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ハースF1はコンセプト一新で起死回生なるか? 小松礼雄、大型アプデでライバル急成長も「普通それくらいできなきゃおかしい」

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ハースF1はコンセプト一新で起死回生なるか? 小松礼雄、大型アプデでライバル急成長も「普通それくらいできなきゃおかしい」

 F1第19戦アメリカGPで大型アップデートの投入を予定しているハースF1。チームでチーフエンジニアを務める小松礼雄は、来季に向けてマシンの方向性を一新すると説明した。

 今季ハースは、テクニカルパートナーでもあるフェラーリが先鞭をつけた“インウォッシュ型”のサイドポンツーンに倣った空力処理をVF-23に施してきた。

■ハースF1、アメリカGPで大型アプデ投入へ。レッドブルから右に倣え……全チームがダウンウォッシュ型サイドポンツーン採用

 しかしそのフェラーリは、第8戦スペインGPでインウォッシュ型のサイドポンツーンを廃止。独自のゼロポッドに見限りをつけたメルセデスを含め、ハース以外の9チームがレッドブル系統の“ダウンウォッシュ型”サイドポンツーンに移行した。

 motorsport.comが既に報じた通り、ハースも来月オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されるアメリカGPでダウンウォッシュ型のサイドポンツーンを投入予定。これにより全チームが同様のソリューションをマシンに施すことになる。

 アップデートに関して小松エンジニアは日本GPで、次のように説明した。

「アップデートはオースティンでギリギリ間に合う感じです。今はプロダクション側が一生懸命やってくれているので、オースティンでなんとか2台分を投入できればいいなと思っています」

「レギュレーションは(来季も)そこまで変わりません。今年、新しいコンセプトを投入してそれがどうなるかを理解できれば、来年の2月から突然入れるよりは良いので、そういう意味では前倒しでやっていることになります」

 現行VF-23の弱点として小松エンジニアは、コーナリングでのマシンの挙動を指摘した。

 シンガポールのような90度コーナーが多いサーキットでは、ブレーキの安定性を活かして一定のパフォーマンスを出すことができるというが、鈴鹿のスプーンカーブやS字に代表されるような旋回時間の長いコーナリング区間では、マシンに当たる風の向きが変わっていく中で突然リヤのダウンフォースが抜ける傾向にあり、それはドライバー側で対応できる度合いを超えているという。

 オースティンのアップデートではそうした弱点を改善できるシミュレーション結果が出ているのか? と訊かれた小松エンジニアは次のように答えた。

「そこまでまだ出ていませんが、今の方向性では限界が見えているから、とにかく方向性を変えるんです。変え始めるのが遅かったので、今の段階ではそこまで現行のクルマよりも良くはありませんが、実際に走ったら何がどう変わるのかというところを見たいと思っています」

「オースティンで突然ウチが速くなるかと言ったら……そうなるかもしれませんが、普通に考えたらそうはならないんです。たとえ予選が同じ速さだったとしても、レースならどれくらい安定して走れるんだろう? とか。突然速くならなくても、機能するしないにしても、勉強になるのでやる意味は100%あります」

 新規定2年目となる2023年シーズンでは、開幕からアストンマーチンがレッドブルに次ぐ速さを見せ、シーズン中盤にはアップデートを投入したマクラーレンが大躍進。ウイリアムズも同様にパフォーマンスを大きく改善している。

 ライバルチームの急成長について小松エンジニアは、ハースとしてもより良い改善が示せたはずだと考えている。

「レギュレーションが大きく変わってから2年目じゃないですか。だから、それくらいできなきゃおかしいと思っているんです。僕の中では、ウチが情けないだけで、ちゃんとやればできるはずだと思います」

「励みになるというよりも、『何やってんだよ。もっとちゃんとやらなきゃダメじゃん』という感じです」

「アップデートで何かを変えるためには、まず現実の問題を受け入れなきゃいけません。受け入れないことには次に進めませんし、ウチの場合はそれに時間がかかりすぎました」

「早い段階でできていれば、シルバーストン(第11戦イギリスGP)でオースティンのアップデートを投入できる感じになると思います。そこはチームとしてもっと成長していかなきゃいけないなと思います」

「もちろん(チーム規模の)大きさも関係しています。しかし、どうやって仕事をするか、どうやってコミュニケーションを取るか、シニア(エンジニア)が『これが問題だよね。それなら、こうしよう』と、どうやってみんなの力を合わせるか次第でもあります。そこの統制が取れているといないのでは、大きな違いになってくると思います。ただ規模を大きくすればいいという問題ではありません」

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