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ランドローバー・レンジローバー CSK キングへ捧ぐ200台限定 最速の3ドア 前編

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ランドローバー・レンジローバー CSK キングへ捧ぐ200台限定 最速の3ドア 前編

レンジローバー生みの親のイニシャル

特別という言葉が普遍的な表現に聞こえる最近は、スペシャル・エディションとバッジが貼られたクルマにも、さほど特別感はないように思う。オプションが満載されていても。

【画像】レンジローバー CSK レストモッド事例は他にも 最新レンジローバーも 全67枚

その理由は、競合メーカーなどの新モデルに対し、既存モデルへの注目を喚起させるマーケティング手法として「スペシャル」という言葉が頻用されてきたからだろう。モデル末期を迎えたレンジローバー・クラシックでも展開されたように。

1991年、3ドアの初期型レンジローバーに、200台限定のスペシャル・エディション、CSKが設定された。ただし、1960年代後半にレンジローバーを開発した技術者のイニシャルへ、ふさわしい内容が与えられていた。

V8エンジンと四輪駆動を搭載する、レジャー用ステーションワゴンというコンセプトを発案した、チャールズ・スペンサー・キング(スペン・キング/CSK)氏。1970年以来、25万台もの生産数で多くのファンを獲得してきた、レンジローバーの生みの親だ。

行く先を選ばない、四輪駆動の高級ステーションワゴンというクルマは、北米以外では当時は不在。ラグジュアリー・オフローダーという、新市場を開拓した。開発したスペン・キングでさえ、これほど支持を得るとは想像できなかったはず。

高度な設計とデザイン、実用性と高級感、悪路性能という融合は、他に例のないものだった。レンジローバーの歴史的な重要性は、いうまでもないだろう。

3ドアはオリジナルに対する敬意の表れ

発売間もない頃は、ランドローバー社はブリティッシュ・レイランド傘下にあり、大きな需要へ充分に応えられる態勢にはなかった。1980年代に入ってもレンジローバーの人気は衰えず、ランドローバー社として独立。その後の長寿命化を支えた。

当初は3ドアのみの設定だったが、1981年に5ドア版が追加。すぐに主力のレンジローバーの座を掴んだ。その人気に押され、3ドア・レンジローバーの英国での販売は、1984年にそっと終了を迎えている。

しかし1991年、ランドローバー社は3ドアのレンジローバーを一時的に復活させ、CSKを発売。理解のあるコレクターだけがその価値に気付き、オーダーを入れた。

1981年のヴォーグなど、3ドアのレンジローバーには限定仕様が何度か登場していた。だが、CSKは本当に特別。泥汚れに不向きな内装や、専用塗装以上のものが与えれられていた。

3ドアのボディは、1970年のオリジナル・レンジローバーに対する敬意の表れ。余っていたボディシェルを使い切ることが目的ではない。実際、一部の市場向けに3ドアの生産は続けられていた。

このCSKと通常の3ドア版の決定的な違いは、ボディの固定方法。ボルトではなく、5ドア版と同様に溶接でシェルに固定されている。

さらに、ランドローバー社が新開発したサスペンションも一足先に採用。レンジローバーとして初めて前後にアンチロールバーを搭載し、ドライバーが積極的にコーナーへ侵入しても、過大なボディロールの発生を抑えた。

正式モデルとしては当時の最速

フロントにはベンチレーテッド・ディスクブレーキを搭載。スプリングとダンパーも引き締められ、舗装路での走りを向上してある。それでいて、高い評価を得ていた悪路性能や、しなやかな乗り心地が失われてはいない。

レンジローバー CSKが公に姿を現したのは、1990年のバーミンガム・モーターショー。その6か月後には、それらの装備が5ドアのレンジローバーにも標準装備となっている。

パワーユニットは、オールアルミ製のV型8気筒。ローバー社によるもので、排気量は3.9L、最高出力は187psを獲得し、正式モデルとしては当時の最速レンジローバーだった。

ECUのマッピングもアグレッシブに書き換えられ、排気ガスを浄化する触媒は付いていない。5速MTが標準で、ZF社製の4速ATもオプションとして用意されたが、人気は低かったようだ。

見た目は、クロームメッキのバンパーにシルバーのピンストライプ、5スポークのアルミホイールでシックにコーディネート。ボディサイドとテールゲートに加えられたCSKのロゴとともに、スペン・キングの偉業を讃えているように見える。

フロントバンパー下のスポイラーには、フォグランプを装備。グリル前のドライビングライトも特徴となる。

車内は、ドアやセンターコンソール、ダッシュボードをアメリカン・ウォールナットのパネルで装飾。シートはベージュのレザーで仕立てられ、通気性を保つためにパンチングが施されている。基本的には、北米仕様のヴォーグSEと同等の内容だ。

スペン・キング本人へも200番が贈られた

装備面では、集中ドアロックとエアコン、サンルーフ、6スピーカーのステレオなどが標準。ドアミラーにはヒーターも内蔵されていた。

ダッシュボード中央のラジオのそばに、シリアルナンバーが記されたプレートがあしらわれている。200台限定のCSKの1台だということを、裏付けるために。

すべてが1991年に生産されたが、車両識別番号、VINコードとシリアルナンバーとの並びが一致しないことがわかっている。恐らく、倉庫に停められていたクルマを手前から出庫させ、プレートを張ったためだと考えられている。

レンジローバー CSKは、VINがGAで始まる。多くが英国国内のオーナーに渡ったが、一部はオーストラリアやニュージーランドなど、右ハンドル市場へも輸出された。

ちなみに、スペン・キング本人へは200番のプレートが貼られたCSKが贈られているが、実際は5番目に製造されたものだったという。

クルマ本体だけでなく、特別なプレートがあしらわれた黒い木製ボックスも、マニアにとっては垂涎のアイテム。パンフレットと証明書、スペン・キングのサインなどが納められていた。捨てられずに残っている場合もあるようだ。

今回ご登場願ったレンジローバー・クラシックのCSKを大切に維持しているのは、ピーター・ヴァンデル・ウォルト氏。英国で、南アフリカから取り寄せたクラシックカーを販売する、ウォルト・モーターカンパニー社というディーラーを営んでいる。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

1件
  • スタイルはなかなかいいな。やはりレンジローバーはここから始まったんだな。
    3ドアというところがいい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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