充分以上の加速力 優れた乗り心地
MGモーターの新型バッテリーEV(BEV)となる、MG4。その走りが、これまでのブランドの趣とは異なる点も面白い。
【画像】コスパは価格破壊級 新型MGモーター MG4 欧州で競合するBEVモデルと写真で比較 全105枚
キーを身に着けて運転席へ乗り込めば、自動的にダッシュボードに並ぶ2面のモニターが点灯し、システムオン。ブレーキペダルを踏み、驚くほど大きなロータリースイッチを回してD(ドライブ)を選ぶと、発進の準備は整う。
スタートダッシュは活発で、走行中の車内はほぼ無音。鋭く隆起したアスファルトをなだめる、しなやかな乗り心地を楽しめる。フォルクスワーゲンID.3と乗り比べれば、ロードノイズが小さく、乗り心地が滑らかだということに気づくはず。
加速力も、若干だが勢いは良いようだ。ファミリー層向けの手頃なハッチバックBEVとして考えれば、力強さは充分以上。中間加速も不満ないほどたくましく、遅いトラックの追い越しを躊躇することもないだろう。
110km/hを超えた辺りからトルクが細くなり始め、加速の勢いは穏やかになっていく。とはいえ、これは現在の同価格帯のBEVには共通する特性といえ、MG4の主なターゲット層なら気を揉むことはないはず。
ちなみに、0-100km/h加速を5秒以下でこなすツインモーター版のMG4も、2023年に控えている。より積極的に走らせたいなら、こちらを楽しみにお待ちいただきたい。
現在のMGモーターで1番運転が楽しい
リアに搭載された駆動用モーターは即時的に25.3kg-mの最大トルクを発生するため、交差点などで不意にアクセルペダルを踏み込むと、トラクション・コントロールが介入する。そこで右足の力を緩めると、フロントノーズが内側へ巻き込まれていく。
挑発的な挙動ではないものの、正直いって楽しい。コーナリング時のグリップ力にも優れており、姿勢制御は良好。駆動用バッテリーの搭載位置による低重心と、理想的な前後の重量配分、限定的なボディロールなどの相乗効果だ。
舗装の古い郊外の道へ進んでも、起伏を滑らかにいなし安定性が保たれる。路面の傾きが左右へ急に転じるような場面でも、不安になるようなことはなかった。現在のMGモーターで、1番運転が楽しいモデルといって良いだろう。
その印象を高めてくれるのが、インフォテイメント用モニターかステアリングホイール上のボタンで選べるドライブモード。ノーマルとスポーツ、エコ、スノー、カスタムの5種類から選択できる。
ブレーキペダルとステアリングホイールの重み付け、アクセルペダルの反応、回生ブレーキの効きの強さが変化する。エコやスポーツ・モードで強くなる回生ブレーキも、扱いやすいと感じた。
価格破壊といえる新モデル
気になる点を挙げるなら、インフォテイメント・システムのインターフェイス。操作時に手のひらを支える場所がなく、表示されるメニューボタンが小さい。また、高い位置に浮いたセンターコンソールはエッジが立っていて、左膝に当たるのが心地良くなかった。
木陰で休憩するような場合、キーが車内にあるとシステムは完全にオフにならない。着座センサーも反応してしまう。キーを持って外に出て、ロックする必要があるようだ。とはいえ、些細な弱点ではあるだろう。
新しいMG4が、コストパフォーマンスで突出していることは明らか。ライバルとなるID.3より運転が楽しく、乗り心地も良好。スタイリッシュだし、車内は広々としていて価格もずっとお手頃だ。
英国ではMGモーターは最近伸びているブランドだが、BEVのMG4はその好調を後押しするはず。残価設定プランの月額を比べれば、英国では航続距離で接近するフォルクスワーゲンID.3より4割ほど安い。価格破壊といえる新モデルの登場といえるだろう。
MGモーター MG4 SEロングレンジ(英国仕様)のスペック
英国価格:2万8495ポンド(約470万円)
全長:4287mm
全幅:1836mm
全高:1504mm
最高速度:161km/h
0-100km/h加速:7.7秒
航続距離:452km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:1685kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:64.0kWh
急速充電能力:−
最高出力:203ps
最大トルク:25.3kg-m
ギアボックス:−
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