「どうかしている」映画祭を騒然とさせた鬼才アレックス・ファン・ヴァーメルダム監督最新作『No.10』

画面から滲み出る不穏と緊張感

『No.10』は『ボーグマン』(2013年)など、静かに狂った唯一無二の作品を発表しているオランダの鬼才アレックス・ファン・ヴァーメルダム監督の記念すべき通算10作目の最新作です。

　幼少期に記憶を失い、森に捨てられ、里親に育てられたギュンター。大人になった彼は舞台役者として生計を立て、共演者と不倫、一人娘は肺がひとつしかない突然変異でした。そして、役者仲間の裏切りによって残酷な仕打ちを受けたギュンターは復讐を誓います。だがその先に、とてつもない驚愕の事実との対峙が待っていたのです｡

　不倫と復讐、自分は何者なのか。