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さらにスバルらしくなった2代目 スバル・レガシィ試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

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さらにスバルらしくなった2代目 スバル・レガシィ試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

 ’89年に発売した初代レガシィのおかげで、スバルブランドのイメージは大きく変わった。スバルらしいと表現される個性とまじめさに溢れていたからだ。4年後に誕生した2代目は初代の粗っぽい部分をリファインして登場したモデルで、デザインからNVHまで、上質さを感じさせ、初代を上回るヒット作となった。’93年11月26日号の試乗記を振り返ろう。

※本稿は1993年11月に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
ベストカー2016年7月10日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です

やっぱりジムニー最強説! 現行型試乗で実感した唯一無二の価値


■レガシィ人気を決定づけた2代目

 旧モデルは長い間真の乗用車ベースのワゴンを作り続けた実績に加え、ディスティンクティブ(独特)なスタイルを持つワゴンに人気が集中したが、今回は、ワゴンは旧イメージを受け継ぎながら、セダンの魅力を高めることに努力したらしい。

 ここで特記すべきことは、ニューレガシィが5ナンバーサイズであることで、室内寸法を厳しく追求しながら、全長4.7m、全幅1.7mの枠に収まったことは褒めていいだろう。

 ニューレガシィに乗ってまず感じることは、ボディがしっかりしていて、乗り心地、ハンドリングが向上したこと。NVH、特にバイブレーションの低減は、旧型オーナーならば、すぐに感じられるはずである。

 ひと言でいうならば、レガシィはいちだんと大人のクルマになったと思う。

 4発エンジンはターボ、NAともに改良を受けた。従来最大のウィークポイントとされた燃費も新型では10~15%向上したとメーカーはいう。このあたりは今後のテストで明らかにされるはずだ。

 もともとレガシィはほかの日本車と少し違うキャラクターを持っていた。それをわかる人がレガシィを愛していたワケだが、特有のキャラクターを生かしながらのフルモデルチェンジはきっと難しい仕事だったに相違あるまい。

 セダンのスタイルは大幅に変えた。ビッグキャビンはそのままだが、ちょっとフランス車のようなデザインである。特に斜め後ろからのルックスはかっこいい。しっかりと室内の空間を取りつつ外観もいいデザインのクルマが日本にもできたと思う。

 ただ室内は、まだ田舎くさい。もっと大人に、もっと上品にやってもらいたいと思う。多くのユーザーはスバルにそれを望むと思う。

 また、そろそろサッシュレスドア、いわゆるハードトップデザインもここまできたら、オーソドックスなドアでいいと思う。

(上)2Lターボエンジンはシーケンシャルタイプ(スバルは2ステージツインターボと呼ぶ)となりGT比較で200psから250psへとパワーアップ、10.15モード燃費も8.0km/Lから9.4km/Lへと向上している(下)内外装のデザインはかつてベンツにも在籍したオリビエ・ブーレイが社内スタッフとともに手がけたもので、落ち着きのあるものだった。

■北米での安全基準を満たす安全ボディ

 ところで、ニューレガシィのもうひとつの特徴は、新しいボディが、レベルの高い受動安全ボディだということだ。

 1994年からのFMVSS(アメリカ連邦自動車安全基準)を満足するボディで、これは日本国内ではまだ珍しいものだ。

 スバルはまじめなので横方向からの衝突に対し、ほぼ完全だが、もう少しやり残したことがあると述べている。こと安全に関することの正直な説明は、むしろ信用を高めるだろう。

 またこれも大いに気にいっていることだが、ニューレガシィは走り出すと自動でドアロックするシステムは付いていない。これも安全のためで、多くのメーカーはトヨタがやるからと、それを追従していたものだ。スバルは(おそらく)営業やディーラーの反対を押し切って、それをやったのだろう。

レガシィツーリングワゴンGT(4AT)…0~400m加速:15.528秒・最高速225.46km/h

 というワケでニューレガシィというクルマは、国産車には珍しく理想主義的なクルマに仕上がっている。私がよく言っている内装色の少なさも近々1色を加え、3色にするという。スバルのようなメーカーはそのあたりを気配りすべきだ。

 実際に走ると私はオートマチックの2L NA、4ドアセダンがいいと思った。ターボワゴンのGTやターボセダンのRSももちろん速くて面白いのだが、この地味な2L、NAセダンはスムーズで静か、それでいてフラット4特有のフィールを残し、ほかのFFセダンとは違った味があった。

 今回ニューレガシィに乗ってみて、オーソドックスなクルマづくりを行いながらもスバルらしさや大メーカーとは違ったクルマ作りを目指していることがわかり、大いにうれしかった。

 願わくばこのクルマを6年くらい作り続け、その間に実質的な内容の充実を見る、というクルマ作りをすれば、スバルファンはもっと増えるだろう。

発売前にツーリングワゴンはユタ州ソルトレイクシティのボンネビル・スピードウエイで1km区間を平均249.981km/hで走り、世界最速ワゴン記録を樹立した

◎レガシィツーリングワゴンGT(4AT)主要諸元
全長:4670mm
全幅:1695mm
全高:1490mm
ホイールベース:2630mm
エンジン:水平対向DOHCターボ
排気量:1994c
最高出力:250ps/6500rpm
最大トルク:31.5kgm/5000rpm
車重:1420kg
サスペンション:ストラット/ストラット
10.15モード燃費:9.4km/L
当時の価格:286万6000円

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