カローラシリーズのカローラ、スポーツ、ツーリングに搭載されるエンジンが刷新され、他にも一部改良が2022年10月に行なわれていた。その中で第5世代となったTHSIIのハイブリッドと2.0L NAエンジンになった2つのモデルに試乗してきた。
カローラツーリング ハイブリッド W×Bカローラスポーツ G “Z”(2.0L ガソリンモデル)関連記事:カローラシリーズ一部改良でパワトレ&セーフティセンスを刷新https://autoprove.net/japanese-car/toyota/corolla/211967/
今回の改良モデルは、パワーユニットの刷新とコネクテッド、そして最新の安全機能へとアップデートが行なわれている。2018年にカローラスポーツがデビューしてから4年経ち、ツーリング、セダンは2019年にデビュー。その間に技術の進歩は早く、さまざまなものが刷新していくのが近年の傾向だ。
そうした中で電子プラットフォームをアップデートしないことには、コネクテッドや安全機能などが十分に対応できないという理由から、出し惜しみせず、出せるタイミングで改良していこう、という姿勢でカローラシリーズが改良されたのだ。
ボディカラーはマッシブグレーだから最新の安全機能は新型のプリウスと同じレベルのものが装備され、コネクテッド系でのエンターテイメントなども同等の装備を持ち、なおかつそれらを標準装備にしているのだ。
試乗は刷新されたパワーユニットのハイブリッドとNAエンジンの2タイプを試乗した。ハイブリッドはカローラ・ツーリングに搭載した試乗車で、エンジンは1.8Lの2ZR-FXEで変更はないものの、モーター出力をアップするなど電動ユニットをアップデートしている。そしてカローラ・スポーツは1.2Lターボから2.0Lの自然吸気エンジンM20A-FKS型直噴ダイナミックフォースエンジンへと換装された。
さて、ハイブリッドモデルはモーター出力が増えたことでEV走行の気持ちよさが拡大し、積極的にEV走行をするので、静粛性や滑らかさという点の向上は大きな進化だ。一方で2.0LのNAエンジンを搭載するカローラスポーツは、イメージが変わってしまった。
ボディカラーはアティチュードブラックマイカ×センシュアルレッドマイカ(オプション)1.2Lターボで低速からのトルクフルな走りとハンドリングの気持ちよさから、従来のカローラのイメージは大きく変わり、欧州のコンパクトCセグメントと比較するレベルにあると感じていた。が、今回の刷新で、そうしたハンドリングやサスペンションは継承され、小気味よさはあるもののNAとなったためなのか、アクセルの早開き制御に変わってしまったのが残念だ。
ターボ車と比較して低回転時のトルクはNAだと厳しいと判断したのか、少しのスロットル開度でダッシュする制御に。20年ほど前に流行った制御方法で、アクセルを少し踏んだだけで、力強く飛び出すことを「スポーティ」と位置付けていた時代に戻っている。だから高回転まで回るエンジンにもかかわらず、高回転まで回しても加速しないと感じてしまうのだ。
ツーリングのW×Bはダークグレーメタリックの17インチアルミスポーツ のG “Z”は切削光輝仕様の18インチアルミただミッションはダイレクトシフトCVTへアップデートしているので、ラバーバンドフィールも小さく、スポーティには走行できる。それだけにリニアなアクセルレスポンスであって欲しかった。
一方でサスペンションやステアフィールは健在で、やや軽めに感じることもあるが、制御自体の変更はないということなので、ステア操舵に対するボディのレスポンスが向上したことで、軽快に動くと感じられるのだ。
スポーツ G “Z”のフロントセンシャルレッドの内装はオプション設定最新のトヨタ・セーフティセンスを標準装備
装備では最新の安全運転支援トヨタ・セーフティセンスを標準装備し、それぞれの機能の中身もアップデートされている。例えばレーンキープでもできるだけ自然な形で車線中央を維持しようとしたり、ACCで車線変更した時の再加速などもナチュラルな方向へと熟成されていた。
そして電子プラットフォームのアップデートにより、新たに安全装備も加わっている。PDAという「プロアクティブ・ドライブアシスト」の略で、ACCを起動していなくても、常に周囲の情報を車両が把握し、障害物や自転車、歩行者を検知し、車両が接近すると自動で減速する機能が追加されていた。
しかし、実際の走行では「危険」と判断するしきい値が車両とドライバーで揃っていないと運転しにくいと感じるのだ。また驚いたのは、ワインディングを走行していると、そこが山道であることも自動で認識し、減速する。だから、PDAの取り扱いにおいて、スポーツ走行を楽しむときはシステムをオフにすることをおすすめします、と説明にはあった。
ツーリングのW×Bの内装はブラックラゲッジルームの最大容量はシートアレンジで802LにこのPDAは人の多い路地などでは頻繁にブレーキがかかり、また首都高速など車間距離の短い交通環境では頻繁にストップランプが自動で点いてしまうのだ。というように、確かに運転しにくい場面もあるが、日常の運転のなかで、こうした安全機能が働くことは事故を削減するために大きな働きをするかもしれないが、一方で意図通りにクルマが走ることが安全につながるという考え方もあり、安全への思考はさまざまであることを感じた。
従って、できればPDA機能のオン・オフスイッチをイージーに操作できる場所にあると、より使い勝手がよくなると感じた。機能をオフにするには階層が深く、カローラ・スポーツでは結局オフにすることができないというほどの難題だったのだ。
1.8Lハイブリッドは電動ユニットがアップデートされたスポーツに搭載されている2.0L NAエンジンこうして2タイプのパワーユニットに乗って思うのは、新型プリウスやクラウンといったドラスティックな変貌を遂げ、かつ乗って楽しいモデルへと変化した中で、カローラ・スポーツはかつてのスポーティさから少し万人受けな方向へシフトしたように感じた。ハイブリッドは正常進化と感じるもののNAモデルの制御ロジックは残念だったということだ。
車両本体価格(税込)
・カローラツーリング ハイブリッド W×B:285万円
・カローラスポーツ G “Z”:264万円
The post 【トヨタ カローラ 試乗記】刷新されたパワトレで感じた一長一短 first appeared on オートプルーブ - Auto Prove.
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