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【クルマの通知表】カローラの新たな主役、カローラクロスが提示するSUVワールド

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【クルマの通知表】カローラの新たな主役、カローラクロスが提示するSUVワールド

販売好調、魅力はコストパフォーマンス!

 カローラクロスは、カローラ初のSUV。販売は好調に推移している。  昨年9月の発売から今年4月のデータで、販売台数は4万1960台、販売比率はカローラ全体の46%に達した。1.8リッターハイブリッド(HEV)と1.8リッターガソリンのうちHEVが選ばれており、全体の77%を占める。

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 人気ナンバーワンのグレードは、今回のテスト車でもあるハイブリッドZ(71%)。最上級モデルながら価格が300万円を下回っており、「コストパフォーマンスに優れている」点が支持されているという。  乗り換え元はミニバン、SUV、ステーションワゴン、2BOXなどさまざま。ユーザーの年齢層も幅広い。カローラクロスの発売以降、カローラそのものが若年層ユーザーに興味を持ってもらえるようになり、カローラ若返り化のきっかけになっているそうだ。

 そんなカローラクロスは、クルマ自体の仕上がりもまったくそつがない。すべてにわたる高い完成度が印象的だ。  ユーザーからの高い支持は、優れた商品性を示すものであり、魅力的なSUVであることを物語っている。

パッケージング優秀。個性は薄いが誰もが満足

 カローラの一員であることを意図的に表現した内外装デザインは、まとまりがよい。ドアは最新のSUVらしく、サイドシルを覆うようになっている。乗降時にスソを汚す心配はなく、シートの座面やドア内張りの形状も工夫され、乗降性も良好である。

 視界は広い。大ぶりなドアミラーが視線に近い高さにあり、意識しなくても目に入るのは好印象。加えて、ピラー脇に設けられた小窓がいい仕事をしている。右左折時に横断歩道を通過する際にも歩行者を見落としにくい。車両感覚も掴みやすい。ボンネットに配されたV字型のラインがいい目印になる。  横方向や後方視界もまずまず。Cピラー後方に小窓が配されているのもプラス。これも、あるとないとでは大違いだ。

 メーターは多機能設計。燃費やハイブリッド機能はもちろん、エコジャッジのようなエンターテインメント要素もあり、さまざまな情報が表示できる。インフォテインメント系も充実している。  Tコネクトはいろいろなアプリが使える。トヨタはこうした点に非常に力を入れている。このあたりも、若い層から支持される要因に違いない。  シートは快適設計。室内空間は想像するよりも広く、後席の居住性も十分。上級グレードには後席エアコン吹き出し口が装備される。

 サイドウインドウ面積は広く、ヒップポイントは前席よりも10mm高くされている。その効果で、後席からの見晴らしもよい。  Zグレードに設定されたパノラマルーフ(op)は、固定式のため途中に視界を遮る仕切りもなく、電動で開閉できるサンシェードが付く。  ラゲッジ空間はゴルフバッグが4セット積める広さ。汚れ物を気にせず積めるマットも用意されている。ただし、リアシートの背もたれを倒しても微妙に段差が残る。車中泊には不向きだ。

 走りは、そつがないという表現がぴったりだ。TNGAに基づくプラットフォームは、C-HRとの共通性が高い。リアサスペンションは4WD車がマルチリンク式。2WD車はシンプルなトーションビーム式を組み込む。ビーム式でも乗り味の面でネガを感じさせない。

 新車でおろしたてのカローラクロスに試乗したときは、乗り心地がやや硬めだと感じた。走行距離が8000kmを超えた今回のテスト車は、同じクルマながらずいぶんとしなやかになっていた。  ハンドリングはナチュラル。適度にロールし、操舵感覚は過敏でも鈍くもない。いたって素直だ。  そして何より、改めてハイブリッドの出来のよさに感心した。THSがここまでレスポンスよく、力強く加速するようになるとは、数年前には想像もできなかった。そのうえ、燃費は驚くほど良好。テストでは33km/リッターをサラリとマークした。

 静粛性は、ハイブリッド化に合わせていろいろ手当てしたであろうことがうかがえる仕上がり。圧倒的に静かというイメージはないが、さまざまな状況下で気になる点はなかった。  カローラクロスは、クルマに趣味性を求めるユーザー層には無機的に映るかもしれない。だが実力は本物。コストパフォーマンスに優れ、日々の生活で快適に使えて良好な燃費という大きな恩恵にもあずかれる。極めて良質な実用車である。

通知表/トヨタ・カローラクロス・ハイブリッドZ 価格:THS 299万円

総合評価:76点

Final Comment
すべてに優等生の完成度。 欠点らしい欠点がないのが個性といえる

 カローラは名実ともにワールドカー。現行モデルは全方位レベルアップしたことに驚いた。その延長上にあるカローラクロスも、やはり非常に完成度が高い。改めてじっくりとチェックして再認識した。細かく見るとACCの制御に多少の改善すべき点は見受けられる。だが大きな意味では、欠点らしい欠点など見当たらない。しかもこの完成度をこの価格帯で実現したことには恐れ入る。デザインとパッケージが気に入れば購入を躊躇する要素はない。

カローラクロス 主要諸元と主要装備

グレード=ハイブリッドZ(FF) 価格=THS 299万円

全長×全幅×全高=4490×1825×1620mm

ホイールベース=2640mm

トレッド=フロント:1560/リア:1570mm

最低地上高=160mm

車重=1410kg

エンジン(レギュラー仕様)=1797cc直4DOHC16V 最高出力=72kW(98ps)/5200rpm

最大トルク=142Nm(14.5kgm)/3600rpm

モーター最高出力=53kW(72ps)

モーター最大トルク=163Nm(16.6kgm)

WLTCモード燃費=26.2km/リッター(燃料タンク容量36リッター)

(市街地/郊外/高速道路:(25.9/28.9/24.7km/リッター)

サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム

ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク

タイヤ&ホイール=225/50R18+アルミ

駆動方式=FF

乗車定員=5名

最小回転半径=5.2m

主な燃費改善対策:ハイブリッドシステム/アイドリングストップ/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/充電制御/電気式無段変速機

主要装備:トヨタセーフティセンス(プリクラッシュセーフティ+レーントレーシングアシスト+全車速追従レーダークルーズコントロール+オートマチックハイビーム+ロードサインアシスト)/パーキングサポートブレーキ/バックガイドモニター/7エアバッグ/バイビームLEDヘッドライト(シーケンシャルウインカー付き)/UVカット機能付きグリーンガラス/電動パーキングブレーキ/バネ上制振制御/ルーフレール/本革&ファブリックシート/運転席電動調節/前席ヒーター機能/本革巻きステアリング/6対4分割可倒式リアシート/後席リクライニング機能/オプティトロンメーター+7インチTFTディスプレイ/スマートエントリーシステム/左右独立温度調節式オートAC(電動インバーターコンプレッサー)/通信+充電用USB/7インチディスプレイオーディオ/18インチアルミ/ハンズフリーパワーバックドア/ドライブモードセレクト(エコ/ノーマル/パワー)

装着メーカーop:イルミネーテッドエントリーシステム1万1000円/ブラインドスポットモニター4万4000円/パノラミックビューモニター2万7500円/アクセサリーコンセント(AC100V・1500W、非常時給電システム付き)4万4000円/おくだけ充電1万3200円/パノラマルーフ11万円

ボディカラー:ダークブルーマイカメタリック

※価格はすべて消費税込み ※リサイクル費用は1万2450円

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