真夏の日差しが降り注ぐ2023年スーパーGT第4戦『FUJI GT 450km RACE』のGT500クラス公式予選は、佐々木大樹がQ2を担当した24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zが、前戦鈴鹿の平手晃平に続く2戦連続の"予選最速車両"となり(前回は予選後の再車検で失格、最後尾に)、今回は正真正銘のポールポジションを獲得。今季2度目の富士450km決勝に向け、まずは最前列グリッドを確保した。
日本列島全体で7月以降は記録的な猛暑が続くなか、それでも夏休み期間とお盆に向け行楽ムードの盛り上がりを感じる雰囲気となった8月第1週の富士スピードウェイで、スーパーGTも約2カ月ぶりに再開のときを迎えた。
午前9時からの公式練習開始時点ですでに気温は30度を超え、同じく38度だった路面温度も含めグングンと暑さが増すなか、GT500の全15台は順調に走行を重ねていく。開始30分を経過するころには、比較的サクセスウエイト(SW)が軽量な車両のなかから16号車(10kg)と8号車(22kg)のARTA MUGEN NSX-GT艦隊がワン・ツーを固め、3番手には今回もスピードトラップ最速の299.169km/hを記録する24号車(6kg)が続いていく。
しかし最後のクラス専有枠の10分間では、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraがセクター1最速で予選シミュレーションを進めるなか、ダンロップコーナー手前でまさかのストップ。ボンネットから白煙が上がる車両トラブルによりコースサイドでマシンを止めると、そのままセッションは赤旗終了となる。
これにより、各セクターで自己ベストを更新しながらアタックに向かっていた各車両も、お互いの実力差を推し量る指標なく午後の予選に臨む状況となった。
■Q1:1号車と39号車はエンジン交換に。トヨタ陣営はまさかの38号車以外Q1敗退
盛況のピットウォーク、エアレースパイロットの室屋義秀によるデモフライトなどが実施されるあいだ、午前からトラブルに見舞われた39号車や、その後のFCY(フルコースイエロー)練習走行からサーキットサファリの走行枠に掛けて、周回数を稼げないままだった1号車MARELLI IMPUL Zもエンジン換装を決行して迎えたノックアウト予選。
GT300クラスが走行を開始した午後15時20分には気温33度、路面温度45度の条件で勝負が繰り広げられる。そして15時53分から始まったGT500クラスのQ1では、1号車ベルトラン・バゲットを先頭に各車とも間隔を開けてコースへ向かう。
選択したタイヤコンパウンドのグリップ発動条件が異なるか、23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生や、同じくミシュランを履く3号車Niterra MOTUL Zの高星明誠、そしてトヨタ陣営では14号車ENEOS X PRIME GR Supraの山下健太らが3分以上が経過してからピットを離れていく。
先行組がウォームアップを進めるなか、搭載するSWが50kgを超える3号車Niterraの高星は、すでに燃料流量リストリクターの1ランクダウン領域に入りパワーが絞られた状況ながら、自身計測2周目で1分31秒台、続く3周目で1分28秒448とタイミングボードの最上位で順調にタイムを詰めていく。
しかし、じっくりとタイヤを温め続けた先行組から、16号車の福住仁嶺が自身4周目に1分27秒858を記録して最速タイムを塗り替えていく。同じ周回では64号車Modulo NSX-GTの太田格之進や、24号車リアライズの平手らもトップ3の好タイムを記録すると、チェッカー目前に8号車ARTA MUGEN野尻智紀も1分28秒025で3番手へ。午前の好調さを持ち込み、ARTA MUGEN陣営がリアライズを挟んで1-3とする。
その背後では4番手の100号車STANLEY NSX-GTに続き、一時セッション中盤には首位にも立った38号車ZENT CERUMO GR Supraの石浦宏明が、このラウンドが最後の走りとなる“富士最速男”こと立川祐路にタスキを繋ぐべく、5番手タイムでカットラインをクリアする。
以下、3号車、64号車、そして17号車Astemo NSX-GTが8番手までを占め、残念ながらエンジン換装の39号車はQ2進出ならず。怪我から復帰した松田次生も13番手となり、トヨタ陣営は38号車のみでポール争いに挑む意外な展開となった。
■Q2:佐々木大樹が自身2度目のポール獲得。大津弘樹が悔しい2番手
GT300のQ2を経て午後16時31分開始のQ2は、セッション開始からしばらく間を開けて8号車が先陣を切る。この時点で路面温度も39度まで低下しており、チームは怪我の療養明けとなる大湯都史樹にすべてを託す。
そこからさらに1分半ほどを空けて各車がコースへ入り、残り6分半のところで3号車Niterraの千代勝正がやはり大トリでピットを離れていく。
24号車の佐々木を含め、タイミングの異なるニッサン勢とホンダ陣営を中心とする先行組とのタイムバトルは、計測4周目の16号車ARTA MUGEN大津弘樹が、1分27秒831のターゲットを記録する。これに対し、さらに1周先行していた8号車の大湯は1分27秒852とわずかに届かず。それでもARTA MUGEN陣営が午前を再現するかのように最上位を占拠していく。
しかし、そこに立ちはだかったのはやはり“ニッサンZ”で、計測3周目こそわずかにクールダウンを入れていた24号車佐々木が、続くアタックラップで渾身のドライブをみせて1分27秒763として首位を奪取。これに対し16号車の大津もチェッカーラップで自己ベストを更新し対抗するも、1分27秒813でわずかに届かず2番手。ARTA艦隊を押し除けた佐々木が前戦の平手に続き最速タイムを記録し、2戦連続でKONDO RACING予選最速を証明するポールポジションをもたらした。2番手には0.050秒差で16号車、3番手には0.089秒差で8号車のARTA MUGEN陣営の2台が続いた。
セカンドロウ4番手には“燃リスダウン”組の3号車が入って底力を見せ、17号車Astemo、100号車STANLEYを挟んで、マイスター立川の最後の富士アタックは7番手となっている。
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