現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アルピーヌ A110Sを筑波サーキットで全開アタック! 山田弘樹がそのポテンシャルを試す【動画レポート】

ここから本文です

アルピーヌ A110Sを筑波サーキットで全開アタック! 山田弘樹がそのポテンシャルを試す【動画レポート】

掲載 更新 4
アルピーヌ A110Sを筑波サーキットで全開アタック! 山田弘樹がそのポテンシャルを試す【動画レポート】

Alpine A110S

アルピーヌ A110S

アルピーヌ A110Sを筑波サーキットで全開アタック! 山田弘樹がそのポテンシャルを試す【動画レポート】

エンスー絶賛のA110をさらに昇華したA110S

アルピーヌ A110が現在高い評価を受けているのは、伝説となったその名前を背負う以上にその走りが素晴らしいからである。

A110の構成は、ルノー メガーヌR.S.のパワーユニットを流用した横置きミッドシップ。しかしアルミ製シャシーを軸としたボディの軽さとルノー・スポール仕込みの巧みなシャシーセッティングによって、幅広い層のドライバーが適度な刺激を感じながらそのハンドリングを楽しめるスポーツカーに仕上がっている。

なおかつそこにはロータス エリーゼのようなスパルタンさとは無縁の日常性を持ち合わせている。だからこそA110は、多くのジャーナリストやエンスージアストたちから支持を得ているのだと私は思う。

そんなアルピーヌ A110に昨年末、ハイパワーバージョンとおぼしき“S”が登場した。果たして40psのゲインを得たA110Sは、スタンダードモデルのウェルバランスを崩さずにその魅力を底上げできたのか?

その疑問に応えるかのように、ルノー・ジャポンはスタンダードモデルとSの比較試乗会を筑波サーキットで開催してくれた。

スタンダードモデルでも光るサーキットでの実力

比較試乗は、A110(PURE)とA110Sをそれぞれ先導車付きの特設コースで走らせるところから始まった。普段は使わないバイクシケインと、バックストレートでのパイロンスラローム及びダブルレーンチェンジでハンドリングの違いを試し、2周目には30km/hからのバックストレート加速を行うという手の込んだメニューだ。

ここでまず私は、スタンダードモデルのハンドリングに心が躍った。

ちなみに、筆者がA110をサーキットで走らせるのはこれが初めてだった。しかしながらそのサスペンションは一般公道と変わらず柔軟に路面を捉え続け、そのボディはひらりと旋回姿勢を作り出した。確かに高荷重領域でのロール量はワインディングよりも多く、そのロールスピードも数段早い。それでもクルマと対話している実感は相変わらずかそれ以上に高く、このまま先導車を追い抜きたい衝動に駆られた。A110が織りなす“じわり”と“ひらり”は、やはりかけがえのないキャラクターだ。

40psのエクストラだけではない”S”の魅力

しかしながらそそくさと乗り換えたA110Sは、さらなる高揚感を私に与えてくれた。驚いたのはピットレーンを軽く走らせただけで、その違いを感じ取れたことだった。ちなみにA110Sの出力は、数字だけでいうとスタンダードモデルの252ps/6000rpmから、292ps/6420rpmとなっている。実に40psものパワーアップである。

その出力向上は、エンジン内部に手を付けずブーストアップ(+0.4bar)のみで達成されている。よってその出力特性はA110の性能曲線をなぞるようにパワーが引き出されており、トルクに至ってはトップエンドの領域が約1500rpm引き延ばされただけ。つまり高回転領域にのみその違いが発揮されるはずなのだが、実際に運転すると低速域からその蹴り出しが素早く、サウンドもどことなく野太くなっているように感じたのである。

足まわりのグレードアップは1.5倍増しのイメージ

その理由のひとつは、フットワークの磨き上げによるものだと思う。

サスペンションはスプリングレートの向上(30Nmから47Nmへ)に対してダンパー剛性もマッチングさせており(数値は未公開)、ルノー・スポールの十八番であるハイドロバンプストッパーも専用チューニング。そしてスタビライザーレートまでもが前後で高められた(前17Nmから25Nmへ、後10Nmから15Nmへ)。A110に対してその足まわりは、おおよそ1.5割増しというイメージである。

なおかつその車高は約4mm低められ、わずかながらも低重心化が図られた。そして装着タイヤであるミシュラン パイロットスポーツ4は、S専用のチューニングでグリップを引き上げている。正確に言うとタイヤに関しては、A110とA110Sでコンセプトが異なる。前者はピークグリップよりもコントロール性を重視しているのに対し、後者は操作に正確性を与える仕様となっているのだという。つまり相対的にグリップが高くなり、トラクション性能も上がっているわけだ。

7速のギヤを使いきった加速感が秀逸

そんなA110Sを走らせると、確かに手応え感が高い。操舵に対してスッとロールを促すA110の特徴的な身のこなしは、ダンピングが効いたほどよい踏ん張り感に取って変わり、バイクシケインの回り込んだ旋回やパイロンスラロームではロールの収まりが早い。かといってガチガチではないのが、やっぱりアルピーヌである。

バックストレッチでの加速は、やはりA110Sの方がわずかに野太いサウンドを奏でている気がした。なおかつ序盤は蹴り出しの良さが、そして後半からは高回転での伸びが加わり、7速EDCのギヤをフルに使いきった加速がとても気持ち良い。

最終コーナーアプローチまでの速度差はA110が170km/h後半で、A110Sが180km/hを僅かに超えたあたり。数字では僅かな差だが、こうしたクローズドコースだとやはり、扱える範囲では速い方が楽しい。ちなみに両者のパワーウェイトレシオは、A110が4.3kg/psであるのに対して、A110Sが3.8kg/psである。

ミッドシップだが挙動は穏やかでコントローラブル

最後はA110Sを、アウト/インラップ含め3周で走らせた。

1コーナーやふたつのヘアピンで感じたのは、フルブレーキング時の安定感。その際ダンパーはグッと荷重を受け止めながら沈み込み、ブレーキリリースからハンドルをきるとフロントタイヤがきちんと押しつけられている様子が手の平に伝わってくる。205幅から215幅へと細かくサイズアップされたタイヤの踏ん張りや、バイマテリアルとなったブレーキローターの制動力も効いている。またリヤの伸びもほどよく規制されており、ターンインでも姿勢が暴れない。

対して中・高速コーナーではA110というクルマの素性が少し垣間見えた。ダンロップコーナーでのほどよい巻き込みは、僅かにリヤヘビーな車体がもたらす慣性重量の影響。そしてアクセルを合わせると流れが穏やかに収まるのも、ミッドシップならではの特性である。そしてその流れ出しが比較的穏やかなのはセッティングの妙だといえる。ルノー・スポールは重心の高い横置きモジュールの慣性を本当にうまく抑え、かつ利用していると思う。またこうした状況だと2ペダルは左足ブレーキが使え、アクセルを素早くシンクロできるのもいい。

ルノー・スポールによるサジ加減が絶妙なコーナリング

逆に80Rのような高速コーナーではほんの僅かにフロントのグリップ感が希薄だと感じた。よってダンロップの切り返しからアクセルを開けることができず、ややもどかしい。しかしここで応答性を高め過ぎることはリスクにも繋がる。このサジ加減こそはルノー・スポールの判断なのだろう、アマチュアドライバーが「少し怖いな・・・」と感じる高速領域は、安定方向へと振っているように思われた。

そしてこれがもう少し曲率の大きな最終コーナーになると絶妙にバランスした。マネージメントはトラックモードで走らせたが、ターンインでの僅かなオーバーステアを抑えきることなく、しかし最低限のスタビリティはESC(横滑り防止装置)で確保しながら高いスピードを保ってこれをクリアしたのだった。

ヘアピンのように曲率が大きなコーナーでオーバーステアを出すとアクセルを大きく絞ってしまう傾向が見られたものの、最終コーナーのようなパーシャルスロットル領域だとこのESCは実にうまく働いてくれる。

より走りにこだわるユーザーに向けた1台

短い試乗ではあったけれど、こうした状況から判断するとA110Sはより走りにこだわるユーザーに向けた一台であると感じた。ちなみにルノーは、A110が操る楽しさを追い求めたモデルであるのに対し、A110Sは「操作に対する精度を上げた」仕様だとコメントしている。わかりやすく言えばその進化は、ポルシェ 718ケイマンのSがGTSになったイメージだろうか。まだA110Sで一般道やワインディングを走らせたわけではないが、つまりは決してトラック専用モデルではない。

そしてもしこれ以上の領域、さしずめケイマンGT4のようなレーシングスポーツをA110に求めるなら、足まわりはもちろん空力に対してもグランドエフェクト以外にもっと手を入れていかねばならないだろう。

とはいえA110Sは現状でも素晴らしいポテンシャルを持っている。聞けばそのアライメントは今回の出力アップに対してリヤにトーインをA110より多めに付けており、こうした部分を見直すだけでもその動きは大きく変わるはず。また自分好みの足まわりで熟成させていくのもクラブマンとしての楽しみだと思う。派手なバンパーやウイングを付けないことはA110Sの大きな魅力のひとつだ。メガーヌR.S.トロフィーの300psより僅かに落としたその最高出力が、A110Sのキャラクターを無言で物語っていると私は思う。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)

PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)



【SPECIFACATIONS】

アルピーヌ A110S

ボディサイズ:全長4205 全幅1800 全高1250mm

ホイールベース:2420mm

車両重量:1110kg(※グリ トネール マットのみ1120kg)

エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ+ターボ

総排気量:1798cc

最高出力:215kW(292ps)/6420rpm

最大トルク:320Nm/2000-6420rpm

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

ディスク径:前後320mm

タイヤサイズ:前215/40R18 後245/40R18

最高速度:260km/h

0-100km/h加速:4.4秒

車両本体価格(税込):899万円(※グリ トネール マット:939万円)

【問い合わせ】

アルピーヌ コール

TEL 0800-1238-110

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
くるまのニュース
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
ベストカーWeb
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
ベストカーWeb
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース

みんなのコメント

4件
  • んで何秒なん?
  • 何秒か書かないと、筑波でアタックする意味なくね?

    1110㎏、252ps、PWRで3.8。

    ノーマルタイヤが良く分からんけど、1分5秒は厳しいのでは?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村