ニュルも攻められる動力性能と身体能力
2016年のアメリカ・ロサンゼルス・モーターショー。アルファ・ロメオは、自社初となるSUVを発表した。
【画像】「ラテン気質」で誘惑! アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ 競合サイズのSUVと比較 全120枚
筋肉質で主張の強いスタイリングは、サルーンのジュリアとの差別化も充分。フェラーリの技術者を務めた、ジャンルカ・ピベッティ氏の設計によるエンジンが、間違いない逸品であることは確かめる前から明らかだった。
同社最高のハンドリングサルーン、ジュリア・クアドリフォリオを彷彿とさせる操縦性を、SUVに与えることにも成功していた。そんなステルヴィオ・クアドリフォリオが、2024年に向けてアップデートを受けた。
ボディサイズは、全長が4687mm、全幅が1903mmで、車重は1850kg。高性能SUVの中では、さほど巨大なわけではない。プラットフォームは、ジュリアと同じジョルジオ・アーキテクチャを採用する。
オールアルミの2.9L V6エンジンは、フェラーリのF154型ユニットとの関係性が強い。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを7分51秒8で周回できる、秀抜な動力性能と身体能力を秘めている。
このF154型はモジュール方式のV8エンジンで、フェラーリ488 ピスタやマセラティ・クアトロポルテ GTSにも載ったもの。2気筒が削られ、大きくはないボンネット内に収まるよう仕上げてある。
アップデートで520psへ 機械式LSDへ置換
最高出力は、従来から10ps増しの520ps。最大トルクは61.1kg-mを得た。トランスミッションは、ZF社製の8速オートマティック。四輪駆動システム「Q4」を搭載するが、通常は285/40サイズのリアタイヤへトルクが送られる。
リアの限界が近いと判断されると、最大50%のトルクがフロント側へ分配される。また2023年式までは、リアデフ内にクラッチを備え、必要に応じて左右のリアタイヤでもトルクが割り振られていた。
だが、2024年仕様では機械式リミテッドスリップ・デフ(LSD)へ置換。安価なアイテムといえるが、反応を予想しやすく、直感的になったといえる。
アルミ材が多用されたサスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。アダプティブダンパーが備わり、「DNA」ドライブモードで硬軟を調整できる。
そのドライブモードは、シャーシ・ドメイン・コントロールシステムと連動。スロットルや変速タイミング、トラクションとスタビリティ・コントロールの制御も変化する。
軽量化のため、ドライブシャフトはカーボンファイバー製。ドアやボンネット、フェンダーにはアルミが用いられている。試乗車の重さを測ったところ、ガソリン満タンで1931kg。前後の重量割合は54:46だった。
熱い運転体験を想起させるインテリア
インテリアは、適度に暗くシリアス。エキサイティングな運転体験を想起させる。製造品質はアウディやポルシェに匹敵するとはいえないが、低くはない。8万7195ポンド(約1648万円)の英国価格を、納得させる仕立てだ。
ダッシュボードとドアパネルにはレザーが用いられ、艷やかなカーボン製トリムで飾られる。アルミ製シフトパドルは、見た目も触感も好ましい。
シフトレバーやステアリングコラム、ボタン類など、若干安っぽく見える部分も存在はする。ステアリングホイールは、前後方向の調整域が広ければ望ましいが、全体的な印象は優れる。
ダッシュボード中央には、8.8インチのタッチモニター。アルファ・コネクトと呼ばれるインフォテインメント・システムが稼働し、アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応する。
センターコンソールには、BMWのiドライブ風コントローラーが備わる。画面のメニューはシンプルで、タッチモニターでの操作もしやすい。
車内の広さは合理的。フロントシートは大きさにゆとりがあり、座り心地に優れる。ドライビングポジションは、このクラスのSUVとしては低め。背もたれの角度は、倒れ気味といえる。
リアシートにも不満ない空間はあるものの、期待以上に広いわけではない。荷室容量は約500Lだ。
2024年でも素晴らしいV6ツインターボ
さて、実際に発進させてみよう。試乗日は肌寒く、路面は濡れていたが、レース・モードを選択。トラクション・コントロールを切り、8速ATをマニュアル・モードに。ブレーキペダルを左足で踏み、アクセルペダルを軽く傾け2000rpmを保つ。
この状態で左足を放すと、ローンチコントロールなしでも、全力加速を引き出せる。一瞬リアタイヤがスピンしかけたが、怒涛のスタートダッシュを披露してくれた。大人2名が乗った状態での0-100km/h加速は、3.9秒だった。
V6ツインターボエンジンは素晴らしい。中回転域でのトルクは豊かで、シフトダウンせずとも迅速。5000rpmから7000rpmにかけて、爆発的にエネルギーが放出される。
オプションのアクラポヴィッチ・エグゾーストを組めば、情熱的で攻撃的なサウンドを撒き散らす。2024年でも最高のユニットだ。
8速ATの変速は、マニュアル・モードでは即時的。Dのままだと、稀に変速に悩むような仕草も見られるが、アクセルペダルの角度を読み取ってくれ、扱いにくさはない。
ブレーキはバイワイヤーで制御。ペダルへ伝わる感触が乏しく、反応が一貫しない場面もあった。オプションのカーボンセラミック・ディスクでも、印象は良くならない。
操縦性も素晴らしい。機敏で正確に反応する。小さくない質量を巧みに隠しつつ、コーナリングは落ち着きがあり、刺激的でもある。
DNAドライブモードは、ステアリングやダンパー、スタビリティ・コントロールの特性を変化させ、運転体験の幅を広げる。乗り心地は、基本的にかなり硬めだが。
ラテン気質の個性へ誘惑される
強く輝くのは、ハードコアなモード。強力なエンジンと、重み付けの良いステアリングを、存分に味わうことができる。筆者は、ダンパーのみソフトになる、ダイナミック・モードが最も好ましいと感じた。
旋回性は鋭敏。負荷が増大するまで、ボディロールも生じない。効果的なLSDにより、アクセルペダルでコーナリングラインを調整可能。リアタイヤがスライドアウトし始めると、フロントへトルクが伝わり、深すぎるアングルには至らない。
燃費は褒めにくい。今回の平均値は7.8km/Lで、思い切り遊んだ区間では3.0km/L前後だった。とはいえ、同等の動力性能を持つライバルの数字も、大きくは違わない。
ステルヴィオ・クアドリフォリオは、運転へ夢中になれる本物のアルファ・ロメオ。大き目のボディで中途半端な仕上がりでは、と勘ぐりたくなるが、速さと落ち着き、ドライバーの心を熱くする魂をしっかり宿している。
普段使いのファミリーSUVとしては、乗り心地はハードすぎる。操縦性も、積極的すぎるかもしれない。ジュリア・クアドリフォリオより、シリアスだともいえなくない。
それでも、心の底から運転にのめり込めるドライバーズSUVへ、共感できる人は少なくないはず。一般的なモデル並みの多用途性はないとしても、ラテン気質のスーパーカーのような個性へ、誘惑されないクルマ好きはいないように思う。
◯:第一級のスーパーサルーンに迫る走り 卓越した操縦性 ドライバーとの一体感 高性能SUVとしては小柄で軽め
△:SUVらしい快適性や悪路性能、多用途性は備わらない
アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ(英国仕様)のスペック
英国価格:8万7195ポンド(約1648万円)
全長:4687mm
全幅:1903mm
全高:1671mm
最高速度:284km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:267g/km
車両重量:1850kg
パワートレイン:V型6気筒2891cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:520ps/6500rpm
最大トルク:61.1kg-m/2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
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