イベントデータレコーダー(EDR)という装置をご存知だろうか。飛行機でいうところのフライトレコーダーに似た装置で、ドライバーが乗用車に行った操作内容が記録される装置のことだ。
これが話題になったのが、東池袋駅近くで発生した「池袋暴走事故」だ。プリウスに搭載されたEDRに当事者の操作が記録されたことで、誤操作が証明された。
池袋暴走事故で注目を集めた『イベントデータレコーダー』!! 新車の搭載義務化スタートで運転記録をしっかり可視化!!
2022年7月1日発売の新車から搭載が義務化されたEDRについて解説しよう。
文/藤田竜太
写真/TOYOTA、Adobe Stock(トビラ写真=Photographee.eu@Adobe Stock)
■装着が義務付けられた『EDR』とは
EDRは飛行機で言うフライトレコーダーのようなものだ。事故発生時の車の速度やブレーキ操作の有無、アクセルの開閉状態などが記録される(metamorworks@Adobe Stock)
2019年に88歳の高齢ドライバーがブレーキとアクセルを踏み間違え、母子二人が犠牲になったいわゆる「池袋暴走事故」。
被告は当初、「車のシステムに何らかの異常が発生した」と無罪を主張していたが、トヨタは事故車のプリウス(2008年製)に搭載されたEDR(イベントデータレコーダー)の記録を元に、「車両に異常や技術的な問題は認められなかった」と反論。
この事故をきっかけに、日本でもEDRへの注目が高まり、国内でも新型車に対し2022年7月1日から、継続生産車は2026年7月1日からEDRの装備を義務づけられている。
このイベントデータレコーダーの概要について、国土交通省の資料には次のようにある。
○「イベントデータレコーダー」とは、エアバッグ等が作動するような事故において、事故前後の車両の運動データや運転者の操作等を記録する車載記録装置をいいます。
○エアバッグ等が作動するような事故発生時に数秒間さかのぼって記録
○記録される主なデータ
・加速度
・車両の速度
・シートベルトの状態(運転者)
・ブレーキのON/OFF
・アクセルの開閉状態
※メーカーによって上記以外も記録される
■記録時間や対象項目は年々増加
エアバッグが作動するような事故が発生した場合、事故発生の瞬間から前後数秒を記録する。記録項目は年々増えつつある(benjaminnolte@Adobe Stock)
このEDRの装備に積極的なのはアメリカだ。
アメリカでは2012年9月以降、自動車に搭載される全てのEDRについて、データ読み出しに対応することが義務付けられているので、2017年の時点で新車販売の99.3%のクルマにEDRが搭載されている。
システム的には、基本的にエアバッグのコンピューターに内蔵されており、エアバッグ等が作動するような交通事故が起きたとき、衝撃を受けた瞬間のクルマの状況を記録する仕組み。
初期のEDRは、事故の瞬間(=タイム・ゼロ)から記録するものだったが、現在のEDRは事故の発生の5秒間から事故直後の2秒間、つまり最長7秒ほどを記録するように進化した。
記録されるデータも、車速、エンジン(モーター)回転数、アクセル・ブレーキの踏み具合、ABSやESPの作動状況、ブレーキオイル圧力、加速度、ヨーレイト、シートベルトの着用の有無、ハンドルの角度など、年々項目が増えてきていて、いまでは50項目のデータを0.08秒ごとに記録するEDRも増えてきているほど。
国産車でも2000年頃からEDRを装備したクルマが登場しはじめ、もっとも積極的なのはトヨタだ。トヨタ車は2012年以降のすべての新型車にEDRを搭載しているといわれている。
日産でもエクストレイル、ノート、セレナ、デイズ、リーフ、スカイラインなど、主な車種にEDRを装備。EDRが装備されているクルマには、取扱説明書に「イベントデータレコーダー」の項目があるので確認してみるといいだろう。
なお、イベントデータレコーダーは、ドライブレコーダーとは違い、オーナーのプライバシーを重視し、画像データや音声データ、事故の時刻と場所を特定するGPSデータなどは記録されていない。
それでも事故が起きたときに、当事者の主観に頼らず、客観的な事実を解明できるのは非常に大きい。
上記の「池袋暴走事故」のように加害者が、「操作は適切だった」と主張しても、EDRの記録を調べれば、「ブレーキを踏んでいなかった」「速度が何キロ出ていた」「減速ではなく加速中だった」といったことが克明に記録されているので、正確な事故原因の調査が大いに進むと期待されている。
■搭載義務化でCDRのデータは積極的に活用されていく
汎用のデータ読み取り機器を開発したボッシュは、データの読み出し作業のみを専門とした「CDRテクニシャン」制度を新設した(Alexandr Blinov@Adobe Stock)
ただ現状では、EDRのハード、ソフトともに、世界で統一されたものがあるわけではなく、各自動車メーカーやサプライヤーごとに、その中身は微妙に違う。
そこで、ボッシュがメーカー間の違いを超えて、データの読み取りができる汎用のデータ読み取り機器「クラッシュ・データ・リトリーバル(CDR)」を開発。(※ボッシュの汎用データ読み取り機、CDRは国産メーカー、欧米各社を含む全世界21の自動車メーカーのEDRに対応)
このCDRを使ったEDRデータの読み出しと解析は、ボッシュ認定の「CDRアナリスト」によって行なわれることになっているが、国内にまだ270名しかいない……。
というのも、このボッシュの「CDRアナリスト」は、事故解析の経験、車両システム、物理法則といった知識の取得に加え、エンジニアリング英語力を備えた技術者が行う、5日間・40時間のボッシュ認定CDRアナリストトレーニングを受講しなければならない。さらに、修了試験に合格して認定されるという厳しいものだからだ。
そのため、国内の事故調査の対象となる自動車は約150万台もあるにもかかわらず、実際にEDRデータを活用した調査は約4000台にとどまっているのが現状だ。
そこでボッシュでは、新たにEDRデータの読み出し作業のみを専門とした「CDRテクニシャン」制度を新設。
2日間のCDRテクニシャントレーニングを受講し、終了試験に合格すればCDRテクニシャンの認定が受けられるようにし、数年で1000人規模への拡大を目指すことが、2021年10月に発表された。
というわけで、2022年7月のEDR搭載義務化以降は、より積極的に事故時のEDRデータ活用されることになっていくだろう。
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