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最高のラグジュアリーSUV ランドローバー・レンジローバーへ試乗 6代目へ一新 後編

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最高のラグジュアリーSUV ランドローバー・レンジローバーへ試乗 6代目へ一新 後編

ロングよりショートの方が印象は良い

6代目へモデルチェンジを果たしたランドローバー・レンジローバー。最新版も、素晴らしい印象を裏切ることはない。ただし、スイートスポットは上級グレードより身近なところにある。

【画像】モデルチェンジ! ランドローバー・レンジローバー 競合する上級SUVと写真で比較 全105枚

先代では、ショート・ホイールベース(SWB)版の方が仕上がりが良いと感じられた。実際、フェイスリフトを受けたベントレー・ベンテイガと比べても、勝っていたほど。それは、今回も当てはまるようだ。

初めに試乗したのは、ロング・ホイールベース(LWB)で3.0L直列6気筒ガソリンターボのP400。続いてLWBの特装仕様、ハイエンドなSVを運転した。タイヤサイズはいずれも、23インチの285/40で共通していた。

LWBのリアシートは、若干乗り心地で及ばない様子。基本的にはフラットで、姿勢制御にも優れ、衝撃吸収性にも長けている。だが、エアサスペンションの特性の1つではあるが、橋桁の継ぎ目やひどく傷んだ路面には、対処しきれない場面があるようだった。

フロントシート側はベストといえる。ステアリングホイールの操舵感は、素晴らしくスムーズで正確。ペダルなどの操作系の重み付けも、非の打ち所がない。車内で聞こえるノイズは極めて小さく、外界との隔離性にも唸らされる。

しかし、ステアリングホイールを切り向きを変えてみると、旋回時の動きや姿勢制御に不自然さが見え隠れする。操作に対して、素直にすべてが返ってくるとは限らない。

従来のレンジローバーらしいD350

複雑なシャシー技術が統合され、その働きは素晴らしいと思う。ほとんどのドライバーが気になることはないだろう。機能的には優秀だが、もう少し煮詰める余地はあるという程度だ。

新しいレンジローバーは、複数のパワートレインをラインナップし、ホイールベースは2種類。LWBであっても、ボディサイズはライバルモデルより控えめ。それらのことが、影響を与えているように思う。

SWBに乗ると、そのモヤモヤが晴れる。最初に4.4L V型8気筒ツインターボのP530を、続いて3.0L直列6気筒ディーゼルターボのD350を運転した。

P530のエンジンは、BMW由来ということで質感が秀でている。ディフェンダーが搭載するV8エンジンとは異なるユニットでもあり、英国製とは違った味わいがある。滑らかで爽快に吹け上がる、魅力的なユニットだ。

ただし、P530 SWBの英国価格は、オプション抜きで14万420ポンド(約2247万円)から。CO2の排出量も多く、購入したいと考えるドライバーは限定的だろう。

一方で、D350はよりマイルド。SWBのHSEグレードなら、10万8775ポンド(約1740万円)から選べる。CO2の排出量は205g/kmと、P530と比べると3割ほど少ない。

ディーゼルエンジンは車内からしっかり隔離され、車内は平穏。上級グレードと比べれば控えめに設えられたインテリアと相まって、より従来のレンジローバーらしい。筆者は、最も好感を抱いたグレードだった。英国の郊外にも似合いそうだ。

ホイールベースやパワートレインによる違い

さらにSWBで光るのが、先進的なシャシー技術が、融合して機能していると感じられること。ドライバーの操作に対し、不自然な遅れや過剰な反応なしに、自然にレンジローバーが反応してくれる。

システムがお互いに連携し、秀でたシャシーへまとめている。素直に素晴らしいといえる。ホイールをインチダウンすれば、乗り心地は更に良くなるはず。一層、路面と息を合わせるように走るだろう。

試乗車は生産初期のためか、ドアのゴムシール付近からの風切り音が目立った。ランドローバーの技術者は、乗り心地が優れエンジン音が小さいため、余計に耳につくとも話していた。とはいえ、車内で普通に話していて聞き取りにくくなることはないと思うが。

新しいレンジローバーは、かなり興味深い。ホイールベースやパワートレインの違いで、これほど大きな差を感じたことは今までなかった。

ジャガー・ランドローバー社は、ジャガーXJのモデルチェンジを諦めた。その結果、レンジローバーは、そのリムジンとしての役目も受け持つことになっている。もし違っていれば、異なる仕上がりだったかもしれない。

不動の最高のラグジュアリーSUV

レンジローバーといえば、ラグジュアリーSUVの雄。オフロード能力も長けている。だが、今回の試乗では余り試す機会がなかった。砂利が惹かれた起伏のある道を、短時間運転した程度だ。

少なくとも、路面との距離や角度は優秀。最低地上高は295mmもある。ディフェンダーは291mmだ。フロントのアプローチ・アングルが34.7度、ホイールベース間のブレークオーバーが27.7度、リアのデパーチャーが29度となっている。

ディフェンダーは、それぞれ38度、28度、40度と、デパーチャー・アングルを除いて大きくは違わない。渡河深度は最大でどちらも900mmと、同じ深さの川を横断することができる。最大牽引重量は、PHEVを除いて3500kgだ。

確かめられた距離は短かったものの、オフロードの走破性に疑問はないだろう。ディフェンダーと同様に平然と立ち向かい、ドライバーへ走破したという達成感を与えてくれる。基本的に、クルマが悪路を巧みに処理してくれる。

ドライバーは、前方を眺めながら、リラックスしてステアリングを握っていれば良い。助手席のパートナーと、お話をしつつ。

6代目へと進化した、ランドローバー・レンジローバー。上質さを追求した移動手段としての能力は、突出しているとまではいえない。本来ならジャガーXJが担うべきだった。

それでも、最新のレンジローバーは最高のラグジュアリーSUVだと思う。特にベーシックなグレードが良い。改めて、最も優れるであろう仕様のレンジローバーを、じっくり試乗してみたいと考えている。

ランドローバー・レンジローバー D350 HSE SWB(欧州仕様)のスペック

英国価格:10万8775ポンド(約1740万円)
全長:5052mm
全幅:2209mm(ミラー含む)
全高:1870mm
最高速度:233km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:12.0-13.2km/L
CO2排出量:198-217g/km
車両重量:2027kg
パワートレイン:直列6気筒2997ccツイン・ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:350ps/4000rpm
最大トルク:71.2kg-m/1500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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