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【どこ行くシビック】ユニクロっぽかった初代 アメリカ偏向プラス/マイナス 問われるホンダ新戦略

掲載 更新 16
【どこ行くシビック】ユニクロっぽかった初代 アメリカ偏向プラス/マイナス 問われるホンダ新戦略

C/Dセグメントの常識崩れる?

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】次期シビックと現行シビックはどう違う?【画像で比較】 全108枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

シビック、と聞いて、あなたは何をイメージするだろうか?

クルマ好きは即座に、タイプRと答えるかもしれない。

タイプRは知る人ぞ知る、良い意味でのマイナーなクルマである一方で、シビックというモデルブランド自体がマイナーになっている印象がある。

そんなイメージを持つ人が大勢いるのは、シビック全盛期を覚えている人が多いからに違いない。

シビックの歴史を、筆者自身の実体験を踏まえて振り返ってみると、なんといっても70年代登場の初代シビックのインパクトが強い。

シビック登場までのホンダは、一般的に二輪車メーカーのイメージが強く、四輪車といっても軽トラックを含めて、当時はまだ商用車イメージが色濃い軽自動車メーカーという感じだった。

また、首都圏では販売店の規模が小さい、ないしは人口が多い商圏ですら販売網が確立されておらず、当時の日系ビック2であるトヨタや日産に比べて「ホンダを買おうと思っても売っている場所が近所にない」という声も多く聞かれた。

そうした状況で、いきなり登場したシビックは、それまでの日系メーカー車とは「なんだか違う?」という独特の世界感を持っていた。

それが、現在まで続く、ホンダのブランドイメージだと思う。

ホンダは70年代のユニクロだった?

現時点(2020年末)から、初代シビックを俯瞰してみると、90年代後半にユニクロが広めたフリースのような存在感だったといえるのではないだろうか。

つまり、ホンダがクルマの世界に「大衆的なカジュアル」という商品イメージを持ち込んだのだ。

デザインについても、3ドアハッチバックで上屋の開口部が大きく、インテリアもシンプルながらライフスタイルを尊重するような雰囲気がある。

70年代当時の定番小型車だった、トヨタ・カローラと日産サニーと比べると、明らかにカジュアルだった。

また、初代シビックにユニクロっぽさを感じるのは、技術的な裏付けがあるからだ。

ユニクロならば、素材の保温性や耐久性、価格などで他社との差別化を強調してきたが、初代シビックではCVCC(複合渦流調整燃焼)が排気ガス規制と燃費の点で大きな差別化要因となった。

近年では当たり前になった、エンジン気筒内での希薄燃焼(リーンバーン)の考え方を副燃焼室で量産する画期的な発想だった。

気筒内の混合気の流れを、学術的に立証させた内容について、その開発に携わり後年は教鞭を取った方から、筆者は直接話を聞いたことがある。

新技術とデザインの両面から、初代シビックのカジュアルさは日本のみならず、海を渡ったアメリカでも大きな話題となったのだ。

シビックはホンダの成長と迷いの象徴

そもそも、初代シビックでCVCC開発を急いだのは、アメリカの排気ガス規制(マスキー法)への対応があった。

ホンダとしては、日本国内でトヨタと日産の牙城を崩すことが極めて難しい状況であり、ならば排気ガス規制強化によって今後は日本車の得意分野である小型車市場の拡大が見込めるアメリカで勝負を賭けたのだ。

2020年末時点で、ホンダは営業利益の約半分を北米市場に依存しているが、その背景には、初代シビックをきっかけとして、70年代当時のホンダ経営陣が描いた未来図が実現していると見るべきだ。

別の見方をすると、アメリカ優先の志向から結局抜け出せなくなっていることが、現在のホンダの弱みであり、そこから抜け出す方策について、ホンダは思い悩んでいるのだと思う。

初代からさらに時代を進めると、80年代の2代目はキープコンセプトとなり、日本ではシビックのスーパーシビックのワンメークレースも開催された。

その後、90年代まではシビックの基本路線が継承されていく。

それが2000年代に入り、経済新興国の成長が顕著になる中、世界6拠点化による2016年世界販売600万台構想という多品種大量生産を目指す中、シビックの存在意義が大きく変わっていった。

ホンダ・シビック、どこへ行く?

8代目では、フィットをベースとする日欧シビックと、Cセグメントとしての北米シビックが併存するという、シビックブランドの分離が起こる。

さらに、9代目は北米で販売現場からの指摘によって導入2年でデザインに大きく手を加えるという事態に陥った。

当時、アメリカ各地で取材し、日米のホンダ関係者の心の迷いを実感した。

さらに、2010年代半ばになると、北米で主力マーケットがC/DセグメントセダンからコンパクトSUVへのシフトが顕著になり、その流れは2020年代に入っても継続している。

直近では、2020年1月~11月のアメリカ累積販売台数で、シビックが24万0178台(前年同期比20.4%減)に対して、CR-Vは29万5382台(14.8%減)となり、コロナ禍での影響もCR-Vの方が少ない。

さて、今後のシビックはどうなるのか?

日本ではタイプRに加えて、2010年以来7年ぶりに復活したハッチバックがある。国内の主力モデルはNボックス、フィット、フリードであり、果たして次期シビックは日本市場を残すのか?

また、海外市場の動向を鑑み、日本でも政府方針として2030年代に向けた電動化シフトが加速する中、70年代のCVCCのような次世代技術がシビックをベースに世界に広まる可能性はあるのか?

ホンダにとって、過去の成長や、それぞれの時代での迷いの象徴であったシビック。

さらなる未来の姿に期待したい。

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みんなのコメント

16件
  • 昔は「市民の車」として求められる要素が大きな差異が無かったが、車社会がそれぞれの地域で成熟してきた結果の産物でしょう。

    アメリカのような荒れた路面も多いがタダで走れるハイウェイが多く広い道も多い社会においては機能と走行性と安全性と快適性が重要となり、今のCセグのような車が市民カーになった。

    日本のような社会では道は整備されているが狭くカーブも多い上、日常では下道メインのためBセグや軽が市民カーとなった。

    となると、メーカーとしては売れる台数に合わせてそれぞれ開発するのが当たり前。

    シビックが市民カーじゃなくなった!
    日本メーカーなんだから日本を1番に考えるべきなんだ!
    なんて考え自体がガラパゴスそのもの。

    そもそもそんな車種名と車の価値を勝手に脳内定義して他人に押し付けるのが古臭い。

    そういうこと書いてる自称車好き自体が日本の車社会の進化を妨げてるんじゃないかな。
  • この記者的には、「ホンダ=ユニクロ」をナイスアイディアだと思っているのだろうが、正直なところ全く納得感なくピント外れに思える。

    因みに、ユニクロのフリースブームを90年代のこととするのもミスリードで、あのブームは2000年前後である。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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