3月2日、メルセデスは2021年シーズンのF1を戦うニューマシン『W12』を発表した。しかし、そのフロア部分は今季の新規則に沿って最適化されていないように見えていたが、メルセデス側はこの事実を認め、現在は最新バージョンのデザインを隠していることを明らかにした。
F1は今季からフロアに関する規則を変更。増大し続けるダウンフォースを抑えてタイヤへの負荷を軽減するため、リヤタイヤ直前のフロアの面積が減らされることとなり、パフォーマンス向上のために“穴”を設けることも制限された。
■メルセデスの”F1支配”は続くのか。新車『W12』を発表、ブラックアローで8連覇を狙う
2021年シーズンは、各チームが今回の規則変更によって失われたダウンフォースをどのようにして取り返すかが鍵になってくると思われる。そのため、多くのチームがフロアの開発について秘密主義を貫いてきた。
メルセデスもその流れに追従しており、今回公開されたW12の画像では最新のフロアは反映されていないという。メルセデスのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンはこれについて次のように語った。
「我々がお見せしていないのは、フロアの後端部分だ」
「このエリアは新しい規則の影響を最も受ける箇所で、これによってマシンの性能を下げることが目指されている。そこには空力的なこだわりがたくさんあり、まだ世界に向けて公開する準備をしていない」
「それはまだ完成していないということではなく、ライバルに見せたくないということだ。ライバルが同じようなものを風洞に入れるということを避けたいのだ」
「ライバルの動向を注視しているので、彼らが何を見ようとしているかは分かっている。我々はそれを見せる必要がないので、見せなかった」
フロアこそ最新仕様を明らかにしなかったメルセデスだが、昨年型と比べて変更されている点はいくつか見受けられており、特にエンジンカバーの膨らみが目立っていた。アリソンはこれを“セクシーな膨らみ”と表現し、次のように述べた。
「一目見ただけではあまり分からないだろう。色んな点で馴染みのある見た目だ」とアリソン。
「昨年と同じモノコック、昨年と同じギヤボックスを使っている。多くのものが昨年と同じ構造を使っている」
「しかしよく見てみると、大きく違っている部分がいくつかある。サイドポッドもそうだし、エンジンカバーにはセクシーな膨らみがあるのが見えるだろう。ここには、パワーユニットの馬力を増やすためにHPP(ハイ・パフォーマンス・パワートレインズ)のスタッフがしてくれた仕事が隠されている」
「そしてマシン全体を見てみよう。新しい装いで、空力的な装飾もある。これが成功を収めるマシンとなることを願っている」
アリソンはメルセデスが8年連続のダブルタイトルを目標にしている中で、ライバルが迫ってくる可能性があることも認識している。
「目の前に迫っていることにワクワクしているが、同時に不安もある」
「レギュレーションは細かい部分で色んな変更があったが、パフォーマンスの観点からはマシンに“罰”が与えられた状態となる」
「パフォーマンスを取り返すためにライバル以上に十分な仕事が出来ただろうか? それはまだ誰にも分からないし、とても気になることだ。だからこの時期はとても不安になるんだ」
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