2011年に初代が登場し、その前衛的なデザインが話題を集めたレンジローバー・イヴォーク。プラットフォームから一新した2代目が昨年公開されたが、今回ようやく新型に試乗することができた。マイルドハイブリッドとディーゼルをラインナップする2代目イヴォークのポテンシャルはいかに?REPORT◉塩見 智(SHIOMI Satoshi)PHOTO◉Jaguar Land Rover Limited※本記事は『GENROQ』2019年6月号の記事を再編集・再構成したものです。
パルテノン神殿でおなじみのギリシャで、新型イヴォークに試乗した。
チラッと画像を見た方に念のため断っておくが、これはマイナーチェンジではなくフルモデルチェンジだ。リヤへ向けて直線的に上がっていくショルダーラインと逆に下がっていくルーフラインとで、世にも美しいウインドウグラフィックスを形成している点が初代そのままなので、非常によく似たプロポーションといえるが、まったくの別物だ。
キープコンセプト路線は正しい。いかに過去に数々のスタイリッシュSUVを送り出してきたチーフデザイナーのジェリー・マクガバンであろうとも、自身の傑作たる初代を超えるのは難しいのではないか。とはいえディテールを確認すると流用部分は見当たらない。先代と外寸はほぼ変わらないが、ホイールベースが2cm長い。
新型イヴォークには、新世代エンジン横置き用プラットフォームである「PTA(プレミアム・トランスバース・アーキテクチャー)」が採用された。刷新の主眼は次世代パワートレイン搭載を可能とするため。新型は発売と同時にPHVをラインナップするほか(日本仕様は遅れて導入)、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンともに48Vのマイルドハイブリッド仕様が設定される。
通常のスターターモーターに代えてBiSG(ベルトドライブ・インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)が組み込まれ、減速エネルギーを回生してバッテリーに貯め、加速時にトルクアシストする。17km/h未満でエンジンストップする(モードを選べる)。ランドローバーはMHEV化によってCO2排出量が最大8g/km削減し、燃費が最大6%改善したと主張する。
試乗してまず感じるのは静粛性の高さと乗り心地のよさ。イヴォークが属するのが激戦区のプレミアムコンパクト~ミドルSUVということもあり、2011年発売の初代はさすがに乗り心地の面でベスト・イン・クラスとは言いがたかったが、新型になってプレミアムを標榜するにふさわしい乗り心地を得た。
出力11kWのBiSGによるアシストを得られることもあって、ガソリンもディーゼルも発進、中間加速ともにスムーズで上質だ。ただ今回試乗したモデルはパワートレインの形式は同じだがスペックが若干日本仕様とは異なるものだったため、速さ、力強さについては日本導入後に改めて確認する必要がある。
今回試乗できなかったPHVはエンジンで前輪を駆動し、モーターで後輪を駆動する、プロペラシャフトを持たないタイプのため、MHEVとは異なる4WDシステムとなる。新型イヴォークの日本導入は今夏を予定している。
レンジローバー・イヴォークRダイナミックS P250〈S D240〉
■ボディサイズ:全長4371×全幅1904×全高1649mm ホイールベース:2681mm
■車両重量:1818〈1880〉kg
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ〈直列4気筒DOHCディーゼルターボ〉 総排気量:1998〈1999〉cc 最高出力:183kW(249㎰)/5500rpm〈177kW(240㎰)/2400rpm〉 最大トルク:365Nm(37.2kgm)/1300~4500rpm〈500Nm(51kgm)/1500~2500rpm〉
■トランスミッション:9速AT
■駆動方式:AWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ235/50R20〈245/45R21〉
■環境性能(EU複合モード) 燃料消費率:7.9〈6.2〉ℓ/100km CO2排出量:180〈163〉g/km
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