■「同じクルマ?」と疑ってしまうほど大幅変更も
クルマのモデルチェンジといえば、見た目や性能が大きく変わるフルモデルチェンジが目立ちますが、実はマイナーチェンジでも大きな変身を遂げたモデルが存在します。
今回は、マイナーチェンジ前後で大きく変化したモデルを5車種紹介します。
●トヨタ「アルファード」2017年
トヨタ「アルファード」の現行モデルは、2015年に登場した3代目です。「大空間高級サルーン」として開発されたこともあり、室内の居住性は先代モデルと比べてもより充実しています。
新車価格は、352万円から775万2000円と、グレード差で400万円以上の価格差があるほど多彩なラインナップとなっています。
なかでも、2017年12月におこなわれたマイナーチェンジでは、その前後で大きく印象を変えました。
エクステリアでは、バンパーやグリル形状などのデザインが変更され、より個性的で存在感のある見た目となっています。
インテリアではパネルやメーターの加飾、シート表皮などのデザインが刷新されたほか、内外装色ともに新色を追加。
エアロボディ(当時の名称)には、最上級グレード「Executive Lounge S(エグゼクティブ ラウンジS)」が新規設定されています。
さらに、変更はデザインだけにとどまりません。当時、国内のトヨタ車で初となる新型3.5リッターV型6気筒エンジン&8速ATを採用して走行性能を向上。また、安全装備の「Toyota Safety Sense」を全車標準装備としました。
マイナーチェンジ後の売れ行きは好調で、軽自動車をのぞく年間販売台数ランキングでは、2019年では13位(6万8705台)、2020年上半期(1月から6月)では10位(3万6597台)。
直近の2020年9月の単月では4位(1万436台)にまで上り詰め、国内市場でもっとも売れているミニバンとなりました。
●トヨタ「プリウス」2018年
トヨタを代表するエコカーの現行「プリウス」は、約227万台を売り上げた先代モデルからの期待を背負い、2015年に登場した4代目です。
ボディサイズを大きくしたにもかかわらず燃費も向上するなど、トヨタのメーカーパワーが詰まった1台といえます。
しかし、発売当初は年間の販売台数ではトップだったものの、「プリウスにしては」販売が伸び悩みます。
その大きな要因としては、「歌舞伎顔」と呼ばれるフロントマスクが挙げられていました。
そこで、2018年12月にマイナーチェンジをおこない、フロントマスクのデザインを一新。
「目つきがキツい」との声も多かった前期型からマイルドな印象のフロントマスクに変わり、多くのユーザーから高評価を得ます。
それが功を奏し、2018年の年間販売台数ランキングでは日産「ノート」とトヨタ「アクア」に次いで3位でしたが、マイナーチェンジ後の2019年は1位となり、見事トップに返り咲きました。
失敗は許されないなかでの思い切ったフロントマスクデザインの変更は、まさに王者の意地といわんばかりの復活となったのです。
●ホンダ「フリード」2019年
現行のホンダ「フリード」は、2016年に登場した2代目です。3列シート車に加え、2列シートの「フリード+(プラス)」も同時にラインナップし、発売当初からファミリー層を中心に人気を獲得しました。
2019年10月におこなわれたマイナーチェンジでは、エクステリアではフロントグリルやバンパーのデザインを変更。
精悍で落ち着きのあるシンプルなスタイルとし、従来モデルからワイド感のあるデザインに変更。親しみやすさに加え、洗練されたデザインとしました。
インテリアでも細かなデザインや材質が変更されたほか、クロスオーバーSUV風の外観デザインが特徴な「CROSSTAR(クロスター)」というグレードを新たに追加します。
クロスターは、専用のフロントグリルや前後バンパー、LEDフォグライトを装着しているほか、ルーフレールやアルミホイール、専用色のドアアウターハンドルとドアミラーを装着。インテリアでも、アウトドアらしさを演出するデザインが採用されています。
さらに、安全装備である「Honda SENSING」は、一部の機能を追加して全タイプ標準装備としたほか、「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」は加減速時にスムーズなフィーリングとなるように改良されました。
その後も売れ行きは好調で、2020年1月から6月では普通車で7位(3万8844台)にランクイン。
さらに、直近の2020年9月ではライバルであるトヨタ「シエンタ」が18位(3614台)と落ち込むなか、8位(7689台)と高順位をキープしています。
■日産が誇る名スポーツカーと三菱の唯一無二ミニバンもイメチェン!
●日産「スカイライン」2019年
現行の日産「スカイライン」は、2013年に登場した13代目です。スカイラインという車名を続けながら、日産が海外で展開していた高級ブランド「インフィニティ」のエンブレムを装着していました。
エンブレムについて、発売当時に日産は「プレミアムセダンとしてのポジショニングを変えるため」と説明。しかし、セダン全体の販売不振の影響もあり、その売れ行きは伸び悩みます。
その状況を打開すべく、2019年にはビッグマイナーチェンジがおこなわれました。
まず、エンブレムを日産エンブレムへ変更したほか、フロントグリルに日産ブランドを象徴するVモーショングリルを採用。同社のスポーツモデル「GT-R」にも似ている顔つきとしました。
また、安全装備において、世界初の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」をハイブリッド仕様に搭載。
一定の条件を満たした高速道路上において、同一車線内でのハンズオフ走行を可能とし、長距離移動時のドライバーの負担を最小限に抑えます。
さらに、ガソリン仕様にはスカイライン史上最強の出力を実現した「400R」グレードを設定しました。
3リッターV型6気筒ツインターボエンジンを400R専用にチューニングすることで、最高出力405馬力・最大トルク475Nmというパフォーマンスを実現。
また、販売店スタッフによれば、現在でも売れ筋である「400R」を中心に、20代から30代の若い世代からも人気を獲得しているといいます。
●三菱「デリカD:5」2019年
現行の三菱「デリカD:5」は、2007年に登場しました。13年のモデルライフを送った「デリカスペースギア」の後継で、世界で唯一のオールラウンダーミニバンをコンセプトに開発されます。
発売後、2008年から2012年まで毎年マイナーチェンジがおこなわれました。
以降は一部改良が重ねられますが、2016年に燃費数値を実際よりも高く偽っていたことが判明し、一時は製造・販売を中止。同年には燃費の修正をおこなって販売は再開されますが、車種だけでなくメーカーとしても評価を大きく落とし、窮地に立たされました。
その後、2019年2月に大幅なマイナーチェンジがおこなわれます。
フロントフェイスには三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」が採用され、ヘッドライトは縦型形状のLEDとなり、LEDポジションランプを搭載。
また、リアコンビネーションランプはリアゲートガーニッシュとの連続性を持たせ、テールランプを外側まで光らせるデザインに変更されました。
これまでのオフロードをイメージするようなアクティブな印象から、近年ミニバンを中心に人気を集める「オラオラ顔」と呼ばれるような、重厚感のある顔つきとなっています。
その評価は賛否が分かれていますが、2020年1月から6月では普通車で44位(5684台)となっており、登場から10年以上経った今でも息の長い人気モデルとなっています。
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みんなのコメント
気がするけど。普通にマイナチェンジでしょ。
グリルが無くなったならまるで別の車だろうけど。