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「先代モデルのスポーティな走りを守り、視認性を大幅に改善」 メルセデス・ベンツの新型Aクラス開発責任者に直撃!! 【前編】

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「先代モデルのスポーティな走りを守り、視認性を大幅に改善」 メルセデス・ベンツの新型Aクラス開発責任者に直撃!! 【前編】

メルセデス・ベンツの新型Aクラスは欧州で先行発売され、地元ドイツの自動車専門誌から高い評価を受けている。シャシー、エンジン、トランスミッション……、そのすべてを一新し、走行性能や静粛性はひとつ上のクラスへと押し上げることに成功した。その開発秘話を責任者に聞く。前編はダイムラー社・研究開発部門でコンパクトモデル開発プロジェクトリーダーのオリバー・ゾリケ氏である。

「エントリーモデルとして最良のクルマを作ること」

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──新開発の1.4ℓ 直4エンジンはデルタ型シリンダーヘッドを採用していますが、どういったメリットがあるのでしょうか? また、どのような仕組みなのでしょうか?

「“デルタ型”という名称が示すとおり、シリンダーヘッドの形状が三角形になっています。通常の四角型シリンダーヘッドと比較すると、軽量化とともにエンジン本体の幅をコンパクトにできるメリットがあります。スペースが節約できるのは良い点ですが、スペースがよりタイトになったことで、温度の制御が難しくなり、熱の問題を克服する必要がありました」

──コンパクトカーというジャンルであっても、ボディサイズは世代を追うごとに大きくなっています。このクラスにおいて、ボディサイズを決定づける一番の要因はどこにあるのでしょうか?

「様々な理由があります。要となる部分は、機能性、マーケットからのフィードバック、競合がなにをやっているか、そしてスタイリングなどを組み合わせて多面的に検討して判断しています。ベースとなるのは一世代前のディメンションで、まずは先代モデルのサイズから設計を始めています」

──新型Aクラスは、どういったライバルを想定しているのですか?

「とても難しい質問です。というのも、それは各国の市場ごとに変わってくるからです。例えば、ドイツと日本ではライバルが変わってきますし、アメリカも異なります。つまり、一元的に言えないことです。最終的には新しいモデルを開発するときには、特定のライバルを見るのではなく、全体を基にして判断しています。重要なのは、メルセデス・ベンツのエントリーモデルとして最良のクルマを作ることです」

──欧州で新型Aクラスを試乗しましたが、乗り心地が良くなっています。これは、市場からのリクエストで改善したのでしょうか? また、本国ではセダンが発表されていますが、ハッチバックとセダンではハンドリングの設定は変更していますか?

「新世代モデルの開発にあたり、快適性という面ではハッチバックとセダンで同等のものを目指しました。とくにセダンは“スポーティではありますが、快適な乗り心地”を掲げ、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)だけでなく、普通の道を軽快で快適に走れるような乗り味を目指しました」

──NVHを改善して快適性が向上しましたが、同時にクォリティが上がった要因はなんですか?

「新型Aクラスは、“快適でスポーティ”という要素に加え、NVHを全体的に引き上げる開発を大きなテーマにしました。シャシーはとくにフロント部分を大幅に改善し、リヤサスペンションも見直しています。それがクオリティアップにつながっていると思います」

「四代目で守りたかったのは、スポーティな部分」

──新型Aクラスの開発にあたり、歴代モデルから受け継いで、守らなければいけないものを教えてください。

「初代から二代目にかけては、キープコンセプトだったのであまり変化はなく、しっかりと守っていたのはコンパクトでハンディサイズである、ということでした。しかし、三代目はコンセプトを大きく変え、まったく新しい考え方を投入しました。同じなのは名前だけで、スタイルや走りが大きく変化しました。そして四代目で守りたかったのはスポーティなところです。それは、走りやデザインだけでなく、クルマに触れたときや運転時のフィーリングでそれを具現しております」

──では、四代目として変えなければいけないものはなんでしょうか?

「Aクラスは世界中のマーケットで販売されているモデルなので、新世代モデルを開発するにあたり、すべての市場からの声をフィードバックして取り入れました。重要なのは、開発陣がそれを直接聞いて開発をすることなのです。新型Aクラスを積極的に変えたところは、視認性に関する部分です。先代モデルは死角についての指摘がありましたので、そこを大幅に改善しました。また、ラゲッジスペースやハッチバック形状を最適化し、積載容量と荷物の積みやすさも大きく見直しました」

──デザインについて教えてください。これからのコンパクトカーのリヤデザインは、新型Aラスのような方向に進むのでしょうか?

「リヤのデザインは三角になっていますが、これはこれからも踏襲していくでしょう。機能ありきで考えており、視認性、積載性、そして空力性能を考えたものです。しかし、詳しいことはデザイナーに聞いてもらいたい(笑)」

──メルセデス・ベンツは48Vのマイルドハイブリッドを各モデルに搭載していますが、Aクラスへの展開もあるのでしょうか?

「残念ながら、それはわたしには答えられない質問です。しかし、メルセデス・ベンツのディーター・ツェッチェ代表が、2022年にはすべてのモデルを電動化するという発表をしています。ですので、その回答が出るまで、もう少し待ってほしいですね」

──Aクラスのユーザー層について質問します。先代と新型とでは、ターゲットに違いはあるのでしょうか?

「最優先事項は、先代モデルのお客様に新型を選んでもらうことでした。それと同時にユーザーの幅を広げることによって、新しい層を獲得したいと考えています。若い人たちにも色々な指向がありますが、多くの方に愛されるモデルにしたいと思います。各国では、それぞれの市場によって、そうした傾向が異なり、たとえば中国で標準的なAクラスのオーナーと欧州ではまったく違うものですし、同じことが日本のお客様にも言えるでしょう」

──ありがとうございました。

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