令和が始まって5年が経ち、昭和は遠いムカシになりつつある。だが、その昭和は魅力的なクルマにあふれていた時代でもあった。今回は、そうした昭和のクルマのなかから懐かしの人気セダンに注目してみた!
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、日産、三菱、FavCars.com
マークIIやセドグロ そしてランサー!! 昭和にブイブイいわせた名セダンたち大集合!
■セダンが最も華やかだった時代
昭和最後の年は西暦にすると1989年。すでに34年も前のことである。日本国内はバブル景気真っただ中、高価な新車も飛ぶように売れていた。
ただしそれは昭和末期の話で、64年間と長期におよんだ昭和には、好景気があれば不景気もあり、世界はもちろん日本の自動車産業が大きく発展している。
そんな昭和にあこがれのクルマとして存在していたのが4ドアセダンだ。この時代の軽自動車やファミリーカーのような実用最優先のクルマではなく、ステータスシンボルにもなった4ドアセダンには、各メーカーの威信も込められていた。
この記事では、昭和に人気を集めたセダンをピックアップし、その魅力と時代背景を見ていくことにしたい。
なお、本稿には厳密にいうとセダンではなく4ドアクーペに区分すべきモデルも登場するが、大きなくくりで4ドアモデルということでご容赦願いたい。
■スポーティさもウリだった4ドアセダン
トヨタ マークII。トヨタ製4ドアセダンのメインストリームとして、長期間に渡る人気を獲得した。写真は1980(昭和55)年モデル
●トヨタ マークII/チェイサー/クレスタ
4ドアセダンオーナーの中核をなす中高年層のみならず、若いユーザーも多かったのが通称「マークII3兄弟」と呼ばれるセダンだ。
その長兄であるマークIIは、1968(昭和43)年に高級車のクラウンと大衆車のコロナの中間モデルとして登場。当初はコロナマークIIと呼称されていた。
マークIIが一気にスポーティになったのが1972(昭和47)年リリースの2代目から。日産スカイラインGTに対抗すべく6気筒エンジン搭載モデルも用意され、ボディも大型になった。
1977(昭和52)年にはマークIIとプラットフォームを共有するチェイサーが誕生する。ベースになっているのは3代目マークIIだったが、より若いユーザーに訴求するよう、名称と内容はさらにスポーティに仕上げられていた。
マークII3兄弟の末っ子たるクレスタのデビューは1980(昭和55)年。マークIIの4代目より半年先がけての登場で、マークIIやチェイサーよりやや高級路線のクルマだった。
1980年代末から1990年代初頭にかけてのバブル景気でマークII3兄弟は人気を集め、その人気は平成に入った後も続いていたが、2001年にはチェイサーとクレスタを統合した新車種のヴェロッサが誕生し、マークIIも2004年に後継車のマークXがデビュー。3兄弟の歴史は約20年で幕を閉じた。
●三菱 ランサー
三菱 ランサーは、ランサー自体もさることながら、後に大人気を博す“ランエボ”シリーズのベースになったことでも知られている。
1973(昭和48)年に発売された三菱の初代ランサーでは、4ドアモデルと2ドアの2ラインナップが展開されていた。
しかし、EXのサブネームが与えられた2代目モデル(1979【昭和54】年)からは、ボディが4ドアセダンのみに絞られている。
ランサーは初代モデルからラリー仕様車が製作されるなど、モータースポーツとの関わりが深く、それがこのクルマのスポーティなイメージを色濃くしている。
昭和最後のランサーは1988(昭和63)年にリリースされた3代目だ。この3代目ではシリーズ初の4WDモデルが用意され、ルックスもより精悍なものへと変化した。
そして平成4年(1992年)にはランサーをベースにした世界ラリー選手権公認取得用モデルのランサーエボリューションが誕生。一般販売も行われた“ランエボ”は人気を集めるシリーズになった。
ランサーセダンの日本国内販売は2012年に終了しているが、海外では現在もランサーの名を持つクルマが現行モデルとして走っている。
■高級路線で成功した4ドアセダン
昭和最後の日産 セドリックは1987(昭和62)年に発売された。バブル景気の影響か、高級志向が強くなったのが特徴
●日産 セドリック/グロリア
トヨタにクラウンがあれば、日産にはセドリックがあった。1960(昭和35)年に発売されたセドリックは、長期に渡って日産の屋台骨を支える4ドアセダンになった。
日産のフラッグシップたるセドリックは、初~3代目まで順調に販売台数を伸ばし、その後も手堅い人気をキープ。クラウンの対抗馬として存在感を常に示していた。
そんなセドリックの兄弟車であり、やがて「セドグロ」とまとめて呼称されるようになったクルマがグロリアだ。
グロリアは1959(昭和34)年に当時のプリンス自動車(後に日産と合併)が開発した4ドアセダンであり、当初はプリンス スカイラインの派生車だった。
やがてグロリアの正式名称が与えられ、日本車としては初の3ナンバーでデビュー。ここから3代目まではオリジナルモデルで進化を続けた。
だが、日産がプリンス自動車を吸収合併すると、ターゲット層が重なるセドリックと違うクルマである合理的理由がなくなり、セドリックでは3代目、グロリアでは4代目から共通のプラットフォームを持つ兄弟車になった。
セドリックでは6代目、グロリア7代目の型式はY30と呼ばれた。1983(昭和58)年に登場したY30型では、それまでの直6に替えて新開発の3リッターV6エンジンモデルがラインナップされた。
230psを発生するパワフルなV6ターボエンジンは大柄なセドグロの車体を楽々と加速させ、本来のユーザーである中高年層だけでなく、若者もあこがれる4ドアセダンとしての地位を築いた。
昭和のセドグロ最後のモデルが1987(昭和62)年発売のY31型で、このY31型プラットフォームはバブルの象徴ともいうべき初代シーマでも使用され、高級車でありながら大ヒットモデルになっている。
セドグロの製造販売は2004年で終了しているが、この2車が昭和を彩った4ドアセダンであることに異論を唱える人はほとんどいないだろう。
■スタイリッシュさが魅力だった4ドアセダン
●トヨタ カリーナED
最後は4ドアセダンと呼んでよいのかは人によって意見が分かれるものの、昭和末期に登場して、そのスタイルの良さから人気を集めたカリーナEDを紹介したい。
トヨタが4代目セリカのプラットフォームを流用して仕上げた4ドアハードトップ(クーペ)モデルがカリーナED。登場は1985年(昭和60)年で、4ドアらしからぬ低く構えたフォルムが話題になった。
実際、スタイルを優先するあまり4ドアモデルとしての室内空間が犠牲になった部分はあるものの、トヨタ初のピラーレス4ドアハードトップのインパクトは大きく、それも奏功して初代カリーナEDは大ヒットといえるセールスを記録した。
そして平成の始まりの年である1989年には2代目が誕生。バブル景気最盛期に登場したこの2代目は初代を上回る豪華なモデルになったが、カリーナEDのアイデンティティであるローダウンフォルムは継承された。
1993年には3代目がデビューする。だが、カリーナEDの歴史はこの3代目で潰えることになる。
3代目カリーナEDが特にダメなクルマというわけではなかったが、市場のニーズはオシャレなセダンよりも実用性の高いステーションワゴンやミニバン、SUV(当時はRVと呼ばれた)にシフトしていて、それが販売台数にも影響してしまった。
こうしてカリーナEDは1998年に生産終了となるが、シリーズ自体がもう少し早く登場していれば、昭和の名車としてより評価されていたかもしれない。
令和5年の現在、自動車市場における4ドアセダンの地位は昭和のそれとは大きく異なっている。しかし、4ドアセダンの王道であるクラウンでは新型がリリースされ、まだまだセダンにも可能性があることを示している。
昭和の4ドアセダンには魅力的なモデルが多かった。今回の記事で紹介した車種はそのほんの一部でしかない。機会があったら、また別の昭和を代表する4ドアセダンを紹介したい。
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