AUTOSPORT web
もらい事故の中村仁と「過剰に信じすぎた」小林利徠斗/TGR-DC育成ドライバーのマカオGP2日目
もらい事故の中村仁と「過剰に信じすぎた」小林利徠斗/TGR-DC育成ドライバーのマカオGP2日目
AUTOSPORT web
残り2周でまさか……エンゲルがドラマチックなウエットレースで逆転勝利/マカオGTワールドカップ
残り2周でまさか……エンゲルがドラマチックなウエットレースで逆転勝利/マカオGTワールドカップ
AUTOSPORT web
「絶好の機会」を呼び込んだエンゲルとマカオ6連覇のメルセデス。「自力では勝てないと分かっていた」
「絶好の機会」を呼び込んだエンゲルとマカオ6連覇のメルセデス。「自力では勝てないと分かっていた」
AUTOSPORT web
ヤマハ:クアルタラロ殊勲のQ2進出。レースで追い上げのリンス「マシンの感触はとても良かった」/第20戦ソリダリティGP スプリント
ヤマハ:クアルタラロ殊勲のQ2進出。レースで追い上げのリンス「マシンの感触はとても良かった」/第20戦ソリダリティGP スプリント
AUTOSPORT web
小林利徠斗「新しい“視点”を掴むためにも有効」中村仁「強くなれる材料を見つけられた」/マカオFRワールドカップ
小林利徠斗「新しい“視点”を掴むためにも有効」中村仁「強くなれる材料を見つけられた」/マカオFRワールドカップ
AUTOSPORT web
逆転王者を狙うクラフト・バンブーが総合ポール。新加入オリベイラが圧巻のトップタイム【S耐第7戦予選レポート】
逆転王者を狙うクラフト・バンブーが総合ポール。新加入オリベイラが圧巻のトップタイム【S耐第7戦予選レポート】
AUTOSPORT web
小川颯太「不完全燃焼です」佐藤凛太郎「最初からアタックする気でした」TGM Grand PrixのマカオGP2日目
小川颯太「不完全燃焼です」佐藤凛太郎「最初からアタックする気でした」TGM Grand PrixのマカオGP2日目
AUTOSPORT web
波乱満載の週末に先行ビョークを捉えたミケリスが連覇。自身3度目の世界王者に/TCR WT最終戦マカオ
波乱満載の週末に先行ビョークを捉えたミケリスが連覇。自身3度目の世界王者に/TCR WT最終戦マカオ
AUTOSPORT web
ペレス「キャリアの最後をプレッシャーが最高潮に達する頂点で過ごしたい」他チームからの契約オファーを2件断ったと明かす
ペレス「キャリアの最後をプレッシャーが最高潮に達する頂点で過ごしたい」他チームからの契約オファーを2件断ったと明かす
AUTOSPORT web
マクラーレン育成ウゴチュクウ、大荒れのマカオFRワールドカップで完勝。日本勢最上位は小林利徠斗
マクラーレン育成ウゴチュクウ、大荒れのマカオFRワールドカップで完勝。日本勢最上位は小林利徠斗
AUTOSPORT web
優れたチームプレーヤーであることを示したピアストリ。終盤戦は“自由の身”、僚友に勝てる実力を再び証明する時間に
優れたチームプレーヤーであることを示したピアストリ。終盤戦は“自由の身”、僚友に勝てる実力を再び証明する時間に
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村