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インディアンの限定車「FTR×RSD Super Hooligan」に見る メーカーとカスタムの世界を繋ぐ意味

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インディアンの限定車「FTR×RSD Super Hooligan」に見る メーカーとカスタムの世界を繋ぐ意味

カスタムとメーカー、レースを繋ぐ存在

 世界限定300台が生産され、そのうち25台が日本へデリバリーされたインディアンモーターサイクル「FTR×RSD Super Hooligan」。

【画像】ローランド・サンズが手掛けた数々のカスタムバイクを画像で見る(26枚)

 1899年にオスカー・ヘッドストロムによって原動機付き二輪車が造られ、ジョージ・ヘンディが協力することで設立されたインディアンモーターサイクルは歴史上、アメリカ最古のモーターサイクルメーカーとなりますが、同社とカスタムビルダーのローランド・サンズ率いるRSD(ローランドサンズデザイン)の同コラボモデルは、今春に開催された東京モーターサイクルショーで日本初公開された一台です。

 RSDとインディアンが約10年にわたり開催してきたレースシリーズ「Super Hooligan(スーパーフーリガン)」の名前を掲げるとおり、モトアメリカ(米国のレース団体)で行われるレースでのレギュレーションを見据え生み出された同モデルは、オーリンズ製倒立フォークやブレンボ製ダブルディスクブレーキ、クオリティと性能に定評のあるアクラポヴィッチ社製エキゾーストを備えた、いわばスペシャルモデルであり、まさにメーカーが生み出したカスタムと呼べるものなのですが、その開発に携わったローランド・サンズは、まさにカスタムの世界とメーカー、そしてレースの世界をも繋ぐ存在です。

 1970年にチョッパーショップとして創業し、後にブレーキをはじめとするアルミ削り出しパーツを生産し、一大パーツメーカーとなった“パフォーマンスマシン(以下PM)”。

 その創業者であるペリー・サンズの息子として1974年に生まれたローランド・サンズは、5歳の頃にはじめてバイクに触れ、その後はロードレースの世界で活躍。1998年にはAMA(アメリカのレース団体)の250ccクラスで年間チャンピオンに輝く成績を収めたのですが、同年に父が創業したPMにデザイナーとして入社。PM在籍時には数々のヒットパーツを生み出し、2005年にはPM内の一部門として“RSD”を設立することとなります。

 ちなみに“RSD”が設立されたキッカケは当時、全米で放映されたディスカバリーチャンネルの番組である“バイカービルドオフ”に出演するためであり、相手は伝説的なビルダーであるアーレン・ネスでした。

 同番組はカスタムビルダー2名が2週間の期間でバイクを製作し、ユーザーの投票で勝者を決定するという、いわば“料理の鉄人”のバイク版。2000年代前期にはかなりの人気番組でしたが、そこで惜敗したもののローランド・サンズは国内外からの評価を確固たるものにし、2010年にはRSDをPMから完全に独立。今の活躍に至っています。

各社メーカーのプロトタイプにも関与

 そんな素性を持つゆえ、ローランド・サンズの生み出すカスタムマシンは、常に“走り”の性能が追求されているのですが、そうした部分が各バイクメーカーとの深い関係に繋がっているのは、まず間違いありません。

 AMAの年間チャンピオンだった実績とパーツメーカーの息子として、あくまでも安全性と機能を追求する父の姿を見て育ったローランド・サンズという人物の生み出すマシンたちは、たしかに他のビルダーが製作したものと、どこか一線を画する空気感が漂います。

 実際、ローランドは多くのメーカーから仕事としてカスタムビルドを依頼され、それが後に正式なプロダクツに採用されることが、しばしばあるのですが、2013年製作のBMWMotorrad“Concept90” や、このサイトのギャラリー(写真ページ)で紹介する2015年の“Concept101”はその典型。前車は2014年に発売された“RnineT”、後車は2017年の“K1600B”としてカタチを変え、リリースされるに至っています。また今回、冒頭で紹介したインディアンFTRの開発プロトタイプもローランド・サンズの手によるものです。

 また2017年にモトアメリカではじまったレースである“The Mission(スポンサー企業名)Super Hooligan National Championship (MSHNC) ”もローランド・サンズの立案によるものなのですが、そのレギュレーションは空冷で排気量750cc以上の2気筒、水冷も750cc以上の2気筒となっており、アップハンドルが備えられた車両という大雑把なもの。事前承認を受ければ電気バイクも参戦可能とのことですが、これもハーレーやチョッパー、カスタムバイクにレーサーなど、あらゆるバイクをいたずらに分別しないローランド・サンズの理念を感じさせるものです。

 2000年代初頭からは日本のカスタムシーンが海外から注目され、今も世界中から熱い視線が注がれているのですが、当時のアメリカのビルダーたちが一様に語っていたのが「アメリカのチョッパーは走らないゲテモノが多くなってしまったけど、日本のカスタムバイクやチョッパーは走りのことがシッカリと考えられている」という点です。

 現在、ごく少数台が残っているというインディアンFTR×RSD Super Hooliganというマシンを通して「カスタム“バイク”とは、どうあるべきか?」をプロショップとユーザーが一丸となり、業界全体で再考してみるのも悪くないかもしれません。

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