911は最後にEV化されるポルシェ
text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ポルシェのスポーツカー部門ディレクター、フランク・ステフェン・ウォリザーが、911の電動化技術採用について、AUTOCARの取材に答えてくれた。少なくとも純EVのポルシェ911は、2030年までは登場しないようだ。
「ポルシェ911は、最後にEV化されるポルシェになるでしょう。それはわたしが引退後のことになるはずです。最後まで911にガソリンエンジンが搭載できるように戦うつもりです」
また、911のハイブリッド化についても、しばらくの時間があるようだ。「911に(ハイブリッドの)パッケージを搭載することはとても難しい課題です。2+2の定員は保ちたいですし、適切な荷室も残したい。911らしい形状も崩したくはありません」
「追加となる車重に対する準備もできていません。もし(ハイブリッドを積んた)クルマを作るなら、まったく新しいモデルを考えた方が簡単でしょうね」
これまでポルシェ911のモデルサイクルはおよそ7年。おそらく992型が続く2026年までは、ハイブリッド版が登場することはないと考えて良いだろう。
またウォリザーは、ポルシェ911ターボSが、ポルシェ911の中で最速であっても、最も楽しいわけではない、という評価を改めようと考えている。「ユーザーのフィードバックは理解しています。その対策を施しています」
ライトウェイト・パッケージを追加
新型のターボSはパワーアップし、車高は低められ、より硬いサスペンション・スプリングを獲得。加えて2020年末には、ライトウェイト・パッケージもオプションで導入される。
「ユーザーが選択できるパッケージで、軽量な部品の導入だけでなく、遮音性の部分にも手が加えられます。それぞれは小さな変化ですが、組み合わさると大きな違いになります」
筆者はリアガラスをポリカーボネート製にしたり、リアシートを取り外すことも含まれるのか聞いてみた。「その方向で進めています」 とウォリザーは答えてくれた。
ライトウェイト・パッケージは、通常のカレラやカレラSでも選択が可能。992型では、モデルサイクルの後半で「T」は登場しないかもしれない。
ウォリザーによれば、これまでの911カレラTの反応は良いものの、ポルシェとしては定番グレードとして設定するかどうか、充分な検討をしてこなかったという。
2021年に公開される可能性のある911 GT3についても、具体的な仕様を明らかにした。718ケイマンGT4やボクスター・スパイダー用に開発された4.0Lのフラット6を、チューニングして搭載するという憶測を否定したのだ。
「答えは、ノーです。われわれはレース用のエンジンにこだわります。費用はかかりますが、サーキットで開発します。レースごとに学び取ることも少なくありません。それが、われわれが継続する手法です」
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