問題の発覚は2015年9月18日のことだった。アメリカ環境保護局(EPA)とカリフォルニア州はフォルクスワーゲン、アウディのディーゼルエンジン車が環境保護法に違反していると発表したのだ。
対象はフォルクスワーゲンとアウディの2009~2015年モデルで4気筒・TDIエンジン搭載車。EPAはカリフォルニア州の定める排出ガス基準をクリアしているが、実走行では大幅に超えていることを指摘した。この問題についてEPAの担当者は、フォルクスワーゲンの該当車両のエンジン制御ECUのソフトトウエアの中に「defeat device(排出ガス処理システムの無効化)プログラム」を使用していることを明らかにしたのだ。
言い換えると、排出ガス基準の測定時には正常に排出ガス処理システムが作動して基準をクリアしているが、実走行時には排出ガス処理システムの無効化プログラムが働き、基準の40倍のNOxを排出しているということになる。
アメリカの排出ガス規制、EPAの規則では「defeat device」プログラムの使用を禁じており、したがってエンジン制御ECUに「defeat device」プログラムを組み込んでいること自体が違法なわけだ。
このdefeat deviceプログラムの存在を指摘したのはウエストバージニア大学のNGO組織だった。そしてフォルクスワーゲンはこの指摘を即座に認めた。したがって対象となる48万2000台のリコールが行なわれる。対象車両は、ジェッタ(2009年~2015年)、ビートル(2009年~2015年)、ゴルフ(2009年~2015年)、パサート(2014年~2015年)、アウディA3(2009年~2015年)。
この違法なソフトウエアを採用したことで、現時点ではフォルクスワーゲンに対して1台当たり3万7500ドルの制裁金を、つまりトータルで2兆円以上という莫大な反則ペナルティが課せられる可能性がある。
これに対しフォルクスワーゲンUSAは、EPA、カリフォルニア州担当当局が指摘したコンプライアンス違反を受け入れると表明している。
環境適合、サスティナビリティはフォルクスワーゲンの企業理念であり、フォルクスワーゲンはこの事態を重く受け止め、可及的速やかに対策を行なうと声明を出している。
そして2015年9月20日、フォルクスワーゲン・グループのマルティン・ヴィンターコーン会長はこの件に関して声明を発表した。
「社会と顧客に対して深く陳謝するとともに、法律に反することは容認しておらず、したがって緊急に、透明性を保ち、本件の事実の全てを第三者委員会の手によって明らかにする」としている。
今回の問題は、アメリカ市場向けのエンジン制御ECUのソフトウエアに排出ガス処理システムの無効化プログラムが含まれていることが違法とされた。フォルクスワーゲンもこの事実を認めているのだが、それは何故か?
一説には、エンジン制御のソフトウエアの開発段階では、各種の試作プログラムを切り替え、書き換えながら熟成を進めるが、その段階でのデバッグ用の排出ガス処理システムなしのプログラムの削除を、し忘れたのではないか?という推測もされている。
つまり、フォルクスワーゲンにとって制裁の対象となるような「defeat device」プログラムを採用するメリットはないからだ。
アメリカの連邦基準の乗用車排出ガス規制の「Tier2 BIN5」(カリフォルニア排出ガス基準のLEV2 と同等)は、ディーゼルもガソリン・エンジンも共通の基準で、ヨーロッパのEURO6、日本のポスト新長期規制より厳しいという側面がある一方で、第三者組織が発表したレポートによると、実走行では「Tier2 BIN5」をクリアしたディーゼル・エンジン車両はNOx排出量では、EURO6の規制値よりもかなり多いという指摘もあり、実際の走行でのNOx排出量はかなり大きいということは周知の事実なのだ。
なぜならアメリカ市場の軽油は硫黄含有率が多く、世界No1の低硫黄の日本製はもとより、ヨーロッパの軽油よりも多い。その硫黄成分がNOx触媒の性能劣化を引き起こすため、「Tier2 BIN5」規制のディーゼルエンジンは、実走行でのNOx触媒の作動を弱めていると推測されるからだ。
したがって、あえてフォルクスワーゲンが違法とされる「defeat device」プログラムを採用する意味はないと考えられる。いずれにせよ、この前代未聞の事件はフォルクスワーゲン本社が行なう調査結果で本当の原因は究明されるはずである。
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