21世紀のスーパーカーはどんなふうに進化しているのか?? 自動車評論家の石川真禧照氏がじっくりしっかり動画付でお届けする当連載。今回は、トヨタが世界に誇る本格オフローダー「ランドクルーザー300」の中でも、特に悪路性能を高めたグレード「GRスポーツ」をご紹介する!
●やっぱり「スーパーカー」が好き!! 自動車生活探検家・石川真禧照のスーパーカーワールド一覧
「GR」の意味あるのか…? と思って乗ったら国際規格スーパーSUVだった!! 「ランクル300GRスポーツ」がすげえ!!!【石川真禧照のスーパーカーワールド】
文/石川真禧照、写真/萩原文博、動画/吉田海夕、コペル
■ダカールラリーからのフィードバックを活かして開発されたGRスポーツ
ランドクルーザーは1978年からはじまったパリ・ダカールラリー(現在はダカールラリー)に参戦している。といっても、カミオンクラスやトップカテゴリーのバギー車ではなく、市販車部門での挑戦。市販車部門というのは、改造は許されているが、外観やパワーユニットは市販車に近い姿で走る部門だ。
トヨタ(正式にはトヨタ車体)がパリダカラリーにはじめて挑戦したのは1994年。この年にすでに市販車ディーゼルクラスで優勝している。以来、ラリーはアフリカの砂漠地帯中心から、南米の山岳地帯へと舞台を移し、開催されている。トヨタ車体チームの挑戦も続いており、7連覇を達成中だ。
今後、ダカールラリーでTeamLandCruiser TOYOTA AUTO BODY(TLC)が戦いに使用するのが、GRスポーツだ。レースに出場するためのホモロゲーション用のマシンと思えばよい。マニアックかもしれないが、そういうクルマを市販するのも、モータースポーツに力を入れている豊田章男社長の影響力だろう。
当然、GRスポーツはダカールラリーに参戦しているドライバーからの意見が取り入れられ、クルマを完成させている。
■ノーマル仕様との装備の違いは?
ランドクルーザーに初めて設定された「GRスポーツ」。価格はガソリン7人乗りが770万円、ディーゼル5人乗りが800万円
GRスポーツ専用の装備だが、足回り関係では電子制御でスタビライザー効果を変化させるE-KDSSがある。Electronic-KineticDynamicSuspensionSystemと名付けられたこの制御は、前後のスタビライザーを独立して自動で電子制御し、路面状況や前後輪のそれぞれの状況に応じて、細かくスタビライザー効果を変化させるという装備で、世界初となる。
このE-KDSSの採用に合わせてバネ定数やAVSも最適化している。サスペンションのストロークを大きく伸ばし、これまでのランドクルーザー史上、最長のホイールアーティキュレーションを実現したという。
リアのショックアブゾーバーの配置を見直しているが、これは起伏の連続する路面を中高速で走行にジャンプしたときの接地性の向上のため。サスペンションアームの配置も変更されたが、これは高速ブレーキング時の姿勢安定のためだ。
電動のデフロックはノーマル仕様では後輪だけだった(オプション)が、GRスポーツでは標準装備として後輪だけではなく、前輪にも装備されている。これでスタック時の脱出タイムロスの低減になる。この装備も日常ではなく、ダカールラリー用の装備といえる。それを市販車としてカタログモデルにしているのだ。
ノーマル仕様との違いをもう少し細かく見ていくことにしよう。
TOYOTAロゴが印象的なメッシュグリル。グリル右下やボディサイド、リアなどにはGRエンブレムが装着される
外観ではラジエターグリル、前後バンパーの形状は専用。ホイールアーチモール、ロッカーモール、ドアハンドル、ドアミラーはブラック塗装。リアのマッドガードも装備されている。エムブレムはすべて専用デザインだ。
GRスポーツ専用装備として、GRエンブレム付専用本革巻きステアリングホイールや切削カーボン調パネルなどを装備
もちろん内装も専用のアイテムは多い。ハンドル、フロントシートは当然だが、カーボン調パネルやブラック内装、スマートキー。ナビ画面のオープニング画像もGRスポーツ専用になっている。
パワーユニットはV6、ツインターボのガソリン3.5Lとディーゼル3.3L。どちらも10速ATと組み合わされているのは、ノーマル車と同じだ。最高出力、最大トルクの数値も変わっていない。車両重量もGRスポーツは「ZX」にくらべて10~20kg重くなっている。残念なのは競技用車両のベースモデルなら、軽量化はしてほしかった。
■オフロードを意識したチューニング! 日本の道では物足りない…!?
ホールド性に優れたGRエンブレム付の専用フロントシート
試乗車は3.5Lガソリンツインターボ。GRスポーツはガソリン、ディーゼルに1グレードずつ。ガソリン車は7人乗り、ディーゼルは5人乗りとなっている。
指紋認証のキーをスタートボタンにかざして、エンジンスタート。エキゾースト音も静かだ。
個人的なイメージとしては、かつてパリダカールラリーで活躍していた三菱が、パジェロをベースに、「パジェロ・エボ」という競技参加車両に似たモデルを発売したことがあった。GRスポーツもダカールラリー出場ドライバーのアドバンスを受けているなら、もう少しチューニングマシンに近づけてほしかった。
ホールドのよいGRシートに包まれてスタート。乗り心地はノーマルモードでも硬めだが、横揺れも感じる。この動きは程度の差はあるものの、スポーツSも同じ。コンフォートモードだとちょっと硬さはマイルドになる。
試乗車のパワートレインは3.5LのV6ツインターボガソリンエンジン(最高出力415ps/最大トルク650Nm)。これに10速ATを組み合わせる
V6ツインターボは1800回転あたりからトルクが太くなり、5500回まで上昇する。エンジン音も3000回転でも高まらず、ツインターボトルクでグイグイ引っぱる。
10速ATはシフトショックも小さく、スムーズに加速する。シフトはマニュアルモードはシフトレバーのみ。パドルの設定はない。0→100km/h加速は6秒台のマーク。重さ2.5トン以上の巨体が全開加速する様子は大迫力。100km/h巡航は10速1200回転。9速1400、8速1600回転だった。
加速テストなどで不満だったのはブレーキ性能。ブレーキは前後輪ともにベンチレーテッドディスクを装着。ペダル踏力は重めで、初期制動での食いつきが甘めなのだ。そこからさらに踏みこんでいくと、じんわりと強力な効き味を体感させてくれるのだが、スポーツ走行しているときや、高速時での初期制動はもう少し強力なほうが、安心感を持てる。ブレーキング時のノーズダイブはノーマル仕様よりも抑えられている。
ハンドリングはNORMALモードでも重めの操舵力、コーナーではきりこみも重く、戻しも強め。モードをSPORT・Sに切り替えると切りこみの重さと抵抗は強くなる。日常使いではCOMFORTモードが最も適しているように感じた。
今回はオフロード走行は行なわなかったがおそらく、このサスペンションは本格的なオフロードを高速で走破するときにマッチしたセッティングなのだろう。個人的に、2000年代初めにランドローバーの海外試乗会時のパリダカラリーのコースの一部を走行した経験を思い出した。日本の道では、新型GRスポーツの実力を試せることは数少ないと思われる。その意味ではこのクルマは国際規格のスーパーカーと言える。オンロードよりオフロードで実力が発揮できるクルマといえそうだ。
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