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【興奮する男のクルマ】アストン マーティンDB5 ゴールドフィンガーへ試乗 前編

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【興奮する男のクルマ】アストン マーティンDB5 ゴールドフィンガーへ試乗 前編

挑戦し満たされ、興奮する男のクルマ

執筆:Mike Duff(マイク・ダフ)

【画像】復刻版 DB5とDB4 GTザガート ワンオフのヴィクター V12スピードスターも 全94枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


1964年9月18日、英国編集部では新しく発売されたアストン マーティンDB5へ試乗。英国のグランドツーリング・スポーツカーが、他に例を見ない水準でスタイルとパフォーマンスを両立させたと高く評価した。次のようにまとめながら。

「積極的に運転して欲しいと、遠くまで運転して欲しいと、クルマが訴えてきます。ドライビングスキルとドライバーの筋力を、必要とするクルマでもあります。挑戦し満たされ、興奮する、男のクルマといえるでしょう」

今改めて、その結論を修正しようとは考えていない。しかし、モディファイされたDB5に試乗する機会を断るわけにはいかない。アストン マーティンによれば、非常に要求の厳しいクライアントに合わせて多くの変更が施され、特別装備が追加されているという。

果たしてそのDB5は、非常に驚かされるものだった。ベースとなったDB5を、さらに訴求力のあるクルマへと昇華させていた。少し、危険な部分も持ち合わせていたが。

初めにデザインや技術面から見ていこう。極秘情報に関わるため、このモディファイの具体的な目的は明らかになっていない。アストン マーティンの関係者によれば、ベントレーを愛するクライアントは、新技術の搭載に初めは躊躇していたそうだ。

このDB5で1番の特徴といえるのが、フロントフェンダーの前端に仕込まれた、.303口径の機関銃だろう。左右に1基づつ搭載されている。

機関銃に防弾シールド、回転式ナンバー

不可避の事態に陥った時、ウインカー・レンズが倒れ、後ろから黒光りするバレルが展開する仕組み。ただし、これは秘密兵器とまではいえないだろう。上下方向で撃つ角度は変えられない。左右は、クルマのフロントノーズの向きで調整できるが。

この機関銃は、1分間に650発もの弾丸を発射する能力がある。多少狙いがずれていても、それを補う攻撃力はある※。

防御能力も備わる。後ろから執拗に迫ってくるクルマを追い払うため、白煙を炊くこともできるし、路面へオイルを撒いてスリップさせることも可能。リアガラスの後ろには、万が一に備えて立ち上がる防弾シールドが内蔵されている。

前後バンパーのオーバーライダーは、電動で押し出すこともできる。DB5のオーナーは、どんな場面でこの機能を用いるのだろう。

隠し技のハイライトといえるのが、回転するナンバープレート。3面あり、これなら同時に複数の管轄地域でナンバーを発行してもらえる。しっかり税金も収めれば。偽造されたナンバーを貼るという利用方法は、ナンセンスとしかいえない。

インテリアを覗いてみると、通常のDB5と違わず非常に豪奢に仕立てられていた。アストン マーティンが電動ウインドウと呼ぶ、パワーウィンドウも備わる。ドアに内蔵された電気モーターで窓が上下し、ダッシュボードのスイッチで操作できる。

※機関銃は実際には機能しません。

トリプル・キャブレターの直列6気筒

ダッシュボードの中央には、円形のレーダースクリーンが配されている。地図情報を映し、小型のトレース装置が取り付けられた別車両の位置を表示してくれるという。

このまま進化を続ければ、不注意なドライバーへ視覚的に注意を促してくれることも可能になるだろう。ルート案内もしてくれるようにできそうだ。

運転席側のドアポケットには、無線電話が内蔵されている。移動しながら、コミュニケーションを取れる時代が到来する可能性を示している。

フロントシート間の小さなセンターコンソールには、クルマに搭載された追加機能の多くを操作できるコントローラーが収まっていた。ただし、対応していない装備も一部あるとのこと。

エンジンはトリプル・キャブレターが積まれたアストン マーティン社製の直列6気筒。1964年の世界で、最も高性能なユニットの1つであることは、AUTOCARの試乗テストでも確認済みだ。

DB5は、高速道路網も問題なく対応可能。最高速度は225km/hに設定され、その速度域でも安全に移動できる。仮にそんなスピードで英国を走れば、他のドライバーに驚きと戸惑いを与えることだろう。

特別な装備を満載した今回のDB5では、その能力を確かめることはできなかった。少なくとも、オーナーの希望で追加された特別装備によって車重は増え、直線加速には影響が出ているはず。64psのメルセデス・ベンツ180を引き離すことは簡単なはずだが。

この続きは後編にて。

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