“世界三大レース”のひとつであるル・マン24時間レースを中心に、世界各地を転戦するスポーツカーシリーズのWEC世界耐久選手権。その日本ラウンドが今週末9月13日(金)から15日(日)にかけて、静岡県小山町に位置する富士スピードウェイで開催される。
年間8ラウンドで競われる2024年シーズンの終盤、タイトル争いにおいて重要な一戦となる第7戦として行われるのが『富士6時間耐久レース』だ。同レースを前にシリーズの公式サイト(https://www.fiawec.com/en/news/25-fabulous-fuji-stats/8070)では、WEC富士にまつわるトピックスが“25個の統計情報”としてまとめられている。ここではその一部を紹介する。
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■富士での戴冠、記録達成なるか!?
トヨタ、ポルシェ、フェラーリと各ブランドに所属するドライバーによって争われているハイパーカークラスのマニュファクチャラー選手権、およびドライバー選手権は11月の最終戦バーレーンで決定するが、その他3つのタイトルは早くも富士で決定する可能性がある。プライベーター用の12号車ポルシェ963を走らせるハーツ・チーム・JOTAはFIAワールドカップ・フォー・ハイパーカー・チームを、LMGT3クラスのランキング首位を独走するマンタイ・ピュアレクシング(92号車ポルシェ911 GT3 R)はレース結果次第でダブルタイトルを確定させることが可能だ。
仮にマンタイ92号車のトリオが富士でLMGT3タイトルを決めた場合、GTクラスのタイトルが2年連続で最終戦以外のラウンドで確定する、初めてのケースとなる。2023年シーズンはコルベット・レーシングが全7戦のうち5戦目でLMGTEアマクラス最後のチャンピオンシップを獲得している。
この富士が“ホームレース”となるTOYOTA GAZOO Racingは、今回富士で勝利をすると、ひとつのWEC開催サーキットで10勝を挙げた最初のブランドとなる。ホームで「10戦9勝」を誇る日本メーカーに唯一土をつけたのはポルシェだ。2015年のレースではティモ・ベルンハルト/マーク・ウェーバー/ブレンドン・ハートレー組が17号車ポルシェ919ハイブリッドを駆り姉妹車の18号車とともにワン・ツー・フィニッシュを飾っている。
■最多優勝はブエミと中嶋一貴
2024年の富士6時間レースは、ニール・ジャニ(プロトン・コンペティション99号車)とダビデ・リゴン(ビスタAFコルセ54号車)が出場する70回目のWECレースとなる予定だ。このふたりは、ジェームス・カラド(フェラーリAFコルセ51号車)、ハートレー(トヨタ8号車)、アンドレ・ロッテラー(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ6号車)に続き、今季この特別なマイルストーンに到達するドライバーとなる。
また、ハートレーにとって今週末のレースはトヨタでの34戦目となり、これによりポルシェLMP1チームでの通算参戦回数に並ぶこととなる。
2012年に始まった現行のWECシリーズでこれまでに優勝を経験している6人の日本人ドライバーのうち、中野信治、中嶋一貴、小林可夢偉、平川亮の4名は富士のウイナーに名を連ねている。最多は現TGR-E副会長の一貴で、合計4勝をマークしている。同じく4勝のブエミは一貴と同じクルマで2回、別のクルマで2回勝利を収めた。
今シーズン、ハイパーカークラスでは2台のBMW MハイブリッドV8を、LMGT3クラスではバレンティーノ・ロッシを含むドライバーラインアップでBMW M4 GT3のペアを走らせているチームWRTは、2022年と23年のWEC富士を制しており、日本ラウンドでは無敗を誇る。また、当時はチームMTEKが運営していたBMWのGTEカー、M8 GTEは2018年に富士スピードウェイでWEC初表彰台を獲得している。
過去のWEC富士でLMP2カーを駆り表彰台の頂点に立った5名は今年、最高峰のハイパーカーで総合表彰台を目指す。優勝年度とドライバー、今季の所属チームは次のとおりだ。
・2016年 ウィス・スティーブンス(ハーツ・チーム・JOTA12号車)
・2019年 ニック・デ・フリース(TOYOTA GAZOO Racing7号車)
・2022年 ドリス・ファントール(BMW MチームWRT15号車)
・2022年 ロビン・フラインス(BMW MチームWRT20号車)
・2023年 ロバート・クビサ(AFコルセ83号車)
■“女性チーム”アイアン・デイムスにかかる期待
前戦の舞台となったサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)と同様に、アストンマーティンは富士でGTクラス最多の7勝を誇る。これに続くのが6勝のフェラーリだ。ポルシェは4勝、コルベットとフォードは1勝ずつで並ぶ。
2021年にWECの最高峰カテゴリーにハイパーカーが採用されて以来、ここ富士は同クラスのマシンにリタイア車両が出ていない唯一のトラックとなっている。他のサーキットでは少なくとも1台がフィニッシュを逃しており、この2024年も開幕戦カタールから第6戦オースティンまでの各レースで、少なくとも1台がリタイア、あるいは未完走に終わっている。
井原慶子は2014年の富士大会で、女性ドライバーとして初めてWECの表彰台に立った。以来、女性ドライバーたちは2023年シーズンに2勝を挙げるなどさまざまかたちで活躍を見せているが、2024年シーズンはこれまでのところ決勝でトップ3に入っていない。これは2021年以来初めてのことだ。
過去2回のWEC富士では、いずれも4名の日本人ドライバーが表彰台に立った。2022年は星野敏と藤井誠暢がGTEアマクラスで3位となり、翌2023年は宮田莉朋と木村武史が同じく3位となった。トヨタの小林可夢偉と平川亮はどちらの年も総合表彰台に上がっている。
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