V12エンジンで満たされるボンネット内
ランボルギーニ350GTのボディは、写真以上に美しい。スリムでプロポーションが良く、どこを見ても曲線で構成されている。直線と呼べるのは、リアのホイールアーチ上端くらいだろう。
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シビエ社製のヘッドランプが横に長い楕円で、リアフェンダーの両側に給油リッドが付くのが、350GTの特徴といえる。ちなみに最初の9台は、リアシートが中央に設えられた、2+1のシートレイアウトだった。
他方、左右に別れるフロントバンパーと、フィアット社製のドアハンドル、4本出しのマフラーは400GTと共通する要素。ただし初期型には、左右に繋がったフロントバンパーが与えられていた。バックライトも装備されていなかった。
ボンネット内は、V型12気筒エンジンで満たされている。両サイドにウェーバー・キャブレターが3基づつ並ぶ。インテークの位置的に、プラグ交換はひと仕事になるだろう。吸気音は、大きなエアフィルターで殆ど聞こえない。
ZF社製のステアリングラックは、ヘッドライトの後ろへ狭そうに組まれる。場所を食う、サイドドラフト・キャブレターの配置が原因といえる。
ツイン・コイルとディストリビューターは、フロント側。ブレーキとクラッチ用の小さなリザーバータンクは、左のフェンダーへ寄せられている。バッテリーは、リアの荷室へ収まる。
長いドアを開く。量産車初だったと思われる、ヘッドレストが背もたれと一体になったシートへ座ろうとしたら、フロントガラスの下端へ膝をぶつけてしまった。
初の量産モデルへ注がれた細部へのこだわり
ガラスエリアは広く、繊細なルーフを支えるピラーが細い。運転席へ座ると、金魚鉢の中に入ったかのよう。殆ど死角のない、360度の視界が得られる。サイドガラスは大きくカーブし、パワーウインドウの動きは滑らかではないようだ。
フロントワイパーが1本のモデルも、350GT以前には存在しなかったように思う。後期型では、一般的な2本へ改められている。
内装は装飾的な要素が少ないものの、高品質。天井の内張りにもパッドが仕込まれ、各部がクロームメッキのトリムで飾られる。ランボルギーニ初の量産モデルへ注がれた、細部へのこだわりを感じる。
ダッシュボードは、パッドが内蔵された合成皮革で覆われる。ドライバーの正面には、7000rpmでレッドラインが切られた回転計と、300km/hまで振られた速度計の、大きなメーターが2枚。フォントは、1950年代風で好ましい。
油圧計は、ドライバーの視界へ入る中央。リビルド後5000kmしか走っていない今回の350GTは、中央値でずっと安定していた。右側には、油温と水温、充電、燃料の4枚のメーターが並ぶ。カラフルな警告灯が可愛い。
特に表記のないヒーター・スイッチは、明らかにランチア由来だろう。小さなグローブボックスには、文字通り薄手の手袋しか入らない。シートの背後には広い荷室がある。1960年代なら、幼児を寝かせて旅もできたことだろう。
タイトなカーブが迫ったら、助手席のパートナーはダッシュボードのグラブハンドルを握れる。1965年にスイスへ納入されたこの350GTには、シートベルトが備わらない。
低速域では粘り強く、中回転域ではたくましい
1971年には屋外へ放置されていたようだが、次のオーナーが再生させ、約40年間も所有していたという。その後、同じチューリッヒのコニ・ルツィンガーとファビアン・ルツィンガー親子が購入。膨大な費用をかけて、レストアを施した。
新車のようなシートに落ち着くと、上ヒンジのペダルがオフセットしていると気づく。だが、シフトダウン時にヒール&トウしやすいレイアウトなこともわかる。
運転姿勢は起き気味。サンバイザーは、万が一の場合は致命傷を与えそうな、アクリル樹脂製。顔へ迫るフロントピラーの細さも、最近ではありえない。
バッテリーのカットオフスイッチとイグニッションをオンにし、燃料ポンプの動作を確かめてアクセルペダルを3度踏む。スターターを回せば、V12エンジンが目覚める。穏やかな500rpmのアイドリングに落ち着くまで、数分待つ。
油圧計の針が動き出すまで、更に30分は必要らしい。そのまま公道へ出ると、エンジンは期待以上に扱いやすい。低速域では粘り強く、中回転域ではたくましい。
5速マニュアルは、低いギアではノイズが大きい。シフトレバーの動きは軽く正確。ストロークも短い。記憶の限り、後に開発されたランボルギーニ社製のユニットよりタッチは良いようだ。
公道の環境では、2速で殆どをまかなえる。130km/h近くまで加速もできる。3速は、郊外の穏やかな交通へ混ざるのに丁度いい。
ゆったり走らせるのが心地良い
最高速度は251km/hがうたわれるが、350GTはゆったり走らせるのが心地良い。視界は広く、安心して運転できる。操縦系の感触や反応に、不自然なところは一切ない。
スイスの舗装は綺麗に手入れされていたが、乗り心地は飛ばさなくても滑らか。高速域でしっとりさが増すわけでもない。マンホールなどを通過しても、ボディの揺れは最小限だ。
試乗前は、パワーステアリングが備わらないことが、弱みになるのではないかと予想していた。確かに、低速域では少し重く、レシオはスロー気味。だが、それは強みの1つだった。この年代のFRのグランドツアラーとしては突出して軽く回せ、反応は正確だ。
運転席の印象では、コーナーでのボディロールも小さめ。グリップには余裕があり、パワーをしっかり展開できる。ヘアピンカーブ以外は、ニュートラルな操縦性で挙動も予想しやすい。
クラッチが繋がるポイントはかなり手前だが、ペダルは適度な力で踏め、こちらも扱いやすい。アクセルペダルも重めながら、漸進的で全体と調和している。ギアを問わず、威勢よく加速する印象とも一致する。
キャブレターで息を吸うV12エンジンは、タービンのようにストレスフリーに回り、無限に引っ張れそうな気がしてくる。回転上昇とともに力強さも増すが、ノイズの変化は小さい。高速域では、風切り音などに紛れてしまう。
処女作で高水準を成し遂げたランボルギーニ
350GTが真価を発揮するのは、スイスや英国、日本では許されない速度域。200km/hで高速道路を巡航したり、お気に入りの峠道を思いのままに飛ばしたら、どれほど幸せな気持ちになれるだろうか。現代のスーパーカーの比ではないはず。
2023年に350GTを運転すると、周囲を圧倒するスピードやサウンドという、スーパーカーの特徴とは異なる、総合的な魅力があると実感する。走る速さを問わず、どんな目的にも使える素晴らしいグランドツアラーだと、乗る人を満足させてくれる。
1960年代には、これほど望ましい性能をバランス良く実現できたメーカーは、極めて限られた。処女作でこの水準を成し遂げられたメーカーは、ランボルギーニ以外に存在しなかったともいえるだろう。
協力:ルツィンガー・クラシックカー社
ランボルギーニ350GT(1964~1967年/欧州仕様)のスペック
北米価格:1万3900ドル(新車時)/75万ポンド(約1億3575万円)以下(現在)
生産数:120台
全長:4500mm
全幅:1630mm
全高:1220mm
最高速度:251km/h
0-97km/h加速:6.4秒
燃費:5.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1050kg
パワートレイン:V型12気筒3497cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:373ps/6500rpm
最大トルク:32.9kg-m/4000rpm
トランスミッション:5速マニュアル(後輪駆動)
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みんなのコメント
いい加減な記事を書いてんじゃねーよ!!