2023年3月10日、三菱自動車は都内で会見を開き、2025年度(2025年4月~2026年3月)までの新中期経営計画「Challenge 2025」を発表。今後3年間の経営計画と、今後5年間にグローバルへ投入する新型車スケジュールを一部公開した。
文/ベストカーWeb編集部、画像/三菱自動車
三菱が新経営計画発表!! 今後5年間にグローバルで新型16車種投入!! あるぞ新型BEV軽スーパーハイト投入!!!
■新型BEV軽スーパーハイトワゴンは2026-2027に発売??
「ホームグラウンドである日本市場には、今後ますます力を入れてゆく」
都内で会見を開いた三菱自動車の加藤隆雄社長は、新中期経営計画の内容を説明する際、このように語った。
「三菱らしさを大事にして、今後ブランド力を高めてゆく」とも語り、その「三菱らしさ」を、「環境×安全・安心・快適」を実現する技術に裏付けられた信頼感により「冒険心」を呼び覚ます心豊かなモビリティライフをお客様に提供すること、と定義した。つまりSUVと電動化戦略こそが三菱の真骨頂ということだ。
配布された新経営計画の資料には、先ごろアジアクロスカントリーラリーで優勝したラリーアートカラーのトライトンが掲載。モータースポーツについて言及はなかったが、復活を期待してます!!
具体的には、2025年度には研究開発費1500億円(うち電動化費用700億円)、設備投資1300億円(うち電動化費用550億円)を投資して、三菱らしさを強化しつつ電動化戦略をよりいっそう推し進めてゆくという。今回具体的に発表された「Challenge2025」の取り組みは以下のとおり。
・販売台数110万台、営業利益2,200億円(営業利益率7%)を目標
・アセアン・オセアニアに経営資源を集中、台数・シェア・収益を拡大
・今後5年間で16車種(内、電動車9車種)を投入
・今後6年間で研究開発費・設備投資の総額を過去水準と比較して約3割増加
(2026年度以降は、電動化・IT/新事業への配分を約7割に引き上げ)
・カーボンニュートラルの実現に向け温室効果ガス排出削減
・2030年までに総額2,100億円を投じ、15GWhの電池調達
・更なるアライアンスとの連携強化(OEM商品相互補完 等)
・自動車メーカー固有アセットを活用した新事業への挑戦
(エネルギーマネジメント、バッテリーリユース、データ販売 等)
三菱が今後5年間でグローバル市場に投入する16車種を(一部公開済みの車種を除き)シルエットで公開。思わずサイズを確認しました。eKワゴンの新型も下段左端にいますね!!
最大の注目点はやはりグローバルでの新型車の投入内容とスケジュール。公開されたスライドを見ると、いくつか注目ポイントがある。
まず最も目をひくのは、「今後5年間にわたり全16車種(内 電動車9車種)投入」と題されたスライドの、下段右端から2車種めにある「Alliance(アライアンス) BEV」。フォルムを見るとまず間違いなく軽スーパーハイトワゴンであり、つまり日産ルークス/三菱デリカミニの「電気自動車版」と考えてよいだろう。
今後3年間(~2026年3月)の投入スケジュールも公開。ルノーキャプチャー(?)と日産アリア(?)のSUVも投入…する?? 「3-row SUV」(3列シートSUV」も気になる
そのいっぽう、会見で同時に公開された「商品投入/スケジュール(Challenge2025期間)」のスライドには、軽BEVスーパーハイトワゴン投入が明記されておらず、すなわち同車の発表/発売は、2026~2027年になることが予想される。
個人的にはスライド下段右端から3車種めにある「COLT」の存在が気になったが、こちらは残念ながら会見で加藤社長より「(この新型コルトは)すでに発表している欧州市場向けの商品、日本導入予定はまずない」とのコメントがあった。ルノールーテシアの三菱版ということだろう。
2022年5月に、三菱の欧州法人がイメージ写真を公開した新型コルト。欧州市場で2023年秋に発売するとのこと。会見で加藤社長が「日本投入はまずない」と明言。ちょっとしょんぼり…
三菱は、アセアン・オセアニア地域および中南米・中東・アフリカ地域へ、よりいっそう力を入れてゆくと表明しており、今後5年間の全16車種のうち上記地域向けの新型車が12車種とも公表。残り4車種が(日本、北米、欧州、中国の)先進技術推進地域向け商品であり、そのうち日本向け軽自動車が3車種(デリカミニ(ICE)、新型eKワゴン(ICE)、新型軽スーパーハイトワゴン(BEV))、そして上述の(欧州向け)COLTが1車種、ということだろう。
2022年10月19日、ベトナムのホーチミン市で開催された「ベトナムモーターショー」で世界初披露されたコンパクトSUV「XFCコンセプト」。アジア戦略車となる
新型車スケジュールには多くのSUVがラインアップされており、「パジェロ復活!」だとか「トライトン再び!!」と言いたいところだが、これらの新型SUVの多くは、やはりまずはアセアン地域で発表される気配が濃厚。ルノー日産三菱グループ内での三菱の役割を考えると「そうなるだろうな」とも思うが、しかしそれでも日本で話題になれば日本市場投入の可能性もある。「XFCコンセプト」など最近の三菱車のSUVはすごくカッコいいので、ぜひ日本でも売ってほしいです!!!
なお今回の資料のポイントとしてもうひとつ、「2030年までに総額2,100億円を投じ、15GWhの電池調達」という部分も注目したい。三菱自動車の経営規模でこのレベルの電池調達は異例。参考までに、某リサ―チ会社が調査したところによると2021年の車載用電池年間生産量は、世界で296GWhほどだった。計画通りにゆけば、近い将来このうちの約25%程度を三菱は調達する、との目標を立てたということ。
三菱は2030年までに電動車の新車販売比率を50%に、2035年に電動車100%にすると発表しているが、これが絵に描いた餅ではなく、本気で成し遂げる覚悟を持った数字だとわかる。PHEVの新型車も待ってます。
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