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【楽しく上質な純EV】ポールスター2へ試乗 407psで航続距離469km 後編

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【楽しく上質な純EV】ポールスター2へ試乗 407psで航続距離469km 後編

オーリンズ製ダンパーにブレンボ製ブレーキ

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】ポールスター 比較 モデル3とリーフ 全90枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


印象深いデザインのポールスター2を支えるのは、スチール製のシャシー。前後に電気モーターを搭載する、四輪駆動となる。

リチウムイオン・バッテリーの容量は78kWh。車両中央のトランスミッション・トンネルと呼ばれる部分と、シート下に分割してマウントされる。

車重は、75kWhのバッテリーを搭載するテスラ・モデル3より200kgも重い。ポールスターによれば、求める運動性能に足りるシャシー剛性と、ボルボをルーツとするブランドとしての衝突安全性能を得るために、必要な構造を与えた結果だという。

純EVの中には、衝突安全性に疑問がなくはないモデルもある。ポールスター2なら、そんな心配はいらないだろう。

サスペンションは、フロントがストラット式で、リアがマルチリンク式。今回試乗するポールスター2には、5000ポンド(67万円)のパフォーマンス・パッケージが装備されていた。

車高の下がるコイルスプリングに、手動調整式のオーリンズ製のモノチューブ・ダンパーが組まれている。ホイールは20インチの鍛造品。強力なブレンボ製ブレーキと、金色のシートベルトも得られる。素晴らしい内容だと思う。

パフォーマンス・パッケージを装備したポールスター2は、工場出荷時のノーマル状態でも、驚くほど硬い乗り心地だった。波長の長い起伏なら快適といえるものの、振動はトゲを感じる。姿勢制御は、サーキットマシンのように引き締まり、不意の入力も目立つ。

好印象なダイレクトさとシンプルさ

ポールスター2の設定は、折角のオーリンズ製ダンパーを活かせていないように思う。5000ポンド(67万円)ものお金を、上乗せしているのに。筆者の感覚では、機敏で安楽な純EVに求める足まわりではない。

もし自分のクルマなら、手動で調整できるダンパーのノブを回して、柔らかくするだろう。フロント側はストラットの下、リア側は、ホイールアーチ内のパネルに隠れているそうだ。

低速域での乗り心地が良いとはいえないものの、ポールスター2には、好印象なダイレクトさとシンプルさがある。運転を楽しみたいと思わせてくれる。

人工的なエンジンサウンドのようなものはない。ドライビング・モードもない。スターターボタンもない。キーを持ったまま車内に入り、ブレーキペダルを踏んで、ギアセレクターをDに入れるだけ。ポールスター2は静かに進み出す。

設定次第では、ワンペダル・ドライブが可能。エネルギーの回生量を少なくしたり、まったくせずに惰性で走らせることもできる。

静止状態でブレーキペダルを離すと、クリープのようにゆっくり進ませることも可能だ。ステアリングホイールの操舵感を、重くしたり軽くしたりも任意で選べる。

操舵時の重さは関係なく、ステアリングフィールは少しゴムっぽい。アシストも強く、実際的な感触はほとんどない。

コーナリングを楽しめる精度の高い操縦性

ステアリングのレシオ自体は良好。少しスピードを速めていくと、優れたグリップ力と、驚くほど引き締められた垂直方向の姿勢制御で、ポールスター2を積極的に操れる。コーナーでのボディロールも、重心位置の影響でほとんどない。

走りには好感触な緊張感があり、安全マージンも高い。コーナリングラインを高いスピードで狙え、粘り強い足まわりがしっかりと捉える。

タイヤのグリップ力にも優れる。アンダーステアやオーバーステアになることもなく、トラクション・コントロールが介入することもなく、コーナー出口でトルクを掛けていける。

ドライバーが望めば、これほどの車重を持つクルマでは考えられないような速度域で、ポールスター2を走らせることも難しくない。まとまりの良い、精度の高い操縦性が支えてくれる。

純EVに期待する静止状態からの加速も、テスラのように充分以上に鋭い。奇妙なほど滑らかで質感には乏しいものの、動的性能は漸進的で強力。何度も繰り返したくなる味わいはないかもしれないが、即時的にドライバーを楽しませてくれるだろう。

ポールスター社が生み出した新モデルの魅力を深く知るほど、ポールスター2に心が動くと思う。純EVとして、日常的な利用なら不足ない実用性も備えている。

望ましい楽しさと質感を備えた純EV

カタログ値で450kmほどの航続距離は、今回の試乗のように、ドライバーの運転次第では320kmくらいまで減る可能性はある。価格を考えれば、強みのある航続距離とはいいにくい。

しかし、ジャガーIペイスの航続距離も似たようなもの。多くのドライバーにとっては、充分な距離でもある。それでも、少しのチャレンジ精神がなければ、実際には手は出しにくいとは思う。

ドライバーズカーと呼べるだろうか。テスラのライバルとなる純EVだが、21世紀のボルボによる期待通りのクルマといえるだろうか。はっきり答えるのは、難しい。

ポールスター2を1日中試乗しても、明確な定義はしにくい。それでも、これまでで最も楽しさを感じられ、望ましい質感を備えた純EVだとはいえる。しばらく乗ってみて、はっきり感じた印象だ。

ポールスター2(英国仕様)のスペック

価格:4万6900ポンド(628万円/英国政府補助金適用後)
全長:4607mm
全幅:1800mm
全高:1478mm
最高速度:204km/h
0-100km/h加速:4.7秒
航続距離:469km
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:2048kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
バッテリー:78kWhリチウムイオン
最高出力:407ps
最大トルク:67.2kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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みんなのコメント

2件
  • テスラも斬新なデザインだったが、ポールスター2は最もデザイン性に優れ走りに特化したモデルだろう。
    まだまだ過渡期にあるEVだが、新しいモデルが出るたびに技術の進歩を感じる。
    10年後の車社会がどうなっているのか、楽しみでならない。
  • 航続距離は性能じゃない。電池一杯積めば良いだけ。誰でも出来る。

    充電時間がEVの性能指標。
    航続距離1000km!  でも充電時間40時間では実用にならない。
    充電時間を一番にアピールするようにならなければ実用にはならない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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