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エキサティングなドライブを堪能させてくれるメルセデスAMG「SL63 4MATIC+」の実力

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エキサティングなドライブを堪能させてくれるメルセデスAMG「SL63 4MATIC+」の実力

 2022年10月にメルセデスAMGから「SL」が発表された時「SL」のオーナーは驚いた。「SL43」と名付けられたそのモデルは、直4、2.0Lガソリンエンジンを搭載、これをターボで武装し、381PS、480Nmの性能は有してはいたが、それは「SL」ではなく「SLK」に近いモデルに見えた。当時の「SL」はV8エンジンを搭載したラグジュアリーなスポーツカーだった。このギャップはメーカーも承知していたようで、2023年4月、「SL63」が発表された。しかし、半導体不足など生産環境が整わず、なかなか国内でデリバリーが始まらなかった。ようやく試乗車が用意されたのは2023年末の頃だった。

完全自社開発の4.0LのV8ツインターボエンジンを搭載

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「SL63」は「SL43」より迫力のあるスタイリング。メルセデスAMG社がゼロから完全に自社で開発した「SL43」だったが「SL63」を見ると、本当はこちらのほうが「SL」の本命、という主張が感じられた。ボディーは直4、2.0Lの「SL43」よりボリュームがあるように見える。カタログ値では、両者は全長(SL63が4mm長い)、全幅、全高(SL63が5mm低い)については、ほぼ同じだが、見た目の迫力が違うのだ。



 何しろ、フロントのボンネット下は、直4、2.0Lに代わり、完全自社開発の4.0LのV8ツインターボエンジンが収まっている。最高出力は381PSから585PS、最大トルクも480Nmから実に800Nmにアップしている。V8エンジンはアルミのクランクケースに鍛造アルミのピストンを組み合わせ、軽量、高強度を実現した。ツインターボはV型バンクの内側に搭載され、ツインスクロールターボでレスポンスを向上させるという新技術も採用されている。同時に低負荷走行時には4気筒休止モードも採用し、低燃費、CO2低排出も実現するなど環境への配慮も行なっている。

 ミッションはAMG製のスピードシフト9速AT。トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを採用し、素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現。シフトダウン時の自動ブリッピングやレーススタート機能も装備されている。シフトダウン時に1速飛ばしをしても自動ダブルクラッチ機能が作動する。

 駆動は「SL43」が後輪だったが「SL63」は4輪駆動。約70年にわたる「SLシリーズ」の歴史の中で4WDの採用は今回が初めてだ。パフォーマンス志向連続トルク可変配分式システムも開発された。これはトルク配分を後輪から4輪へと連続的に変化させながら、走行できるメカで「SL63」用に開発された。

 サスペンションも疑っている。フロントにはメルセデスAMGのクルマとしては初めて5本のリンクをホイールの内側に収めた5リンク式を採用。リアも5リンク式を採用した。ダンパーも油圧機構を採用し、4輪が相互に接続され、動きを制御している。そして、これも「SL」として初めて後輪操舵システムが標準装備として導入された。100km/h以下では前、後輪が逆位相、100km/hを超えると同位相になるという高速重視のセッティングだ。

紳士的なスポーツカーから爆音を周囲に響かせるスーパーカーに変身

 走るためにメルセデスAMGが「SL63」に投入した装備だけでもこれだけある。さらにドライビングモードも備えている。こう書いているだけで、走り出したくてウズウズしてくるのだ。早速、実車に乗り込むと、重心を低く、重量も軽くするために、ルーフは三重構造のホロを採用している。最初はホロを立てた状態で乗りこむ。着座はやや高めでもヘッドスペースは確保されている。ボンネットも見える。



 スタートボタンを押し、ギアをDに入れる。ここでちょっと興ざめしたのが、シフトレバーがコラム右から生えているメルセデス・ベンツ特有のレバータイプだったこと。「Aクラス」と同じだ。R/N/DのポジションでPはレバー頂部を押すタイプ。気を取り直してダイナミックセレクトをコンフォートに選択し、スタートする。

 V8、4.0Lのツインターボエンジンは1500回転でもスムーズに走る。ハーフスロットルで走行すれば「SL63」は大人しい2シーターのオープンカーを演じてくれる。高速走行中にアクセル・オフにするとエンジンと変速機を切り離すコースティング走行もできる。

 ハンドルスポークに内蔵されているダンパー調節ダイヤルとモード切り替えダイヤルを操作しながら走行した。100km/hのDレンジは1400回転。加速データを計測するために、全開で走行すると、V8、4.0Lのツインターボはレッドゾーン(7000~8000回転)手前の6600回転まで回り、0→100km/hを3秒台後半で走り切った。



 V8エンジンは4000回転をオーバーすると、それまでの紳士的なスポーツカーから爆音を周囲に響かせるスーパーカーに変身。5000回転までの2速は75km/h、3速は90km/h、4速は130km/h。パドルシフトを駆使しながらのワインディング走行は、腕さえあれば、最高にエキサイティングな瞬間だ。



 ミシュランのタイヤ「パイロットスポーツ4S」、前275/35ZR21、後305/30Z21のタイヤがしっかりと路面をとらえ、4輪5リンクサスと4輪操舵、4輪駆動が相互に働き、絶妙なコーナリングを楽しませてくれた。これまでのラグジュアリー志向の「SL」とは異なり、1952年に登場し、ルマン24時間耐久レースで1、2フィニッシュを飾った「300SL」をベースに造られた初代「SL」に近いスポーツマシン、それがこの「SL63 4MATIC+」なのだ。



■関連情報
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/models/cabriolet-roadster/sl/overview.html

文/石川真禧照 撮影/萩原文博

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みんなのコメント

1件
  • まろまろ
    直4じゃ無く直6の2Lなら、良かったのかな。
    外観だけで、心臓部V8ツインターボのスペックなら一般的な感じですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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