NTTインディカー・シリーズにとって2024年シーズンは、ハイブリッドシステムを搭載した新型パワーユニット(PU)を導入する挑戦の年となった。
2019年に導入計画が発表されていたこの新PUは、排気量の調整や投入延期などの紆余曲折を経て、従来の2.2リッターV6ツインターボエンジンにハイブリッド機構を組み合わせたかたちで2024年7月の第9戦ミド・オハイオでデビューを迎えた。
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このハイブリッドユニットは、シリーズを支えているホンダとシボレーが共同で開発したものであり、シボレー(イルモア)が開発したモータージェネレーターユニット(MGU)が、ホンダが開発したエネルギー貯蔵システム(ESS)に蓄えられる電力を生成する。
貯蔵された電気は、ドライバーによるステアリング上の操作に応じてモーターを作動し、60馬力程度のブーストを発生させる(最終的に出力は150馬力まで上げることも可能だという)。新たに採用されたモーターとスーパーキャパシターは、エンジンとギヤボックスの間のベルハウジング内に搭載される。
インディカー公式は、2024年シーズンを振り返る記事内にて、このハイブリッドPU導入による効果としてオーバーテイク数が増加したことを公表。とくに、シーズン後半に集中していたオーバルレースにおいてその効果が顕著に現れていたとし、WWTR(ワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイ)、ミルウォーキー・マイル、ナッシュビル・スーパースピードウェイにおいてオーバーテイク数の記録が更新されたと明かした。
さらに、ロードコースのポートランド・インターナショナル・レースウェイでは、全オーバーテイクのうち71パーセントがハイブリッドブーストによるものであったとの情報も明かしており、新型PU導入によるバトルの増加をアピールしている。
ハイブリッドシステム導入以前のインディカーでは、ロード/ストリートでのレースにおいては従来より『プッシュ・トウ・パス』とよばれるシステムで追加パワーを得ることができていたが、オーバルレース内でのブーストはシリーズ初の要素となった。
ここで注目となるのは、シーズンハイライトでもあるインディアナポリス500マイルレース(インディ500)への影響だろう。今回の新型PUは、先述の通り2024年7月の第9戦が導入初戦だったため、まだインディ500の実戦を迎えていない。
ただ、このハイブリッドシステムの開発テストの多くはインディアナポリス・モータースピードウェイで行われてきており、2024年シーズン後の10月にも11台がテストを実施した。ここでは、3度のインディカー王者となったアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)がトップタイムを刻んでいる。
2023年にインディ500のポールポジションを獲得した経験もあるパロウは、「今回はファイアストン(タイヤ)やチーム(CGR)、ホンダのためのテストプログラムをこなし、満足の行く走りができた」とその内容を振り返る。
「(ハイブリッドシステムによる)オーバーテイクは素晴らしいと感じているよ」
「おそらく中団でのオーバーテイクを助けるには充分だと思う。どうなるか楽しみだね」
これまでのインディ500では、中団に一度埋もれてしまうと順位を上げてくるのに苦労し、優勝を争えずにレースをそのまま終えてしまう選手も多かった。
ただ、オーバルレース初のブーストシステムに好感を抱くパロウの言葉には、その傾向を打開する一助となるかもしれない希望が感じられる。
プレマ・レーシングの参入や、各チームのラインアップが大きくシャッフルされている2025年のインディ500は、ハイブリッドブーストの使い方が勝敗を左右するポイントになるかもしれない。
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みんなのコメント
基本ブレーキ踏まないかな回生が追いつかなそう
F1とかの回生システムとは多分根本的に違うんだろうな