はじめに
フォルクスワーゲンのモデルレンジ電動化が勢いを増すにつれ、新たに既存モデルとはまったく異なる、どこかで見たようなファミリーカーがショールームに姿を見せるようになった。それはほかのIDを名乗るEVと違って、アウディやクプラ、スコダといった他ブランド名義のバリエーションを持たない、フォルクスワーゲン専売車だ。
【画像】写真で見るフォルクスワーゲンID Buzzとライバル 全16枚
エポックメイキングだと言っていいだろうID.3の欧州市場におけるセールスは、強力なスタートダッシュを決めたが、その後は月販4000台程度まで落ち込んだ。内燃エンジンのゴルフやポロ、T-ロックなどに比べれば微々たる台数だ。
対して、フォルクスワーゲンのほかのEVは人気が高まり、今後1年かそこらでエントリークラスのコンパクトEVが2車種追加される予定もある。
そこで望まれたのが、より大型なモデルの設定とゼロエミッションモデルのラインナップ拡大で、アクティブなライフスタイルを持つファミリー層へとターゲットを移すことだ。ついでに、昔を懐かしむセンチメンタルな気持ちも盛り込んだはずだ。
そうして生まれたのがID. Buzzだ。フォルクスワーゲンに言わせれば、これは「未来志向でサステイナブルなファミリー向けモビリティのニューフェイス」ということになる。大まかに言えば、また動力源を別にすれば、5シーターのフルサイズ1ボックスMPVは、20年前には支持を得たが、その後は姿を消してしまった。
ミニバスとも呼ばれたそれは、比較的上質な乗用車用プラットフォームがベース。商用車ベースだった主な競合モデルとは、その点で一線を画していた。
マイクロバスやヒッピーバンなどさまざまな愛称は、愛好者が多いことを物語るものだともいえる。現代解釈版となるEVのBuzz(バズ)という名は、1949年に開発されたタイプ2バスにちなんでいる。
そのネーミングから思い起こされるのは、過去の熱狂的なファンの存在と、大衆文化への幅広い浸透ぶりだ。それから長い時を経て、新時代のBuzzは、新たな世代の間でバズるクルマになることができるのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
ID Buzzのデザインの成否は、どこを基準に考えるかで判断が変わってくるので、まずは誰もが考えるであろうところから話を始めよう。これはタイプ2を現代解釈した後継モデルなのか、という点だ。
アウトラインと主なデザイン要素、すなわちフロントエンドに配したオーバーサイズのVWエンブレムや、ほぼ全長いっぱいに続くガラスハウス、RRのエンジン通気口を思わせるデザインが施されたDピラーは、明らかにタイプ2をモチーフにしている。すっきりと、そして入念に組み込まれ、不自然な模倣品には見せていない。
大きな問題は、そのサイズとプロポーションが、タイプ2とぴったり重なるものではないことだ。4.7mをわずかに超える全長は、1949年生まれのご先祖さまより50cm近く長いし、30cm近くワイドだ。また、四輪が四隅に寄った配置も、ちんまりしたホイールベースのタイプ2とは異なる。
そのため、フォルクスワーゲンはこのクルマを、現代のファミリー向け多目的車として完璧なサイズだというアピールをするかもしれない。小型と中型のバンのギャップを埋め、現代の駐車スペースに収まり、自走式立体駐車場の高さ制限にも抵触しないのだから。
しかし、かつてのマイクロバスが見せた、手品のようなパッケージングの妙を再現しているとは言い難い。文字通りのマイクロというわけではないのだ。フットサルチームのメンバー5人が乗れたり、1週間分のキャンプ用品が積めたり、それが同時にできたりするのか、心配になるほど小さくはない、といってもいい。
それでも、まず発売されたのはショートホイールベース版だ。パワートレインは左右後輪の間に積まれた永久磁石同期電動機が1基のみで、駆動用バッテリーは実用容量77kWh仕様となる。
乗用モデルと商用バンのカーゴが設定され、後者のバックドアは上開きと左右横開きが選択できる。乗用モデルは2列5人乗り、カーゴは補助席付き1列3人乗りだ。
ロングホイールベース版は、今年後半に追加されるとみられる。乗用モデルは3列7人乗りも設定。商用モデルは現在だと通常サイズのユーロパレットふたつを積める荷室がサイズアップすることになる。駆動用バッテリーも大容量版が用意され、110kWhを超えることになりそうだ。2モーターの4WDモデルも準備中だ。
これらすべての基礎となるのが、フォルクスワーゲングループのMEBプラットフォーム。つまり、IDモデルの3~5と同じメカニズムを使用しているわけで、商用車ではなく乗用車がベースということになる。
サスペンションは四輪独立式。カーゴは積載重量の増加に対応してリアのコイルスプリングがよりハードになっているが、少なくとも商用車ベースの競合車に比べれば、乗り心地やハンドリングにおいていくらか優位な要素を持っているといえる。
もっとも、ウェイトが2.5t近いとなれば、そのアドバンテージがどれほど生きるのかはわからない。それについてはのちのち検証していくが、ディーゼルエンジンを積む同じフォルクスワーゲンのトランスポーターバンが、昨年のテスト時の計測値で比較すると、400kg近く軽かったことだけは覚えておいてほしい。
内装 ★★★★★★★☆☆☆
ID Buzzの価格は安くない。となれば、インテリアにはスペースも多用途性も、そのプライスに見合ったものを求めたくなるのが人情というものだろう。たしかに、どちらも見出せる部分はある。しかし、フォルクスワーゲンは使い勝手を高める非常に多くのアイテムや機能を、標準装備とはしてくれなかった。
いまのところ、設定されているのは仕切りのないフロアを備えた5シーターのみ。バズボックスと銘打った、4つのクリップでフロアに取り付ける脱着可能なセンターコンソールも用意されるが、テスト車には未装着だった。そのぶん、前後席間の移動は容易だ。
このことは、歓迎すべきだと言える。というのも、ボディ幅が広く、一般的な駐車スペースではフロントドアを開く余地が小さいからだ。後席のスライドドアからであれば、容易に出入りすることができる。
運転席にはそこそこの高さがあり、登るように乗り込むことになる。着座姿勢は立ち気味で、脚を曲げることになる。身体の周りには広々としたスペースがあり、とくに頭上は余裕たっぷりだ。
視認性は上々で、シートの快適性も高い。マテリアルは、レザーに代わる合成皮革や、可能な限りリサイクル材を用いたプラスティックやテキスタイルなど、軽量素材を多用。そのチョイスは、商用車的な雰囲気を想像していると困惑を覚えるようなものだ。
キャビンの収納スペースはそこそこ揃っているが、有り余るほどではない。だからといって、ダッシュボードの上に新聞や工具を置くのはやめたほうがいい。一気にバン臭くなってしまうから。
計器類や二次的な操作部は、まずまず整理されているが、わずかながらおかしなところもみられる。ステアリングホイールの向こうにある小さなデジタルメーターは、速度や走行可能距離、運転支援システムのセッティングが表示されるが、もっと見やすくすることもできたはずだ。
トランスミッションの操作は、ステアリングコラム右側のレバーで行う。これはもうひとつのやや残念な点だ。というのも、メーターパネル横にシフトセレクターを配置し、ワイパーや方向指示器、ライトをコラムレバーで操作するID.3などのレイアウトに慣れたドライバーは、また違うレイアウトに慣れなくてはならないからだ。
後席は、スライドとリクライニングを備えているが、前方跳ね上げや脱着はできない。前席には、キャプテンシート的な回転機構も用意されていない。トリックは全て失われた、というのがわれわれの見解だ。
荷室はかなり広いが、フルフラットの積載スペースを得るには後席フォールドだけではなく、脱着式ラゲッジボードのマルチフレックスも必要だ。この場合、積載フロアが高くなり、その下にも荷物を積むことができる。フロアをもとの位置に戻せば、大型SUV並みの積載高が得られるので、かさばるアウトドア用品も楽に積載できる。
走り ★★★★★★★☆☆☆
ID Buzzは現代の実用車で、快適性と万能性を狙ったクルマだ。レスポンスとドライバビリティに優れてはいるが、少なくともシングルモーター仕様では、慣れ親しんだディーゼル中型商用車のパフォーマンスレベルに達しない。
おそらく、これはそこまでの走りを求められるクルマではないだろう。オリジナルのタイプ2は、40psの水平対向4気筒を積み、全開でも105km/hしか出なかったのだから。
だからといって、このクルマの運転がつまらないというわけではない。洗練性や遮音性はほめるに値するもので、市街地では小気味よく無駄のない加速をみせ、80km/hくらいまでなら速さを感じられる。
そこを超えると、だんだんサイズやウェイトを感じるようになり、高速道路を速めのペースで走るのは苦しそうだ。それでも、0−97km/h加速は、湿った路面でも9.5秒をマーク。これなら、0−100km/hも10.2秒という公称値を切るだろう。
48-113km/hの中間加速は9.1秒で、トランスポーター 2.0 TDI スポーツラインの9秒フラットと大差ない。必要とあれば、それなりの速さを発揮してくるはずだ。
コースティングやエネルギー回生の選択肢は限られている。スロットルオフでの回生を最大限使いたいときは、Bモードをセレクト。スポーティでない走行モードに切り替えれば、慣性を保って走らせることも可能だ。ただし、回生を切ってのコースティングはできない。
けれども、混んだ道ではエネルギー回生を盛んに行い、積載量が多くなればなおのことそれが増す。であれば、回生を切って最大限のコースティングを行うモードがあれば、エネルギー効率が最適化できたのではないだろうか。ほかのEVメーカーは、そういう設定を用意している。高効率化と航続距離はID Buzzの課題なのだから、尚更そう思えてならない。
使い勝手 ★★★★★☆☆☆☆☆
インフォテインメント
フォルクスワーゲンのインフォテインメントシステムであるディスカバープロの長所と短所は、このテストでこれまでにもお伝えしてきた。この2年で、おそらくテスト車の20%ほどに搭載されていたシステムだ。
ID Buzzには、3年間無料のウィーコネクトプラスが装備される。これはデータ接続による音楽ストリーミングや目的地検索、スマートフォンがベースのアプリ機能が使用できるものだ。ワイヤレス充電器も標準装備で、Apple CarPlayとAndroid Autoのスマートフォンミラーリングもワイヤレスだ。
このシステムの使いにくい点は相変わらずで、ディスプレイ下部のメニューショートカットボタンは適切な手動入力デバイスに比べて心許ない。エアコンやオーディオ音量を操作するタッチ式スライダーは直感的に使えない上に、暗くなると見つけづらい。
ステアリングホイールのスポークにカーソルのコントローラーが設置されていれば話はだいぶ違うはずだ。使い慣れるのは簡単で、画面に腕を伸ばして、お目当ての機能を手探りする時間も手間も省いてくれるだろう。
燈火類
ハイエンドのヘッドライトであるIQライトは、上級グレードのスタイルに装備。強力に明るく、ハイビームの照射範囲も広い。減光機能は、先行車より対向車に対する反応のほうが素早く作動する。
ステアリングとペダル
ブレーキペダルがセンターにあり、操作時に脚を伸ばさなければならないかもしれない。ただし、アップライトで膝を曲げた運転姿勢なので、それほど苦にはならない。
操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆
フォルクスワーゲンが、現代版マイクロバスのベースを、商用車ではなく乗用車のプラットフォームとしたことは実を結んだのか。ある程度まではイエスだ。しかし、メーカーが望むような答えを得るためには、求めるところをかなり厳密に選ぶ必要がある。
ID Buzzは市街地で乗ると、驚くほど扱いやすく、取り回しに優れ、落ち着いた走りを見せる。郊外でも、なかなかのボディコントロールは健在だ。高速道路でも安定していて、かなり静かでもある。
しかし、カントリーロードでは自然と速度を抑えがちになるクルマでもある。そして、ちょっと飛ばすと、すぐにも拭えない重さが明らかになる。いざとなれば、ハンドリングは乗用車よりバンに近いものとなるが、これは重さと背の高さが原因だ。
そのため、穏やかにアンダーステアが出はじめるが、同じような仕立てのSUVであればこうはならない。最終的には、安定感と安心感を得られるものではなくなるだろう。
ステアリングは、乗用車的なペースに感じられる。ロックトゥロックは2.9回転で、前輪の切れ角は大きい。そのため、ボディサイズのわりに、ジャンクションやラウンドアバウトでの取り回しは容易だ。
ロールは、市街地の速度域ではよく抑えられているので、路面のいいところで普通に走っていれば、乗員が大きく揺すられるようなことはない。頭が上下に振られる動きも、小さく抑えられる。
だが、荒れた道では、乗り心地は忙しないものになる。21インチホイールを履いたテスト車では、ちょっとひどいことになる場合もあった。それでも、接地性は常に保たれ、ホイールコントロールは不足気味なこともあるが、ボディの上下動はコントロールを失うことがほぼなかった。
とはいえ、もしも飛ばし気味に走らせたら、同乗者は快適に過ごせないだろう。かなり文句が出るはずだ。そうならないよう快適な範囲を超えずに走っていれば、同じようなサイズの乗用車と変わらずハッピーに過ごせるはずだ。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆
ID Buzzの主な優位性を示す数字が3つある。80km/h巡航時にマークした室内騒音の63dBA。これは2019年に計測した先代ランドローバー・ディスカバリースポーツD180SEをわずかに1dBA超えるのみ。2022年にテストしたクルーキャブのトランスポーター 2.0 TDI スポーツラインは、バンとはいえ71dBAだった。
つまり、上質さでは最近のSUVと同等で、商用ベースのライバルよりははるかに静粛性が高いということだ。電動パワートレインはほぼノイズレスだし、箱型ボディでありながら反響音も少ない。高速道路では、ミラー周辺やピラー、ドアシールあたりからの風切り音は多少あるが、ロードノイズはうまく消されている。テスト車の21インチホイールはきつめの隆起を乗り越える際に時おり衝撃音を起こしたが、おだやかな空気を乱すほどのものではなかった。
快適なシートと広々としたキャビンスペースが、快適性をますます高めている。ツーリングでのマナーに関していえば、最新のまずまず高級なファミリーカーとして、合格点だと言える。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
現時点で、もっとも安いID Buzzは5万7000ポンド(約923万円)をちょっと超えるところから。装備が簡素化され、バッテリー容量も小さいピュアグレードが近々追加される予定で、もう少し安価になるだろうが、ステランティスが擁するような、競合するサイズでバンベースの電動MPVと同等にはならないはずだ。
このID Buzz、価格だけで見れば、競合モデルとの比較で勝ち目はない。しかし、ゼロエミッションによるサステナビリティやデザインの魅力、洗練性、積載スペース、そしてライバルを大きく凌ぐ航続距離といった価値を評価するなら、クラストップに値するクルマだ。
テスト結果を見れば、長距離ツーリングでは、320km近い航続距離が期待できる。公称値には届かないが、プジョーやシトロエンなどの競合モデルは上回る。ファミリー向けEVの水準にかなり近い、と言ってもいい。
急速充電は、50%に達するだいぶ前に充電速度が大きく落ち込むのが残念なところだ。それでも、平均すれば競争力のある充電性能だと言える。
スペック
レイアウト
フォルクスワーゲンのMEBプラットフォーム採用モデルは、モーターをリアに積む後輪駆動が基本レイアウト。77kWhの駆動用バッテリーは床下に配置する。
なお、モーターレイアウトやバッテリー容量、ホイールベースの異なるモデルが、順次追加される予定だ。
四輪独立サスペンションは、フロントがストラット、リアがマルチリンク。テスト車の前後重量配分は、実測で48:52だった。
パワーユニット
駆動方式:リア横置き後輪駆動
形式:永久磁石同期電動機
駆動用バッテリー:リチウムイオン・352V・82.0kWh(グロス値)/77.0kWh(ネット値)
最高出力:204ps/-rpm
最大トルク:31.7kg-m/-rpm
最大エネルギー回生性能:145kW
許容回転数:-rpm
馬力荷重比:81ps/t
トルク荷重比:12.7kg-m/t
ボディ/シャシー
全長:4712mm
ホイールベース:2989mm
オーバーハング(前):820mm
オーバーハング(後):903mm
全幅(ミラー含む):2215mm
全幅(両ドア開き):3800mm
全高:1927mm
全高:(テールゲート開き):2220mm
足元長さ(前):最大1070mm
足元長さ(後):最大800mm
座面~天井(前):最大1030mm
座面~天井(後):最大1010mm
積載容量:1121L
構造:スティールシャシー/ボディ
車両重量:2502kg(公称値)/2498kg(実測値)
抗力係数:0.29
ホイール前/後:8.5Jx21/10.0Jx21
タイヤ前/後:235/45 R21 104Y/265/40 R21 108Y
ハンコック・ヴェンタスEvo 3 EV
スペアタイヤ:なし(ランフラットタイヤ)
変速機
形式:1速リダクションギア
ギア比
リダクション比:13.0:1
1000rpm時車速:10.8km/h
113km/h/129km/h時モーター回転数:10410rpm/11897rpm
電力消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:3.9km/kWh
ツーリング:4.0km/kWh
動力性能計測時:2.4km/kWh
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):6.9km/kWh
中速(郊外):6.4km/kWh
高速(高速道路):5.5km/kWh
超高速:3.7km/kWh
混合:4.7km/kWh
公称航続距離:410km
テスト時航続距離:298km
CO2排出量:0g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.9回転
最小回転直径:11.1m
ブレーキ
前:382mm通気冷却式ディスク
後:330mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、ESC、EBD
ハンドブレーキ:電動式(全自動)
静粛性
アイドリング:-dBA
全開走行時(145km/h):72dBA
48km/h走行時:59dBA
80km/h走行時:63dBA
113km/h走行時:68dBA
安全装備
ABS/ESC/フロントアシストAEB/DAS/レーンアシスト
Euro N CAP:5つ星(2022年)
乗員保護性能:成人92%/子供87%
交通弱者保護性能:60%
安全補助装置性能:90%
発進加速
テスト条件:湿潤路面/気温8℃
0-30マイル/時(48km/h):3.7秒
0-40(64):5.1秒
0-50(80):7.1秒
0-60(97):9.5秒
0-70(113):12.7秒
0-80(129):16.9秒
0-90(145):23.2秒
0-402m発進加速:17.5秒(到達速度:130.2km/h)
0-1000m発進加速:32.4秒(到達速度:148.1km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
フォルクスワーゲン・トランスポーター・スポーツラインSWBコンビ
テスト条件:湿潤路面(強風)/気温8℃
0-30マイル/時(48km/h):3.1秒
0-40(64):4.6秒
0-50(80):6.6秒
0-60(97):9.1秒
0-70(113):12.0秒
0-80(129):15.8秒
0-90(145):20.6秒
0-402m発進加速:17.3秒(到達速度:133.1km/h)
0-1000m発進加速:31.3秒(到達速度:166.4km/h)
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):2.7秒
30-50(48-80):3.4秒
40-60(64-97):4.5秒
50-70(80-113):5.7秒
60-80(97-129):7.5秒
70-90(113-145):10.6秒
制動距離
テスト条件:湿潤路面/気温8℃
30-0マイル/時(48km/h):11.1m
50-0マイル/時(80km/h):30.5m
70-0マイル/時(113km/h):60.2m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.44秒
ライバルの制動距離ライバルの発進加速
フォルクスワーゲン・トランスポーター・スポーツラインSWBコンビ
テスト条件:湿潤路面(強風)/気温8℃
30-0マイル/時(48km/h):9.0m
50-0マイル/時(80km/h):24.3m
70-0マイル/時(113km/h):47.1m
結論 ★★★★★★★★☆☆
フォルクスワーゲンの現代版タイプ2を期待させるモデルほど、頻繁に匂わされてきたクルマはない。そしてついに、ID Buzzとして市販化が叶った。キャンパーの熱狂的ファンも、実用性重視の電動ファミリーカーへの乗り換えを考えているだけのユーザーでも、ガッカリするものにはなっていないはずだ。
ただし、もっと普通の商用車的な価格を期待していたのであれば、話は別だ。このクルマの価格が高いことは否定できない。テスト車は、オプション込みで6万9265ポンド(約1122万円)。BMW i4 M50が買える金額だ。シトロエンe−スペースツアラーのエントリーグレードなら、ほぼこの半分の価格で手に入る。
ID Buzzのキャビンに、価格を正当化できるだけの考え抜かれた拡張性があるかどうかは、いささか意見の分かれるところだろう。パフォーマンスや航続距離も、競合モデルを凌いでいるにしても、取り立ててセールスポイントにできるほどではない。
しかし、洗練性やドライバビリティ、これ見よがしではないが上質なキャビンの雰囲気は、エクステリアの陽気なルックスと同じくらい、オーナーを喜ばせうる要素だ。
もっと小型で、パッケージングの冴えたクルマを、現代解釈版マイクロバスに期待したひとも少なくなかっただろうし、もっと手頃な値付けを望む声もあるだろう。しかし、そんな批判的な意見を持つひとびとも、実車を前にすればたちまち心を寄せるようになるはずだ。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダースこの手のクルマの長い上開きバックドアは、駐車スペースが狭いとじつに厄介だ。カーゴ仕様の両開きドアを、乗用仕様にも設定すればいいと思うのだが、なぜ用意してくれないのだろうか。
イリヤ・バプラートID Buzzには、ドライバーがクルマから降りると勝手にシャットダウンする、自動イグニッションシステムが採用されている。静かな電動車だから、切り忘れてひとりでに走ってしまう危険があるということなのだろう。とはいえ、それで再始動するたびに、レーンキープなどが再起動してしまって、走る前にまた切らなければいけないのはめんどくさい。
オプション追加のアドバイス
おすすめグレードはライフ・プロだが、1425ポンド(約23万円)のアシスタンスパッケージプラスと、1800ポンド(約29万円)の2トーンペイント、ラゲッジボードを含む675ポンド(約11万円)のコンフォートパッケージプラスは追加したい。
改善してほしいポイント
・インテリアのアレンジ性を増してほしい。回転式フロントシートや脱着式リアシート、車中泊用のブラインドなどがほしいところだ。
・直流急速充電は、もう少し一定のペースでチャージできるようにしてもらいたい。
・価格は下げて、航続距離は伸ばしてもらいたい。
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