電動化の流れが加速中の今、重要な役割を果たすのがプラグインハイブリッド
プレミアムブランドの中でいち早く電動化を打ち出したボルボ。2025年にはバッテリー電気自動車(BEV)の販売比率をグローバルで50%(日本は40%)に、そして2030年にはBEV専業メーカーとなることを目指している。
もちろん、すぐに全部を移行するわけではない。まずは現状、重要な役割を果たすのがプラグインハイブリッド(PHEV)である。昨年はボルボの国内販売の約10%を占めたというそのPHEVが、さらに魅力的な第2世代へと進化を果たした。 モデルによって内容は異なるが、今回紹介するボルボ V90 リチャージプラグインハイブリッドT8 AWD インスクリプションは、2Lターボエンジンと電気モーターの最高出力、最大トルクが従来の317ps/400N・m+87ps/240N・mから、317ps+145ps/400N・m+309N・mへと大幅に向上している。
ボルボはいわゆるシステム総合出力は明記しないが、単純にプラスすれば462psにもなるわけで、大幅も性能を向上させたというだけでなく、周囲を見渡してもかなりの快速ぶりを予感させるスペックを獲得しているのだ。リチウムイオンバッテリーの容量も従来の11.6kWhに対して18.8kWhへと大きくなっている。これによってEV航続距離は従来の最長41kmから81kmへと大幅に拡大された。
SPAと呼ばれる車体の基本骨格を使ったボルボの大型モデルは、リチウムイオンバッテリーを車体のセンタートンネル内に収めるレイアウトにより、室内空間、荷室を犠牲にすることなくPHEV化を実現している。特筆するべきは今回、これだけバッテリー容量を増やしても室内への侵食をナシで済ませたこと。技術者は相当、頑張ったに違いない。 期待に違わず、その走りはとても力強い。特に後輪を駆動する電気モーターの出力が高められているのがポイントで、フル加速の際にも前輪が空転することはなく、むしろ後ろから押し出す、後輪駆動ベースのAWDのような爽快なフットワークにつながっている。
車両重量は2130kgと軽くはないが、それも乗り心地を上質なものとするのにひと役買っているし、そもそも背が低くワイドトレッドなV90の旨味をさらに引き出している感すらある。高速道路の車線変更すらスッと決まって気持ちのいい走りは間違いなく、史上最良のV90である。 新型V90ではGoogleとの連携が強化されているのも見逃せない。Googleアシスタントを活用した途中の充電ポイントまで考慮したルート設定は大いに役立つはずだし、インフォテインメントシステムも完全刷新。「OK Google!」で呼び出す音声コントロールも使用できるのは今っぽい。
昨今の電動化の流れに、車がつまらなくなってしまうのではないかという危惧を抱いている人は、まだきっと多いに違いない。しかしながらこの新しいボルボのPHEVは、どうやらそうでもなさそうだぞと思わせてくれる1台に仕上がっていたのだ。 文/島下泰久、写真/柳田由人
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現行型のV90は2017年に登場。現在(2022年5月末)時点の流通量は140台で、価格帯は車両本体価格で210万~840万円と、幅広い相場を形成している。走行距離5万kmを超える物件は20台程度しかなく、比較的状態の良い物件が多い印象だ。
流通の内訳だが、多くは2Lガソリンターボモデルが占めており、PHEVモデルはまだ5台ほどしか流通していないうえ、予算も750万円からとなっている。ディーゼルモデルは20台前後で400万~670万円という相場。
現状、中古車でV90を狙うならば、日常使いがメインの人は品揃えが豊富な2Lガソリンターボモデルを、アクティブに遠出をする人ならば選択肢は少ないながらディーゼルモデルから探してみるのが、V90選びの入り口となっていそうだ。 V90(現行型)の中古車を見てみる▼検索条件ボルボ V90(現行型)× 全国文/編集部、写真/ボルボ
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