軽自動車からスーパーカーまであらゆるクルマを所有し、クルマ趣味を追求し続ける自動車ジャーナリストの西川淳氏のチャレンジ企画。タイトル通り、無茶、無謀と思われる究極のクルマ遊びを考案し、それを実践。クルマ好きの、クルマ好きのための冒険連載。今回は“世界で最もレアなスーパーカー”チゼータV16Tに乗る!
人とは違うクルマに乗りたいという気持ちがあってこそ
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夢企画の第4弾はシンプルに「世界で最もレアなスーパーカーに乗ってみる」だ。
スーパーカーの生産台数はそもそも少ない。この10年で飛躍的に増えたといっても、月に何万台と売れる量産車の比ではない。最も成功しているフェラーリでさえ年産1万台に過ぎない。筆者の定義する狭義のスーパーカー=マルチシリンダーエンジンのミドシップ2シーター、という定義にあてはまるものに絞れば、おそらく年に3000台程度ではないか。需給バランスのコントロールがスーパーカービジネスの要諦というわけで、たまに見掛けるから憧れて欲しくなるのが人情というものだろう。
一方、念願かなってスーパーカーを手に入れた人の欲望は、それだけに飽き足らず、たちまち“もっと上”へと先鋭化する。そもそも人とは違うクルマに乗りたいという気持ちがあってこそのスーパーカーだ。何かしらのスーパーカーを手に入れたなら次には仲間たちとは違うモデルに乗りたいとなり、そのうち自分しか買えないスペシャルモデルが欲しい、という具合に欲は発展していく。
例えば、念願叶ってアヴェンタドールに乗ったとしても、すぐさま(限定車の)アヴェンタドールSVJが欲しくなり、さらに(超限定車でランボルギーニからお声がかからないと買えない)シアンFKP37に憧れる、みたいな。一般の人からすればノーマルのアヴェンタドールでも十分浮世離れして見えるというのに……。何にせよ、欲望というものは留まるところを知らない。
“エラい”スーパーカーには物語性が付随することも重要
というわけなので結局、レアであればあるほどにスーパーカーは“エラい”という事態に落ち着く。大きなギャザリングイベントに参加してみたとして、同じ顔の並ぶことがないほどにレアなモデルが欲しい、となるのだ。最近ではどのブランドもフューオフやワンオフに力を入れているし、そもそも数の少ないパガーニやケーニグセグといったハイパーカーもエラいっちゃエラい。歴史的モデルでいえば、ミウラSVやカウンタックLP400は150台程度しか生産されていないし、史上最高のスーパーカー、マクラーレンF1ならレースカーを入れても100台ちょいだから、エラい。前述したランボルギーニの特別限定車のシアンは63台(クーペ)の予定だからエラいだろう。
ただし注意しておかなければならないのは、ただ生産台数が少なければ良いというものでもないということ。たとえばフェラーリがVIPのオーダーに応じて公式に生産したワンオフ(限定1台)はエラいけれども、マニアさえその名を知らない会社が古のブランド名だけを買い取って造ったスーパーカーなどいかに速くてどんなに格好良くて立派な名前で出てきたとしてもエラいとはならない可能性が高い。そこに斯界のマニアも納得の人物が登場する物語性の付随することもまた重要なのだった。
最もレアで正統派なスーパーカーはチゼータV16Tである
そんなこんなを考えつつ、今世界で最もレアな、そして誰もが正統派だと認めるスーパーカーは何か? という問いにはこう答えたい。チゼータV16Tである、と。
チゼータV16Tは、車両そのものはもちろんのこと、構想段階から開発、発売、それぞれの背景にあった人間模様まで、全てが“スーパーカー誕生物語”にふさわしいクルマだ。そのうえで生産台数はわずかに10数台というレア中のレア。さらにそのうちのおそらく3台は日本に棲息するというから、奇跡だと言っていい。否、それだけの物語性がチゼータV16Tにあったからこそ、スーパーカーにうるさい日本人マニアの心を捉えたと言ってもいい。
では、そんなチゼータV16Tとはいったいどんなクルマなのだろうか。次回、その詳細をお届けしたいと思う。今回は写真をぜひお楽しみ頂きたい。
PROFILE
西川淳
軽自動車からスーパーカーまであらゆるクルマを愛し、クルマ趣味を追求し続ける自動車ジャーナリスト。現在は京都に本拠を移し活動中。
文・西川 淳 写真・柳田由人 編集・iconic
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みんなのコメント
あらためてディアブロを見返すと、当時のクライスラーのデザイン力が秀でていたことがよくわかる。
チゼタも悪くはないが企画モデルみたいな粗削りさのほうが目立ってる。
ディアブロの元デザインだから、当たり前にスイングアップだと思ってました。