モデナ生まれのV8をお手頃価格で
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】生産終了 グラントゥーリズモとグランカブリオ 次期MC20 全70枚
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
発表から12年以上が経過した、マセラティ・グラントゥーリズモ。今なら英国では1万5000ポンド(216万円)以下で、生産初期のクルマが買える。最終型を選ぶと価格は5倍以上もするが、見た目は大して違わない。
もちろん、イタリアン・エキゾチックに価格だけで手を伸ばすのは軽率。古いクルマほどリスクもつきものではある。高くても、リスクから完全に開放されるわけではないが。
それでも、マセラティ・グラントゥーリズモは驚くほどお手頃といわざるを得ない。近い関係にある、フェラーリ・カリフォルニアに並ぶほど。しかもフェラーリとは違い、マセラティの場合はエントリーモデルでもなかった。
筆者が記事を執筆時、英国には1万3500ポンド(194万円)の値段のついた1台があった。走行距離は9万1700kmで、安価に済む修理が必要だという初期のグラントゥーリズモだ。
もちろん、これだけでは判断できない。美しいボディは、その内側の恐ろしい実態を隠していることもある。些細な不具合であっても、マセラティの場合は多額の費用が必要になることも多い。
長期間放置されていたことで生じる、潜在的な故障のタネにも気をつけたい。オイル漏れや電気系統、交換されていない消耗部品や、すり減ったクラッチなど。
グラントゥーリズモの乗りやすさは素晴らしい長所だが、短所にもなる。イタリアン・サラブレッドの安さに惹かれた一部のオーナーは、所有履歴やメンテナンスに気を配らないことも少なくない。
特にマセラティなら、時間をかけて観察・確認しておきたい。多少のリスクを承知で安価な初期型を選ぶも、悪くはないかもしれないが。
グランカブリオならダイレクトに
発売開始から1年後、グラントゥーリズモには高性能なSグレードが追加された。V8エンジンの排気量は4.2Lから4.7Lへ拡大し、35psと3.0kg-mアップの最高出力440ps、最大トルク49.8kg-mを獲得している。
サスペンションやブレーキ、トランスミッションもアップグレードされ、動的性能が引き上げられた。トップグレードのSは2012年にパワーアップし、グラントゥーリズモ・スポーツへ改名されて生産終了まで継続している。
今なら、このSでも2万2000ポンド(316万円)程度から購入できる。
走行性能も悪くはないが、グラントゥーリズモ最大の魅力はV8エンジンの咆哮。特に4.7L版には抜けられないような中毒性がある。ルーフの開くグランカブリオなら、さらにダイレクトに楽しめる。
グランカブリオは車重の増加や走行時の洗練性、犠牲になった荷室など、妥協もなくはない。しかし大きく開いたキャビンには大人4名が快適に座れ、爽快なドライブを楽しめる。日常的に運転する限り、わずかに劣る動的性能を実感することもないだろう。
オープンという魅力と、フェイスリフト後の2010年以降の登場ということで、グランカブリオの価格はクーペより高い。しかし走行距離は短く、丁寧に載られているケースも少なくない。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
エンジンオイル漏れは、マセラティ4200ほどひどいものではないが、珍しくもない。整備しやすいガスケットまわりの修理でも、交換には多額の費用が発生する。
クーラントホースの1本が割れしやすく、冷却系に液漏れの兆候がないか確認しておきたい。エンジンオイルのディップスティックは途中で引っかかることがあり、オイルチェック時は小刻みに動かすと良い。
燃費は期待しないでほしい。市街地なら、5.3km/Lくらい走れば良い方だ。
サスペンション
オプション設定だったスカイフック・サスペンションは、洗練性とハンドリングを高めることで評価されていた。しかし修理は安くなく、ショックアブソーバーの状態やリコール対応の状況を確認しておきたい。
起伏を越えた時にコツコツと足まわりから音が出る場合、ウイッシュボーン・アームのブッシュ類の摩耗が原因。交換は高くつく。
インテリア
ブルートゥース接続を希望するなら、2009年以降にオプションで搭載されている。パワーシートは、リセットを掛けることで修理前に動作を確認できる。
天井の内張りは剥がれやすい。勇気があるなら、エポキシ接着剤を注入し固定することも可能。
ネバネバとするラバーコーティングは、この年代のクルマで共通の悩み。赤ちゃん用のおしりふきなどで、一度クリーニングを試してみる価値はある。交換は安く済まない。
電装系
フェラーリと同様に、乗らない間は常時トリクル・チャージャーをつなぎ、充電量を保っておきたい。ジャンプスタートは電装系に負担をかけるため、避けた方が良いだろう。
給油時にエンジンの警告灯が付くことがある。燃料キャップが緩んでいるだけでも、点灯する場合がある。
オーナーの意見を聞いてみる
デビッド・ウェルズ
「インテリアは古さが隠せず、インフォテイメント・システムも使えません。しかし、V8エンジンのサウンドがあれば、音質の良いステレオは必要ないでしょう」
「バッテリーの充電不良は生まれつき。主要ディーラー以外で購入するなら、しっかりした検査は受けるべきです。定期的な世話を怠らなければ信頼性は高いですし、クルマの評判は実際より悪いように思います」
「基本的には、2年か2万km毎の定期点検を受ければ大丈夫。悪くない条件だと思いますよ」
英国ではいくら払うべき?
1万3000ポンド(187万円)~1万9999ポンド(288万円)
消耗された前期型のグラントゥーリズモ 4.2が英国では出てくる。
2万ポンド(289万円)~2万9999ポンド(431万円)
初期型のS。魅力的なグラントゥーリズモも少なくないが、ボディのラッピングや改造された例には注意したい。
3万ポンド(432万円)~3万9999ポンド(575万円)
状態の良いフェイスリフト後のグラントゥーリズモが英国では見つかる。4.7Lのエンジンやネプチューン・ホイールがソソる。
4万ポンド(576万円)以上
生産終了に近い年式が中心。ハードコアなMCストラダーレなども出てくる。
知っておくべきこと
グラントゥーリズモの状態を保つには、定期的に走らせる必要がある。ガレージで甘やかしてはいけない。
トリクル充電でバッテリーは維持できても、ゴム製のブッシュやガスケット、ホースなどは乾燥し、劣化が進んでしまう。タイヤも定期的に回転させないとフラットスポットが発生し、交換を余儀なくされる。
ガレージで美術品のように保管されてきた車両より、走行距離が長めでもしっかり整備を受けてきたグラントゥーリズモの方がリスクは少ない。
英国で掘り出し物を発見
マセラティ・グラントゥーリズモ 4.2 登録:2008年 走行:11万2600km 価格:1万8995ポンド(273万円)
4.7Lエンジンほどのパワーはない。しかし新車のハッチバック程度の値段で、モデナ生まれのスポーツカーが買えるのだから、無視することは難しい。
詳しい状態はわからないが、過去のオーナー数は少なく見た目も小綺麗。過度に不安がる必要はなさそうだ。
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